マーク金井blog

2013年05月10日テーラーメイドのドライバーを性能比較してみて分かったこと 完結編

マーク金井が白い恋人と名付けたテーラーメイドのドライバー。現行モデルとしては、R1、グローレ(そしてグローレリザーブ)、ロケット ボールズ(RBZ)ステージⅡがラインアップ。体積はルール最大級の460CC。同じヘッドサイズで3モデルを揃えているのはテーラーメイドぐらいでしょう。
さて、この3つのドライバー。一昨日昨日のブログで性能比較をしてきました。調べれば調べるほど、R1、グローレ、RBZⅡはクラブのキャラクターが異なっています。この3モデルを価格帯が大きく異なりますが、実は価格以上に対象ユーザーが異なっていることが分かります。特にグローレはテーラーメイド中では異色な存在で、リアルロフトが非常に多くてボールが上がりやすく作られています。表示ロフトとリアルロフトが異なることは、もはやゴルフ業界の常識ですが‥‥グローレの場合はそれが顕著に表れてました。

そして、テーラーメイドの3モデルを比較してわかったことがもうひとつあります。それは重心距離と捕まりの因果関係です。具体的な数値を上げると、

グローレ  重心距離41.2mm
重心深度38.5mm

R1    重心距離38.5mm
重心深度35.0mm

RBZⅡ  重心距離40.0mm
重心深度32.0mm

一般的には重心距離が長くなるほど「捕まりづらい」、重心距離が短いと「捕まりやすい」と言われてます。重心距離だけでジャッジすると、一番捕まるのがR1、次がRBZⅡ、そして一番捕まらないのがグローレになります。

しかしながら、実際に打ち比べてみんるとこの3モデルで一番捕まる(ヘッドが返りやすい)のはグローレ、次がR1、一番捕まらない(ヘッドが返りづらい)がRBZⅡです。

では、なぜ一番重心距離が長いグローレが、この3モデルの中で一番捕まりやすいと感じるのか?

R1やRBZⅡと比較した場合、グローレはフックフェースでリアルロフトが一番多い。この2つの要素は「捕まり」に影響が出るスペックですが、実はもうひとつ大きい要素があるんです。

それは‥‥グローレが一番、「捕まり係数」が大きから捕まるのです。マーク金井から以前からヘッドの挙動は重心距離と重心深度のバランスが大事だといい続けてます。例えば重心距離が40mmのドライバーが2本あった場合、1本は重心深度が40mm、もう1本は重心深度は32mm。この2本を比較すると誰が打っても前者の方が捕まりが良く感じ、後者の方が捕まりが悪いと感じます。そうです、この重心距離と重心深度の関係を数値化したのもの‥‥

 

重心深度÷重心距離=つかまり係数
です。この捕まり係数で3モデルを比較してみると‥‥
グローレ   捕まり係数  0.934
重心アングル 23.5度

R1     捕まり係数  0.922
重心アングル 23.0度

RBZⅡ   捕まり係数  0.800
重心アングル 18.0度

この数値の違いを見ると一目瞭然でしょう。グローレはフックフェース、リアルロフトが多いことに加えて、3モデルの中で捕まり係数は一番大きくなっています。そして「捕まり係数≒重心アングル」。重心アングルが大きいとヘッドが返りやすい(捕まりやすい)ことを考えると、捕まり係数はかなり信憑性が高いデータになると思われます。そして、捕まり係数が一番小さいRBZⅡに関して言うと、実際に打ってみても捕まりが良くありません。ダウンからインパクトにかけて、シャフトを軸にしてヘッドが左に回転したがらない。重心距離の数値以上にヘッドが返りづらく感じます。その理由は重心の浅さにあって、重心が非常に浅いから捕まり係数が低く、重心アングルも小さくなっているのです。

重心アングルを計測。この傾きが大きいほど、捕まりが良くなる

重心アングルを計測。この傾きが大きいほど、捕まりが良くなる

つかまり係数については、これから色んなドライバーでデータを取っていきたいと思いますが、マーク金井がドライバーを試打する時、0.93以上になってくるとヘッドが返りやすく感じ、0.9未満になるとヘッドの返りづらさが手に伝わるとコメントを残しています。

ちなみに、重心距離と重心深度の関係についてはクラブ設計家の竹林隆光さんは、かつてゴルフ雑誌でLD値という数値を紹介されています。

写真 (60)
重心距離をLとし、重心深度をDとして、それを掛け合わせた数値がLD値である。主に、重心距離が飛距離に、重心深度が方向性に大きな影響を与えることから言えば、この数値が大きいほど、ボールがとらえやすくて方向性が良く、しかも飛ぶ可能性が高いと見ていい。
(以上、チョイス1995年7月から引用)

このLD値は恐らく、やさしさの目安となっているヘッド慣性モーメントの数値と関連性があるでしょう。「LD値≒ヘッド慣性モーメント」です。言い換えると、LDを計測すればヘッド慣性モーメントをわざわざ計測しなくても、ミスに強いヘッドなのか、ミスに弱いヘッドなのかが分かってきます。ボクがこんなことに気が付くぐらいだから、恐らく、クラブメーカーもLD値についてはかなり研究がすすんでいるでしょう。
んじゃ(▼▼)b
PS.テーラーの白い恋人にぴったりマッチするカラーシャフトを作りました。重量は60g台。FW用に作りましたが、45インチ前後でしたらドライバーにも装着できます。限定生産なのでお早めにどうぞ~。

関係過去記事

「テーラーメイドのドライバーを性能比較してみたら‥‥」

「テーラーメイドのドライバーを性能比較してみて分かったこと、その2」


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