マーク金井blog

2013年07月24日今年の全英OP、6位の松山英樹はなぜ最新ドライバーを使わないのか!?

東北福祉大学の現役学生でありながら、今年プロ入りするやすでに賞金獲得額も1億円を超えました。世界ランクも大幅にジャンプアップし、前週44位だったのが34位までジャンプアップしました。世界ランク50位以内だとマスターズに出られることを考えると、もはや名実ともに世界的なプレーヤーと言えるでしょう。米ツアーであと8万ドルほど稼げば、賞金ランクが125位以内となって、来年のシード権を獲得できます。

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GDOより転載 撮影はJJ田辺 フォトギャラリーは←をクリック

松山英樹プロはアマの頃もプロになってからも使用クラブに大きな変更はありません。ドライバーとFW、そしてアイアンはスリクソン。スリクソンと契約したから使っているのではなく、スリクソンを使っていたからスリクソンと契約したのでしょう。契約外で使っているのは唯一、ユーティリティ。ユーティリティだけは何故かブリヂストンのツアーステージX-UT(19度)を使っています。具体的なモデル名を挙げると、

ドライバー
スリクソンZR-30

3W
スリクソンZ525

UT
BS ツアーステージX-UT(19度)

3~9、PW
スリクソン Z925

AW、LW
クリーブランドCG17(52度、59度)

パター
タイトリスト S・キャメロンプロトタイプ
(ピン型)

このセッティングを見て「おやっ」と思った人もいるでしょう。そうです、ドライバー以外は最新モデルなのに、なぜかドライバーはかなり古いモデルを使っています。マーク金井GDOの試打インプレッションでZR-30を試打したのは、なんと2008年10月21日。今から5年ぐらい前に登場したドライバーを松山プロはわざわざ使っているのである。ちなみにこのZR-30はハードヒッターに人気のあるモデルで、日本を代表するロングヒッターの諸藤勝次プロもこのZR-30を長く使っています。

では、なぜ松山プロは最新モデルではなくてわざわざ5年前のドライバーを使っているのか?

いくつか理由が考えられますが、ヘッドの重心特性を考えるとZR-30は松山プロと非常に相性が良いのが窺えます。ヘッドスペックをざっと紹介すると‥‥

体積      420.3CC
慣性モーメント 3957gcm2
ライ角     58度
重心距離    37.4mm
重心高     31.1mm
重心高2    23.5mm
重心角     20.1度

ゴルフクラシック重心ハンドブック2013年度版から引用)

ヘッド体積のわりには重心距離は短くありませんが、特筆すべきことは重心高が低いこと(重心高2の数値が大きいこと)。これによりオートマチックに低スピン弾道が打ちやすい。ヘッドスピードが速くない人にはボールが上がりづらい反面、ヘッドスピードが50m/s以上の人には吹き上がりを抑えてくれるので安心感があります。そして、重心距離に対して重心深度が非常に浅い。これまたスピンを減らせるスペックです。そして、重心角(重心アングル)が小さいので、叩きにいった時に引っかかりづらい。アマチュアには捕まりづらく上がりづらいドライバーですが、ヘッドスピードが速いプロには非常に使い勝手が良いのです。松山プロはドライバーの打点が先っぽよりになってますが、

ZR-30は重心位置がほぼセンター。先っぽで捕えてもチーピンが出づらいことも気に入っているのでしょう。ちなみにマーク金井がこのドライバーを打ったら、キャリーが著しく出ませんでした。キャリー210ヤード、ラン50ヤードって感じのドライバーだったことを今でも記憶しています。

ちなみに最新モデルの中ではZ925はZR-30と重心位置が似ていますが、重心の低さはZR-30に軍配が上がります。また、Z925はヘッド体積が380CCと非常にコンパクトで、重心距離も35.4ミリと短い。それでいて重心深度は34.7ミリと深めです。このためZR-30に比べると、Z925はスピンが掛かりやすい(吹け上がりやすい)重心特性。恐らく、松山プロもスピン量が自分にマッチしなかったことが、使用に至らなかったのかと思われます。

クラブは年々進化していますが、市販ドライバーの多くはヘッドスピードが並外れて速い人向けには設計されていません。理由は単純、そんなユーザー(アマチュアゴルファー)は非常に少ないからです。このため、ヘッドスピードが50m/s以上が出せるプロは、最新ドライバーが必ずしも「最も飛ぶドライバ-」にならない可能性があるのです。

誰が打っても飛ぶドライバーはありません。ヘッドスピードによって飛ぶドライバーは明確に異なります。これは昔も今も変らない事実ですが、何故か市販ドライバーの売れ行きを見ていると、プロが飛ばせるドライバーは売れますが、アマチュアが飛ばせるドライバーは今ひとつ売れ行きが伸びません。

その理由については明日じっくり説明しましょう~。
(▼▼)b

PS.FWとユーティリティはシャフト重量がすごく大事です。軽いシャフトが装着されていると手打ちになったり、スイング軌道が不安定になります。ヘッドスピードによっても適正重量は変りますが、手打ちになりやすい人や、チョロ、トップが出やすい人は、シャフトを少し重くするだけでミート率が格段にアップします。アナライズではFW用に65g、ユーティリティ用に70gのシャフトをラインアップしてます。ぜひ試してみて下さい~。


カテゴリー ゴルフクラブ分析, トーナメントから

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