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TRPX アフターバーナーシャフト(2019)

このインプレッションは、2019年4月のマーク金井の有料メルマガに掲載されたものです。(有料メルマガはこちらからご購読できます)

僕の秘密基地であるアナライズには、様々な人が僕を訪ねて来てくれる。大手メーカーから、全くゴルフとは関係ない会社の人と、目的は様々。まだ誰も打ったことがないような試作品が持ち込まれることも珍しくない。もちろんSNSなどで取り上げる訳にはいかないものがほとんど。

困るのが、発売前に『あれ打ちました?』と聞かれること。打っているのだが、守秘義務があるので、打ったとは言えない。お茶を濁すような返事をすると決まって『なんだマーク金井まだ打ってないのか?』という表情をされる。特に今の時期は、秋に向けて発売されるシャフトメーカーの試作品が、多く持ち込まれる。

シャフトメーカーの新製品は、クラブの新製品よりも早く作り上げないと、クラブの発売に間に合わない。というのもどういうカスタムシャフトをタイムリーに、ラインナップに加えたいというクラブメーカーのオーダーによるものだ。逆を言えば、この時期にすでに新しいシャフトを作り上げていないと、新しいドライバーのカスタムシャフトに採用されないということでもある。

ということで、例年9月〜10月にかけて発売されるシャフトメーカーの新製品は、4〜5月にはしっかりとテストしている。生配信などで聞かれても、残念ながらハッキリとは答えることは出来ないが、このメルマガではどこよりも先に具体的な情報を発信していくつもりだ。

日本には、クラブメーカーと同じぐらい、シャフト?メーカーが存在する。その多くが地クラブ、地シャフトメーカーだ。フジクラ、三菱ケミカル、グラファイトデザイン、USTマミヤが4大シャフトメーカーと言われている。4つのなかに、不思議なことにスチールシャフトのメーカーが入っていないのが不思議だ。スチールシャフトというのは大規模な機械を使うために、工場は大規模となる。日本で、スチールシャフトをつくているのは、島田ゴルフと日本シャフトの2社だけ。

日本シャフトはカーボンシャフトもいい製品を数多く出しているし、会社としてはとても大きいのだが、何故か四大シャフトメーカーというカテゴリーに入っていない。スチールだけでなく、カーボンシャフトも魅力的な製品を多く世に出しているのだが・・・

スチールシャフトと違って、カーボンシャフトは、マンドレルという芯金にカーボン繊維を巻いていく、ほぼ手作りなので、小ロットでの生産が可能。必然的に小さいシャフトメーカーが数多く存在することになる。今回、スタジオに来てくれたのは、TRPXというシャフトメーカー。クレイジーと言うメーカーがあったが、そこから独立した人が作ったシャフトメーカーという印象が強い。

最近クラブ契約フリーになった、横峯さくらプロが使いはじめ、注目を浴びているようだ。僕も以前TRPXのシャフトを試打したことはあるが、その時のイメージは高弾性の繊維をふんだんに使い、トルクが少なくシャープな挙動で手元がしっかりしているシャフトという印象だった。今回テストしたのは、新しく発売されたAFTERBURNERと言うシャフト。AFTERBURNERと言えば、ジェットエンジンの排気にもう一度燃料を吹きかけ燃焼させて高推進力を得る装置のこと。

このシャフトはシャフトを加速させ、あとヒト伸びの飛距離を狙っているネーミングなのだろう!というイメージを持った。色はブラックにピンクと派手なデザインだ。一発打ってみると、TRPXのシャフトに持っていたイメージとずいぶん違うことがわかった。

まずいい意味でのトルク感があること。スチールシャフトと違いカーボンシャフトは、部分的に違う繊維を使ったり、巻き方を変えたりできるのがメリット。このシャフトはそのメリットを生かして、手元のトルクを多めにし、先端はトルクを少なめと、意図的にトルク配分を変えている。手元のトルクが多めだと、手元がしなったように感じて、非常にタイミングが取りやすく感じる。

フジクラのスピーダーSLKにも共通するが、一発の飛距離よりもシャフトの挙動を安定させて、弾道を安定させるというシャフトは今後トレンドになるのかと感じる。トルクを絞って、弾きを追求し一発の飛びを狙うよりも、シャフトの部分部分でトルクを調整することで、タイミングを取りやすくし、再現性を高くすることで平均飛距離が上がり、ゴルファーに安心感を与えることで、更なる飛びを狙うというシャフトのようだ。

僕のイメージでは、今までTRPXのシャフトは、とにかく1発の飛距離を狙ったピーキーなシャフトというイメージだったが、舵の切り方を変えて、安定性を上げて、ゴルファーがしっかり叩けることで、飛距離のポテンシャルを上げていくと言うシャフトを出してきた。しかし、相変わらずなのはシャフトの価格、6万円(税別)と高価だ。市場でどう評価されていくのか、今後注目したいと思う。