癖と演技の違いについて

演技?

ゴルフと演技(いわゆる芝居の演技)に何の関係があるかと思うでしょう。実は、これが大ありなんです! 演技は役者が自分の身体を使って感情表現します。ゴルフはゴルファーが自分の体を使ってスイングしますよね。

そうです、演技もゴルフスイングも……どちらも自分が思考したことを……自分の身体で表現するという意味では、まったく同じことなんです。

そして、どちらにも共通しているのが、上手くない役者、上手くないゴルファーほど、自分の思考と身体表現(演技、ゴルフスイング)のズレが大きい。ゴルフで言うならば、「頭では遼クンのようなスイングをイメージしているのに、実際のスイングでは似ても似つかない手打ち」なんてことがザラですよね。練習場でもコースでもアマチュアのスイングを観察してみて下さい。「うわっ、いいスイング!」と思えるゴルファーはほんの一握り。80%、いや90以上のアマチュアゴルファーはスイングが美しくない。ギクシャクしているはず。スイングのどこかに問題を抱えているし、ボールも思った所に飛んでいません。そして、そういう人ほど真面目に一生懸命に本を読んで学び、練習しています。

では、なぜイメージと現実の間にギャップがあるのか?

ひとつは自分を客観視しないことにあります。この連載の初めのころにも書きましたが、現実の自分を見つめるアマチュアは非常に少ないです。大抵のアマチュアはボールがちゃんと当たったかどうか、結果(ボールの行方)で自分の動きをフィードバックしています。だから、自分のイメージと現実の動き(スイング)がかけ離れてしまうのです。

そして、ギャップが生じるもうひとつの原因は「癖」でしょう。10日ほど前、劇作家であり演出家である鴻上尚史さんのワークショップに参加した時に教わったのですが、役者の場合、「癖とは、オートマチックに選んだ表現手段」とのこと。例えば、「喜び」いう表現を演じる時にバンザ~イ(無意識に両手を広げて高く上げる)のような動きです。

対して、本当の演技とは、数ある「喜び」という表現の中から、そのシーンに最も適した表現を自分でチョイス(選択)すること。例えば、バンザ~イ、ぴょんぴょんその場で飛び跳ねる、よっしゃーと右手で大きくガッツポーズetc.……、いくつもの表現手段の中から、それに適した、ひとつの表現手段を役者が選んで、それを演じることです。

これをゴルフに置き換えると、イメージと現実にギャップが大きい人ほど、「癖」の集合体でスイングが形作られています。グリップしかり、アドレスしかり、テークバックしかり。数ある動きからひとつを選ぶのではなく、オートマチックに選んだこと(無意識)だけで、なんとかボールを上手く打とうとする。そして、上手く当たらなること、これまたオートマチック(無意識)に、新たな動きを取り入れようとしています。

要するに、練習時に、動作(動き)の選択肢が少ないこと、そして動作(動き)のチョイス(選択)を間違ってしまっている。だから、ビデオやデジカメでスイングチェックすると「えっ、何でこんなスイングになっているの?」、「うわっ、イメージと全然違うじゃないか」なんていう悲しい現実に直面してしまうのです。そして、多くの人は、その悲しい現実に直面すると「自分には運動神経がない」「自分には才能がない」とか、果ては「自分はゴルフが向いていない」等という悲観的な思考をしがちです。

誰もが遼クンやタイガー・ウッズのようなスイングになれるわけではありません。どんな役者も古田新太や松山ケンイチのようになれるわけではありませんが、「癖」ではなく「演技」を意識してトレーニング(練習)に励めば、その努力は必ず報われます。ゴルフなら70台で回れるし、スイング作りにおいては、「癖」を徹底的に排除する練習をすれば、3カ月から半年ぐらいで動きがガラッと変わります。「これって、本当に自分のスイングなの」ってくらい変えられるのです。

道具の進化により、60歳を過ぎてもパープレーで回ることは可能ですし、ドライバーも250ヤード飛ばすことが可能です。でも、それを手に入れるには道具を上手く使いこなすスイング(演技)を身に付けることが不可欠。そのためには「癖」を抱えたまま、ワンパターンな練習しないこと。ゴルフはボールをたくさん打って上手くなれるものではありません。それだけは絶対肝に銘じて下さい。自分のイメージと現実の動きを一致させるトレーニングを積めば、誰もが今よりもワンランク、いやツーランク上手くなれるのです。

それでは皆さん、よいお年をお迎えください。

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