マーク金井blog

2013年08月23日国内メーカーはなぜロフトが多い3Wを作らないのか?

今週発売中の週刊ゴルフダイジェスト‥‥

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普段は買物の連載でマーク金井が登場しますが、この号では他に2本の企画を手伝っています。1本はテーラメイドのタイアップでSLDRの試打インプレッション。このSLDR、重心は浅くて重心アングルも18.5度と非常に小さいにもかかわらず、同社のロケットボールズ(RZB)に比べるとヘッドの挙動がニュートラル。グローレほどは捕まりませんが、ロケットに比べると捕まります。テーラーの契約選手の多くがR1からSLDRにスイッチしているみたいです。

写真 (95)

そして、もう1本手伝っているのが「3Wはロフト17度が良い」。このブログでも書きましたが、マーク金井が今使っているエース3Wは初代ロケットボールズの3HL。HLはハイローンチの略で3Wにもかかわらずロフトは17度もあります。ロフトだけを考えれば4Wとか5Wに近いですが、ヘッド体積は3Wと同じなのでヘッドが大きく、そしてシャフトも3Wと同じ長さです。

ロフト17度~

ロフト17度~

さて、この3Wのロフト。

アメリカでは昔から17度とかのロフト設定があったりしますが、日本メーカーではほとんどありません。現在市販されているモデルとしてはフォーティーンの兄弟会社であるコンセプトのW422ぐらいです。ロフトが多い3Wがほとんどないので、週刊GDでは3Wを止めて4Wや5Wを使いましょうと締めくくっていました。

ロフトが少ない3Wについては国内メーカーでも作っている所がけっこうあります。ざっと上げてみてもロイコレPRGRBSダンロップなどは15度未満の3Wを出しています。外ブラもツアースプーンとか3+というネーミングでロフト13~14度の3Wをラインアップしています。

では、なぜ国内メーカーはロフトが多い3Wを作らないのか?

国内メーカーのクラブ開発者の多くは、アマチュアがFWで飛距離を稼ぐためにはロフトが必要なのはとうの昔から知っているはずです。ダンロップなどはロフト17度のドライバー(ゼクシオセブンティーン)を出したぐらいですから、ロフトの必要性は重々理解しているはずです。週刊GDではアマチュアの飛距離がロフト別でどう変るのかを比較してましたが、クラブメーカーならばすでにこんなことは検証ずみ。ボールが低スピン化していること、FWが低スピン化していることを考えれば、3Wはロフト17~18度ぐらいが適正なことは分かっています。にも関わらず、国内メーカーはロフト17度の3Wは市場投入してません。

ここからはマーク金井の推測ですが、恐らく国内メーカーは「3Wは15度」というルールに縛られているのではないでしょうか? ドライバーは表記ロフトとリアルロフトにギャップを作っても、なぜか3Wとなると表記ロフトとリアルロフトに差がほとんどありません。このため、アベレージ向けドライバーなんかだと‥‥同一モデルの3Wと比較すると、

ドライバー
10.5度表記(リアルロフト12.5度)

3W
15度表記(リアルロフト14.5度)

なんてモデルもあったりします。結果、ドライバーは球が上がりやすい反面、3Wはボールが上がりづらいなんてことになっています。ちなみに3Wの場合、リアルロフトが増えない理由としてフェースアングルの設定があります。ドライバーと違って、3Wの多くはスクエア、もしくはオープンフェース。オープンフェースになっている場合、リアルロフトはフェースが開いた分だけ減ってしまうからです。例えば、アスリート向けのFWを作るのが上手いロイコレロマロの3Wだと、フェースアングルが-2度前後あったりします。フェースが2度開いていると‥‥15度表記の3Wのリアルロフトは13度ぐらいまで減ってしまう。ヘッドスピードが速い人が使えば吹き上がらずに飛ぶ3Wになりますが、ヘッドスピードが遅い人が使うとボールは上がりません。ただし、ティアップして打つとドライバー並に飛びます。

もしマーク金井がメーカー担当者ならば、ロフト表記しない3Wを作るでしょう。そしてユーザーから聞かれれば、ロフトは15~17度ぐらいなんてファジーに応えると思います。昔、あるメーカーはインパクトロフトと言う表現をしてましたが、それを使えるならば「インパクトロフトが15度」になるスプーンだと応えるでしょう。

17度がFWで一番飛ぶならば3Wではなく、4Wや5Wを使えばいいじゃないか‥‥もちろんこれが正論ですが、ゴルファー心理としてはキャディバッグに3Wを入れたいもの。3Wがバッグに入っているだけ優越感に浸れることを考えれば、ロフトが多い3Wはマーケットがあるとマーク金井は見ています。そして、もちろんこんなことを書いているということは、ハイ‥‥すでにロフト17度の3Wを作り始めています。国内メーカーにもどんどん17度の3Wを作ってもらえたら、日本のゴルファーは今よりもっと3Wを活用できるし、ゴルファーのハンデも確実に減らせるでしょう~。

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PS.マーク金井が設計したリンクスのナチュラルパターのセカンドロットが売り切れました。次は8月末に50本だけ再入荷します。今ご予約いただけすと、予約特典が付きます。数に限りがありますので、ご予約はお早めに~。


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