フォーティーン D030ウエッジ(2012)

このインプレッションは2013年8月に書かれたものです

今アイアンセットは、6本セットが普通。25年前は9本セットが標準だったというと、驚くゴルファーも少なくないだろう。

歴史を振り返ると、昔はウエッジだけで販売するモデルというのが存在がしなかった。アイアンセットのウエッジが人気を得て、それを別売りするという形だった。有名なのは、青木功が使ったリンクスのマスターモデルのSW、ジャンボ尾崎のMTN3、J’Sウエッジ、海外ではPING eye2などアイアンセットがあって、その流れのウエッジが人気だった。3番アイアンからSWまでの9本が標準だったが、ジャンボ尾崎が流行らせたP/S(ピッチングサンド)今ではAWといわれる、PWとSWの間のクラブが加わり20年前にアイアンセットの標準は10本となった。そしてそれから更に5年経つとクリーブランドクラシックなどから別売り単品ウエッジがアメリカで販売されはじめる。同時に米ツアーでプロがウエッジだけ、アイアンセットと別メーカーというセッティングが流行り、タイガーウッズが使ったTA588がきっかけで、ウエッジは別メーカーの別売りというのが基本となった。タイトリストボーケイ、日本ではフォーティーンのMT28など大ヒットモデルが一気にその傾向が進み。アイアンセットは10本から8本(3~PW)そして、ショートウッド、
ユーティリティーがロングアイアンを駆逐し、今では6本セット(5~PW)が標準となった。

14 D030RW

アイアンセットにウエッジが含まれていたころは、初心者向けモデルは、そのアイアンセットのターゲットに合わせた、それなりのウエッジが入っているので、技術に合わせたウエッジを結果的に使えるメリットがあった。今でもXXIOやファイズなどその流れがあるアイアンセットもある。しかし別売りウエッジは基本的に、プロからのトップダウンで作られている。プロのコースセッティングに合わせて、プロのアプローチ技術は非常に高度であるのは、皆さんもお分かりだと思うが、基本的にプロの技術が発揮できるようになっている。

僕はMSウエッジを作って、SSウエッジをリンクスブランドで販売した。そのきっかけとなったのはアナライズを作ってずっとやっているクラブ診断。その診断で、スイングはいいのに、スコアが減らない残念な人を何千人と見てきた。僕のクラブ診断は2時間3万円もするぐらいだから、クラブ好きな人がすごく多い。殆どの人がプロからのトップダウンで作られたウエッジを使って、アプローチで悩んでいる。アナライズに来るメーカーの開発者や営業に、プロ発信のトップダウンクラブではなく、アマチュアが使ってミスを減らすウエッジを作らないか?と話したが、「金井さんすごくよくわかるけど、それ売れないと量販店のバイヤーに言われる」とメーカーも諦めていた。

だったら自分で作ろうと思ってMSウエッジを作り、スマッシュヒットして話題になり、リンクスと組んで量産モデルのSSウエッジを作った。アマチュア向きの日本のウエッジがこんなに売れたのは、SSウエッジが初めて。発売1年半で1万本以上売れている。

手前味噌で申し訳ないが、天下のフォーティーンが実はその影響を受けているのでは?と僕は実は密かに思っているのが、フォーティーンのD030ウエッジ。フォーティーンと言えば、日本だけでなく世界でも人気のウエッジが得意なメーカー。プロやトップアマの使用率は非常に高いが、その硬派なフォーティーンが、アマチュアの為に出したウエッジ。そもそもフォーティーンは、アマチュアのための、ボトムアップ的商品を作り続けていたメーカー。創業当時は僕の尊敬する竹林隆光さんの思想が溢れていた製品を作り続けていた、しかしボトムアップ的商品は残念ながらヒットせず。プロからのトップダウン的なクラブを作り始めて、売上を伸ばしてきた。少し前に直接竹林さんからお誘いいただいて、クラブについて話す機会があったのだが、そんな経緯とかイロイロ苦労話を伺った。

フォーティーンらしさが実はとても溢れているD030だが、かなりの人気商品。僕のブログの8/16の記事に書いたけど、http://www.analyze2005.com/mkblogneo/?p=5907

とても人気なのに中古の流通在庫が非常に少ない。中古で見かけたら買おう!と思っていたが、週2,3日は必ず中古ショップ巡りしている僕でさえ、発売から1年経って中古で見つけた。手放す人が少ないから、中古市場に出回りにくいのだ。形状はフォーティーンのこだわりの形状に、SSウエッジを加えて2で割った感じとなっている。SSウエッジは、チッパーみたいと、形状ゆえに拒絶反応を示す人が少なくないが、さすがフォーティーン。難しくみえて、実はやさしいという路線を守っている。

ソール幅が広いD030だが、SSウエッジとの決定的な違いは、バンスの少なさだ。SW(56度)でバンス角が3度しかない。一方MT28J-SPEC56度は、バンス角が10度、一般的なウエッジなら14度から10度、いわゆるローバウンスと言われるウエッジで8度ぐらいだから、3度というのは極端なローバンス。ほとんどフラットソールと言ってもいいだろう。練習場のマットで打った時は、非常に抜けのよさを感じる。

日本で一番僕の設計したリンクスSSアイアンを売ってくれている、山口県のゴルフ工房カッパーワークスさんは、SSアイアンのことを、「練習場では最悪の評価が、コースで打つと最高の評価に変わる」と言ってくれている。バンスがあると練習場のマット上では跳ねてしまって、評価がわるくなる。しかしコースでダフリ気味にヘッドが入っても、バンスが救ってくれるからだ。

D030はバンスがない分、マットでは非常にいい。しかしバンスがないとダフリのミスには弱いだろう。しかしトップ目に入って、ソールが跳ねたり、硬いバンカーなどのミスには非常に強い。全てのミスを救ってくれるクラブというのは、残念ながら存在しない。SS、MSウエッジやSSアイアンは、ダフリのミスに強いが、トップに入るとソールが跳ねやすい。D030は、コックがほどけてヘッドが手前から入るダフリのミスには弱いが、トップ目に入ってもミスになりにくい。どちらかのミスがなくなれば、スイングの注意するポイントがハッキリする

顔の作りといい、機能といい、非常に上手くマーケティングされたクラブ。これは硬派なイメージのフォーティーンが出したから売れたと言えるだろう。

 

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