マグレガーMACTEC NV3アイアン(2004)

このインプレッションは2013年10月に書かれたものです

まだまだ暑いが、気がついたら例年のごとくゴルフクラブの新製品発表会の季節。はやくもゼクシオ8やNEWグローレが口火を切って発表された。このモデルに限らず発表会では前モデルとどれくらい性能が上がったかを、様々な要素でアピールする。それはしかたのないことだと理解するが、本当に細かいところまで、こちらからすると微細過ぎて、思わず製造誤差の範囲ではないかというぐらい細かい数値の変化をアピールする。

それはゴルフクラブに限ったことではなく、ビジネスにおいても前年比が問われるのと同じ。しかし本来クラブが持つ基本的なことが、どれぐらい変化した伝わりにくくなっている。やさしい、打ちやすい、という言葉が並ぶのだが、何か本質的なことが見えてこない。

しかし買わずにいられない性格は、まるでモデルチェンジにおけるメーカーの説明のように、僕の脳から発せられる「これはもしかして、かなり違うのではないか?」「もしかして、凄くよかったらどうしよう」という本質的でない、煩悩の声に反応して、とりあえず買ってしまうから、新製品シーズン前に断捨離する必要がある。

さて今回もいろいろ持って中古ショップに行き、買い取り査定してもらう時間にあれこれ探していると、2004年のマグレガーのアイアン、マックテックNV3が1万円で売っていた。当時のマックテックは2000年から続くゼクシオ全盛時代に、アンチゼクシオの一番手だったブランド。マックテックはナビシリーズNV、NV2、NV3とここでピークを迎える。ウッドも人気だったが、アイアンも低重心、深重心にとことん挑戦していた。

P1050471

アイアンで重心高を下げるため一番効果的な方法は、ネックの重量を少なくすること。キャロウェイのS2H2は、ショートホーゼルにして、スルーボアにすることで、ネックの重量を最小限に抑えたが、マックテックはホーゼルにチタンを採用することで、ネック重量の低減を図った。簡単にチタンを採用と書いたが、チタンは高価で、加工するのも高価、構造も複雑とかなり大胆な手法をとった。非常にコストを投入したのに、価格には今までどおりと、戦略的モデルでもあった。さらにマレージングフェース+ソールにタングステンと、今ではどこも出来ないであろう贅沢な素材を使って、NV3は作られている。

P1050470

しかし残念ながら、マックテックシリーズで一番低重心なのはNV2の16.6mm。(NV3は19.2mmとゼクシオシリーズとほぼ同じ)16mm台は今まで発売された全てのアイアンの中でもかなりの低重心だといえる。こちらは構造はほぼ同じでも、チタンフェースの分さらなる低重心になっていた。しかしマックテックNV3は、高反発規制にアイアンで唯一ひっかかったモデル。ボール初速にも挑戦していたモデルだった。実際に打ってみると、呆れるぐらい飛ぶ。

NV2もNV3も、低重心や、ボール初速というテーマに対して、目先だけでなく本質的に挑戦していたモデル。残念ながらブランドイメージやデザインで、この本質の素晴らしさを伝えきれなかった。僕のモノづくりは、オリジナルであることにこだわっていない。こんな素晴らしいもの、いいものを、更に良くすることが原点。「パクリジナル」という言葉をご存知だろうか?!木下晃伸さんのという方が書かれた本から生まれた言葉。良い物を徹底的に学習することで、その本質を見極め更に進化させることだと僕は解釈している。

音楽ほどではないが、ゴルフクラブには歴史がある。いいモノ、いい発想、とことん追求すれば、もっと評価されたのに・・というクラブが山のようにある。埋もれていった隠れた名作を、見つけてその本質を追求して、しっかり形にする。そしてその本質を、一生懸命コンテンツにして訴えることで、クラブを作り、ゴルファーに使ってもらおうと思っている。

ナチュラルパターは、オデッセイのバックストライク。MS、SSウエッジは、クリーブランドのニブリック、SSアイアンはプロギアのegg。非常にリスペクトした製品を更に良くしようというのが原点。そしてマックテックNV3アイアンも、リファインして作りたい。

世の中に残らないけど、素晴らしいコンセプト、本質を持っているクラブはたくさんある。世の中に残らない理由はなんだったのだろうかと考える。それはビジュアルや、ビジュアルから受ける印象ではないだろうか?! 僕が作るクラブは、プロからのトップダウンではなくて、アマチュアが使ってスコアがアップする、スイングが良くなるという要素が必ず入る。しかしアマチュアゴルファーが
欲しくなる「夢」の部分は、何十球に一発の奇跡の一発であるとか、松山英樹のように打てると思えるかっこ良さであるとか、「夢」の要素が残っていないと、買ってくれない。

そして大手量販店は、黙っていても売れるクラブを売りたがる。メルマガやブログでしつこく毎日書いていることは、アマチュアゴルファーにとって必要なこと。しかしお店では効率を重視するために、あれこれ説明しなくてもいいクラブを売りたがっている。本質を伝えるよりも、イメージを伝えるほうが簡単だからだ。スコアアップよりも販売を考えると当然の結果だろう。

今後も僕は、自分でパクリジナルを繰り返し、ささやかな抵抗を続けていくだろう。

Facebook にシェア
Pocket
LINEで送る

カテゴリー

コメントは停止中です。