マーク金井blog

2013年07月19日今年の全英オープン、ミュアフィールドはなぜそんなにも難しいのか!?

昨日からメジャー第三戦、全英オープンが始まりました。初日はザック・ジョンソンが「66」をマークして5アンダーの単独首位。1打差の2位にラファエル・カブレラベロー(スペイン)、と大ベテランのマーク・オメーラ。さらに1打差、3アンダー4位タイにミゲル・アンヘル・ヒメネス(スペイン)、ブラント・スネデカーダスティン・ジョンソンら5人が並んでいます。

メジャー通算15勝目を狙うタイガー・ウッズはパットが好調で、フィル・ミケルソンアンヘル・カブレラ(アルゼンチン)らと並び2アンダーの9位タイにつけています。日本勢では大会初出場の大学生ツアープロ、松山英樹が5バーディ、5ボギー「71」と出入りの激しい展開を制してイーブンパーの21位タイ。片山晋呉が2オーバーの47位タイで初日を終えました。その他の日本勢は苦しい展開。久保谷健一が5オーバーの92位タイ、藤田寛之谷口徹丸山大輔は7オーバーの119位タイ。小平智は9オーバーの143位タイ、井上信は12オーバー、152位と大きく出遅れています。

今年の会場となるミュアフィールドですが、全英オープン開催コースの中でも屈指の難コース。7192ヤードでパー71。距離は長くて、どのホールもポットバンカーだらけ。フェアウェイバンカーもアゴが直角なので、入れてしまうと、ツアープロでも出すことしかできません。加えて、風の計算が非常に難しいのもミュアフィールドの特徴。アウトはコースの外周をなぞるように9ホールが配され、時計回りにホールが続いていきます。対してインはアウトの内側に9ホールが配され、反時計回りにホールが続いていきます。巨大迷路のようにジグザグにホールが配されているため、とにかく風の読み、風の計算が非常に難しいのです。

マーク金井は1992年の全英オープンの取材で初めてミュアフィールドに行きました。優勝したのはニック・ファルド。クラブハウスで青木功プロのコースレコード「63」を見ましたが、今年もこの記録は破られないでしょう。ミュアフィールドは全ホールバーディが取れるぐらいの感じで回らないと、こんなビッグスコアは出ないコースなのです。対して、ちょっとでもかみ合わないプレーをするとダボ、トリが簡単に出ますし、小平プロのように1ホールで10を叩くことなんてこともあるのです。ミュアフィールドではツアープロでもミスを取り返そうとした瞬間、ミスの連鎖から抜け出せなくなってしまうのです。

加えて、今年のミュアフィールドはグリーンがもの凄く早い。通常、全英オープンは他のメジャーに比べるとグリーンはそれほど早くありません。リンクスでの開催、風が強いのが当たり前の場所なのでグリーンを早くし過ぎると、パッティングの時にボールが止まらないからです。全英オープンだとグリーンの早さはスティンプメーターで10フィートぐらいが普通ですが、今年はホールによっては12フィート以上出ているように見えました。タイガーも初日、グリーン手前からパットしたボールがグリーンの外に出てました。カップ際で止まりそうなパットが5メートル以上オーバー。「そんなに悪いパットじゃなかったのにね。1メートルちょっとオーバーしたものは、どこまでも行ってしまう。厳しかったね」と、本人もコメントしています。

ラフがとてつも深く、そしてグリーンはとてつもなくアンジュレーションが強い。それに加えてグリーンが超高速になれば、百戦錬磨のプロでもアプローチやパットで距離感をピタッと合わせることは至難のワザ。TV観戦でも、彼らの苦悩ぶりが何度も観ることができるでしょう。

恐らく、このコンディションでアマチュアがプレーしたら、シングルでも軽く100を叩くでしょう。普段、100前後でプレーしている人ならば、ハーフ70ぐらい叩いてもおかしくないと思います。ゴルフ場というのはコンディションが変われば、これぐらいスコアが変わってくるんです。

アマチュアの中にはいつもより3~5打余計に叩いたら「調子が悪い」「スランプ」とか口にする人がいますが、スコアはコースによっても変わり、そして同じコースでもコンディションやピン位置が変わると、かなり難易度が変わってきます。言い換えると、ゴルファーはプレーするコースの難易度、そしてコンディションによって目標(設定)スコアをちゃんと決めないと、思わぬ大叩きをするこになるのです。

では、コースの難易度は何で決まるのか?

我々アマチュアがプレーする場合、まずチェックしたいのがラフの深さ、グリーンの硬さ、グリーンの速さ、そしてピンの位置。ラフが深くなって、グリーンが硬くなるほど、ボールコントロールが難しくなります。ラフに打ち込んで距離を欲張ればチョロが出ます。グリーンが硬くなるほどボールは止まりません。グリーンが早くなればパットの距離感が難しくなります。そしてピン位置が厳しいほど、グリーンを外した時にアプローチが難しくなります。例えば、日本オープン直前直後の開催コースは信じられないほど難易度が上がります。もしチャンスがあれば、ぜひとも一度、日本オープンや男子ツアーが開催された直後、そのコースでプレーしてみて下さい。難易度が高くなると、自分のプレーが全然できないことを身を持って体験できるでしょう。

ちなみに、マーク金井がトーナメント直後のコースでプレーする時、目標スコアは「88」。普段よりも10打プラスしています。これぐらいの気持ちでプレーに臨まないとゴルフになりません。簡単に100近く叩いてしまうことを痛いほど知っているからです。

プロが1ホールで10も叩くなんて……なんて思っている人はまだまだゴルフの怖さを味わっていません。

ゴルフはセッティングを変えるだけで嘘みたいにやさしくなったり、難しくなるのです。

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