マーク金井blog

2013年06月04日残酷な世界でゴルフクラブが生き延びる方法とは‥‥

ゴルフクラブに負けず劣らず、最近衝動買いをしまくっているのがデジタルカメラです。週刊ゴルフダイジェストにてデジタル機器をお買い物する連載が始まったこともあって、気がついたらアキバの中古ショップを徘徊しています。このひと月あまりでデジカメを3台購入しちゃいました(笑)

カメラ
新品は買いません。衝動買いしているのはもっぱら一世代前のモデルばかり。中古ショップにはたくさんの高性能は中古が出回っています。フェースブックやブログ上に写真を上げるのがメインなので、画素数にそれほどこだわらなくていいからです。マーク金井がこだわっているのはスペックよりも、手に持った時のホールド感、そして露出調整のしやすさシャッターの切りやすさ。道具として使い勝手が良いかどうかが、購入の決め手になっています。

さて、このデジカメ。モデルチェンジが頻繁で非常にシビアな業界です。残酷な世界でビジネスが繰り広げられていますが、実は、ゴルフクラブも同じことが言えます。量販店に行けば所狭しと新製品が並んでいますし、中古ショップにいけばこれまた所狭しとマークダウン品や中古クラブが並んでいます。そして値引き競争が繰り広げられ、今やツアープロが使っているドライバーが3万円台、フェアウェイウッドならば1万円台で買えてしまいます。今話題のロケットボールズだって、初代モデルならば1万5000円ぐらいで手に入ります。そしてデジカメ同様、ゴルフクラブも毎年のようにモデルチェンジが行われ、

デジカメ同様、スペックアップを強くアピールする商品(クラブ)が次々と登場します。
こんな残酷な世界で生き延びるためには、一体何をすればいいのか?
性能訴求以外で考えられるのは、デザインやカラーバリエーションだと思っていたら、あのテーラーメイドが実際にやり始めました。主力商品であるR1でブラックバージョンを限定発売。日本人は限定に弱いという点も購買欲が大いにそそられます。これはかなり売れるでしょう。

テーラー黒

もちろん、アナライズもすでにシャフトのカラバリには力を入れており、標準の白黒バージョンに加え、テーラーメイドよりも先に黒白バージョンを作て発売しております。

加えて、白×緑、白×黄バージョンも限定生産しちゃいました。この2本はロケットボールズ用に作ったのですが、意外にも、他社のFWやドライバーに装着されるユーザーが予想外に多かったです。ゴルファーが色やデザインに関心が高いことが再認識できました。デザインやカラバリでクラブをマイナーチェンジすることは、ユーザーに喜ばれるひとつの方法でしょう。
色やデザインを変えるなんて子供騙しみたいだと思われるかも知れませんが、ゴルフクラブの性能進化はかなりギリギリまできています。そして急激なクラブの進化に対して、アマチュアゴルファーが追従しきれていない現実もあるのです。5月27日28日のブログでも書きましたが、アマチュアの多くはシャフトクロスになっていたり、テークバックでフェースを開いている人が非常に多い。このタイプのゴルファーは今どきの進化したクラブだと性能をフルに引き出せません。今どきのクラブの性能をちゃんと引き出せるのは、プロや上級者だけなのです。
一昨日もアナライズにはアマチュアゴルファーが2人来店されましたが、2人とも今どきのクラブを使いこなせないスイングになっていました。

スイング
デジカメは進化しても使い勝手はそう変りませんが、ゴルフクラブは進化するほどのに使い勝手が変ってきます。例えるならば万年筆とパソコン入力ぐらい違うかも知れません。ペンで文字を書くときは片手で紙に線を描きますが、パソコン入力は両手でキーを打刻します。昔のパーシモンのドライバーと今どきの460CCドライバーは、これぐらい使い勝手が違うのです。
プロや上級者は無意識の内に道具(クラブ)に見合った打ち方をしていますが、アマチュアはそれが出来ていないのが現実です。プロの飛距離が飛躍的に伸びた、アマチュアの飛距離が飛躍的に伸びていないことが、何よりもの証明です。
残酷な世界で生き延びるために作られた今どきのクラブを使いこなすには、クラブに適合したスイングが求められます。昨日、来店いただいたアマチュアゴルファーもゴルフの竪琴でシャフトをクロスを治したら、劇的にトップの形が良くなりました。大事なことなのでもう一度いいます。残酷な世界で生き延びるために作られたゴルフクラブを上手く使いこなすためには、道具に見合ったスイングをすることが必要不可欠なんです。

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ボールをたくさん打ってもスイングは変わりませんボールの行方や自分のフィーリングが邪魔をするからです。悪い癖を直したい、本気で正しいスイングを会得したいと思うならば‥‥身体の動きをチェックしやすい方法で練習しましょう。マーク金井はゴルフの竪琴を使っているのは、これが一番身体の動き、そして正しいハンドアクシンを会得できるからです~。

ゴルフの竪琴

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2013年06月03日どんなパターを作れば3パットを減らせるのか? その2

3パットを減らせるパターを作る上でマーク金井がこだわったのが、ショートパットが入りやすいパターを作ること。2メートルに自信が持てれば、ロングパットを打つ時に「寄せなくては」というプレッシャーがかかりません。加えて、ショートパットが入りやすいパターならば、寄せワンの確率もグッと上げられるからです。

では、どんなパターを作ればショートパットがビシビシ決まるのか?

昨日のブログでも書きましたが、それはハンドファーストに打ちたくなるパターです。プロ、アマチュアを問わず、ショートパットが上手い人はインパクトで若干ハンドファーストになっています。宮里藍ちゃんもインパクトはハンドファーストに打ってますが、普通のパターでハンドファーストに打とうとするよりも、ハンドファーストに打ちたくなるたくなるパターを使った方が、オートマチックにハンドファーストで打てるからです。

具体的に言うと、シャフトを左から装着すると、ヘッドをポンと置くとシャフトは左に傾きます(自分から見て)。このままアドレスするとハンドファーストの形になるんです。

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たかがシャフトの装着角度と思うかも知れませんが、実は、たかがシャフトの装着角度で構え型はガラッと変わるのです。シャフトを左から挿すと、アドレスするとフェースが左を向いた感じになります。ドライバーに例えるならば、シャフトを左から挿したパターは「フックフェース」のようなもの。これで逆ハンドファーストに構えるとフェースはとんでもなく左を向きます。結果、フェースを真っ直ぐ向けようと構えれば自然にハンドファーストの形になるんです。

加えて、逆ハンドファーストでインパクトを迎えてしまうと‥‥これまたフェースが極端に左を向くため、左に引っかかる。引っかけないで打とうと心がけるので、結果、自然にハンドファーストの形でインパクトを迎える打ち方になるのです。
もちろん、ただシャフトを左から装着しただけでは「ショートパットが入りやすい」パターとして完成に至りません。ハンドファースト打ちなくなるパターを作るには、他にも仕掛けが必要です。そのひとつめが、

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多めのロフト。
今どきのパターの多くは、転がりの良さを求めてロフトが2~4度と少なめです。対して、マーク金井が作ったパターのロフトは7~8度。パターとしてはロフトが多めです。ゴルファー心理ととして、ロフトが多くなるほどハンド-ファーストに構えたくなるのと、ハンドファーストに構えた時にインパクトロフトが3~4度にしたいからです。たかがロフトと侮ってはいけません。ロフト2度のパターでハンドファーストに構え、ハンドファーストに打ったらインパクト時のロフトは0度未満になり、ボールの転がりが極めて悪くなってしまいます。グリーン上のボールは自重で芝に少し沈んでいます。沈んだボールを芝の上に浮き上がらせるためにはロフトが必要なのです。次にふたつめの仕掛けは、

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115gのヘビーウエイトグリップ。
グリップエンドを支点にして、ヘッドを振り子運動させてしまうとハンドファーストには打てません。インパクトで左手首が甲側に折れて逆ハンドファーストになるリスクが高くなります。ハンドファーストに打つためには、グリップ、シャフト中央、そしてヘッド。この3つの部分が平行運動させることが求められます。そのためにはグリップは軽いよりも重いほど有利なんです。グリップ側の重量を増やした方がカウンターバランスになって、ゴルファーは手元側の重量を感じます。加えて、パター全体の慣性モーメントの数値が上がるために、ヘッドだけでなくパター全体を動かしやすくなるのです。マーク金井はグリップを重くするために、普通の長さのパターに中尺用のロンググリップを装着しました。グリップの長さを伸ばすことで115gのヘビーグリップを装着しました。
アナライズではすでにパター用のシャフトスタビライザーを市販しています。これは非常に良いのですが、いかんせんコストがかかり過ぎます。グリップを重くすることでシャフトスタビライザーと同じ効果を狙いました。そして3つめの仕掛けは、

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ディープミーリング。
ミーリングとはフェース面を平滑にするための処理ですが、処理した時に削った跡が残ります。この跡がくっきり深くなるほど打感はソフトになるのです。開発段階ではフェース面がツルツル、フェース面に浅いミーリング処理跡、そして深いミーリング処理跡。この3つのヘッドで打ち比べると、明らかにミーリング処理跡が深いほど打感がソフトになります。打感がソフトに感じるほどインパクトで緩みづらくなり、これまたハンドファーストに打ちたくなるのにつながるのです。
ドライバーやアイアン同様、パターにだって、プロ、上級者用の難しいモデルと、アマチュア向きのやさしいモデルとがあるのです。マーク金井が今回作ったパターはアマチュア向け、自然にハンドファーストに打てるパターです。なので、名前ばベタ丸出しですが、「ナチュラル ハンドファースト パター」しました~。

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PSその1

ナチュラル ハンドファースト パターは7月上旬発売予定です。今週水曜日ぐらいから予約受付を開始します~。

PSその2

ボールをたくさん打ってもスイングは変わりませんボールの行方や自分のフィーリングが邪魔をするからです。悪い癖を直したい、本気で正しいスイングを会得したいと思うならば‥‥身体の動きをチェックしやすい方法で練習しましょう。マーク金井ゴルフの竪琴を使っているのは、これが一番身体の動き、そして正しいハンドアクシンを会得できるからです~。

ゴルフの竪琴

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2013年06月02日3パットを減らせるパターって本当にあるのか?

昨日フェースブックにもアップしましたが、マーク金井が開発に携わっていたパターがついに完成!!。金型を何度も作り直し、1年以上かけて作り上げたパターが‥‥

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これです。ヘッドはマレット型とT字型を足して2で割ったような形状。センターシャフトでほぼフェースバランスという風に作ってあります。見た目はそれほど奇抜ではありませんが、じっくり見ていくとかなり普通じゃありません。いわゆるパターの常識をことごとく覆すような作りになっているんですが、それにはちゃんとした理由があります。
設計段階でまずテーマに上げたのが‥‥
3パットを減らしてパットシングルになること。中井学プロが「パットシングル」というレッスン本を書かれてますが、まさにパットがシングルの腕前になればそれだけでスコアは確実に良くなります。全米シニアで優勝した井戸木鴻プロを引き合いに出すまでもありませんが、ドライバーが飛ばなくてもパットが入ればスコアはグングン良くなるのです。
では、どんなパターを作れば3パットを減らせるのか?

3パットを減らすには、2つの方法があります。
ひとつはロングパットが0Kの距離に寄せられるパターを作ること。距離感がぴったり合えば3パットを確実に減らせます。もうひとつは2メートル以内のショートパットがワンパットで沈められるパターを作ること。ロングパットを少々失敗しても‥‥2メートルが入ってくれれば3パットを確実に減らせます。
マーク金井が選んだのは後者です。とにかくショートパットが入りやすいパターを作ることを設計の基本コンセプトとして開発に着手しました。2メートルが入ってくれれば、ロングパットを打つ時に「寄せなくては」というプレッシャーがかかりません。加えて、ショートパットが入りやすいパターならば、寄せワンの確率も上げることができるからです。
では、どんなパターを作ればショートパットが得意になるのか?
そのヒントはパットの名手の打ち方にあります。5月26日のブログでも書きましたが、宮里藍プロをはじめ、パットが上手い人はインパクトで若干ハンドファーストになっています。ほんのわずかにグリップがシャフトを先行してボールを捕らえています。対して、アマチュアでパットが下手な人の80%以上はハンドファーストとは逆で、逆ハンドファーストの状態でボールをヒットしています。いわゆる手首をこねた感じでボールをヒットしているので、転がりが悪く、ショートパットで左に引っかけることが多いのです。言い換えると、アマチュアがショートパットを打つのに必要なのは‥‥
ハンドファーストに打ちたくなるパターです。
ハンドファーストに打つためにはハンドファーストに構えることが必要不可欠ですが、それをパターが促進することは可能です。具体的に言うと、シャフトの装着角度を変えてやればいい。市販パターの多くは、シャフトが右から入っています。このため、ヘッドをポンと地面に置くとシャフトは右に傾きます(自分から見て)。このままアドレスすると逆ハンドファーストの形になります。対して、シャフトを左から装着した場合、ヘッドをポンと置くとシャフトは左に傾きます(自分から見て)。このままアドレスするとハンドファーストの形になるんです。

 

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たかがシャフトの装着角度と思うかも知れませんが、実は、たかがシャフトの装着角度で構え型はガラッと変わるのです。もちろん、シャフトを左から挿すとデメリットもあって、アドレスするとフェースが左を向いた感じになって、プロや上級者は「引っかかる」イメージで嫌います。ドライバーに例えるならば、シャフトを左から挿したパターは「フックフェース」のようなもの。プロや上級者はこれを非常に嫌い、その結果、市販パターの多くはシャフトを地面と垂直、もしくはシャフトをわざと右から挿すようにしています。

シャフトを右から挿すと、ドライバーの「オープンフェース」のような感じになって、引っかけづらいイメージが出るからです。要するに、市販パターの多くはパットが下手なアマチュアの為に作ることよりも、パットが上手いプロや上級者が構えやすいように作られているわけです。そして、シャフトが右から挿してあるパターはハンドファーストに構えづらく、ハンドファーストに打ちづらくなっています
対してシャフトを左から挿すと、逆ハンドファーストに構えるとフェースはとんでもなく左を向きます。結果、フェースを真っ直ぐ向けようと構えれば自然にハンドファーストの形になる。加えて、逆ハンドファーストでインパクトを迎えてしまうと‥‥これまたフェースが極端に左を向くため、左に引っかかる。引っかけないで打とうと心がけるので、自然にハンドファーストの形でインパクトを迎えることができるのです。
もちろん、ただシャフトを左から装着しただけでは「ショートパットが入りやすい」パターとして完成に至りません。ショートパットでカップインの確率を上げるためには、他にも色々なアイデアが必要です。それについては次回じっくり説明しましょう。

 

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PSその1.ナチュラルハンドファーストパターは7月上旬発売予定です。今週水曜日ぐらいから予約受付を開始します~。

PSその2.ボールをたくさん打ってもスイングは変わりません。ボールの行方や自分のフィーリングが邪魔をするからです。悪い癖を直したい、本気で正しいスイングを会得したいと思うならば‥‥身体の動きをチェックしやすい方法で練習しましょう。マーク金井ゴルフの竪琴を使っているのは、これが一番身体の動き、そして正しいハンドアクションを会得できるからです~。


2013年06月01日ゴルフクラブはデジカメと同じ道を歩むのか?

二ヶ月ほど前から、週刊ゴルフダイジェストで「新・買わずに入られない」という連載を始めています。ゴルフ雑誌ですがゴルフクラブを買った話は今のところ一度もありません。デジカメやスイング分析アプリ、ポータブル弾道計測器を衝動買いしたことをコラム的に書いています。ネタがなくなってくればゴルフクラブも登場させるかも知れませんが、目下のところはライバルは週刊アスキー。ゴルファーの視点でデジ物をあれこれ取り上げていきます。

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そんなデジ物大好き人間なマーク金井ですが、今、衝動買いしまくっているのがデジカメ~。
コンデジ(コンパクトデジタル)のちょっと高機能バージョンに嵌りまくり、キャノンG15を所有しているにもかかわらず、ライバル商品のニコンP7700ペンタックスのMX-1を今にも買いそうな勢いでカタログで性能比較しています。そしてカタログを見ればみるほど‥‥デジカメとゴルフクラブには類似点が多いことも分かってきました。

ピンのドライバー同様、表面はマットブラック仕上げ~。

ピンのドライバー同様、表面はマットブラック仕上げ~。

コンデジとゴルフクラブ‥‥
まったく用途が違う商品ですが対象ユーザーは似ています。どちらも道具(ギア)が好きなオジサンが買います。そしてスペック(性能)にうるさい人が買います。だからでしょう。謳い文句はスペックのオンパレード。ゴルフクラブと比較してみると‥‥
コンデジ    光学4倍ズーム
開放F値1.8
有効約1200万画素
秒間10コマの連写

ゴルフクラブ  弾道調整機能 168通り
0.4mmの極薄クラウン
慣性モーメント10%アップ
70トンの高弾性シート採用
デジカメもゴルフクラブも数字を出すことで高機能をアピールしています。形容詞を羅列するよりも、具体的な数字を出した方がユーザーに分かりやすいし性能訴求もしやすいからです。ユーザー側も物理的な優位性、数値的な優位性を求める傾向があることも、数値競争に拍車をかけていると思います。
では、数値が良ければ本当に高性能なんでしょうか?
デジカメについてはこれから数値と実際の性能について吟味していきますが、ことゴルフクラブにおいては、数値競争がそろそろ限界に近づいている気がします。数値に優位性があるクラブが必ずしもゴルファーにとって扱いやすい道具(クラブ)になるとは限らないからです。例えば、慣性モーメント。慣性モーメントが大きいヘッドはミスに強いと言われています。確かにそうで、例えば慣性モーメントが3000gcm2のドライバーと4500gcm2のドライバーを比較すると、後者の方がミスに強い特性があります。慣性モーメントの数値が高くなるほど、ミスヒットした時にヘッドがブレにくく(エネルギーロスが少なく)、飛距離と方向性が安定します。
ただし、これはある程度正しいスイングをしているという前提によって成り立っています。慣性モーメントが大きなヘッドは総じて重心距離が長くて、重心深度(重心の深さ)が深くなっています。結果、重心位置はシャフトの軸線よりも遠ざかります。このため、スイングが不安定なゴルファーが慣性モーメントが大きいヘッドでスイングをすると‥‥重心をコントロールしづらくなったり、フェースの向きをコントロールしづらくなるのです。
例えばテークバックでフェースを開いてしまう人や、トップでシャフトクロスする人の場合、慣性モーメントが大きいドライバー(重心距離が長くて深いドライバー)はスイングとの相性が良くありません。スイング中にヘッドの重心位置を大きく動かしてしまうために、ヘッドの挙動が不安定になります。結果、やさしいはずのドライバーの方が芯で捕える確率が下がってしまう恐れがあるのです。先日、アマチュア120人分のスイング動画を分析しましたが、シャフトクロスになっている人の場合、慣性モーメントが大きいヘッドを使っている人ほど、ヘッドの挙動が不安定になってスライス、プッシュアウト、そして引っかけを打っていました。誤解を恐れずに言えば、シャフトクロスになっている人の場合、慣性モーメントが大きいヘッドを使うと、メリットと同じぐらいデメリットが発生するリスクが高まるのです。
デジカメならばシャッターを押しさえすえば、カメラが持っている性能をかなり引き出せるでしょう。しかしゴルフクラブはそうは問屋が卸してくれません。ゴルファーがちゃんとしたスイングをしないとクラブの性能を引き出すのが極めて難しいのです。
今どきのやさしいクラブの性能を引き出すためには、クラブが求めるスイングをゴルファーがやることが必要不可欠です。ちょっと矛盾しているかも知れませんが、ゴルフの場合、道具(クラブ)がやさしくなればなるほど、技術が求められると言ってもいいでしょう。特にドライバーの場合は、この傾向が顕著になってきました。言い換えると、スイングが不完全なアマチュアが打ちやすいクラブ(特にドライバー)というのは、市場(ゴルフショップ)にはあまり出回っていないとも言えます。
テーラメイドキャロウェイのように飛距離をアピールするのもそろそろ限界が近づいてきました。慣性モーメントの数値もほぼ限界まで大きくなってきましたし、ヘッドを肉薄にすることやシャフトの弾性率を上げることもそろそろ限界に近づいています。

 

ゴルフクラブはこれからどんな方向に進化していくのか? その答えは3ヶ月後ぐらいから徐々に明らかになってくるでしょう。
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ブログで取り上げていたので、ゴルフの竪琴が売れています! クラブの性能を引き出すスイングをするために、ゴルフの竪琴で自宅練習しましょう


2013年05月31日全米シニア覇者、井戸木鴻樹から学ぶダウンスイングの極意!!

初めての米ツアー参戦、初めてのメジャー参戦でいきなり全米シニア選手権を制した井戸木鴻樹。ドライバーの飛距離が出るプレーヤーではなく、フェアウェイキープ率の高さに定評があるプレーヤーです。スイングの特徴としてはテークバックが「ノーコック」と評されることが多く、そして「ノーコックだから曲がらない」と言われています。
しかし昨日のブログでも書きましたが、井戸木も手首のコックはちゃんと使っています。他のプレーヤーよりも手首のコックが入るタイミングが遅い、そして手首をコックする度合い(手首を曲げる度合い)が少ないですが、それでもトップでは左手とクラブの間にはちゃんと角度がついています。と言うか、手首のコックが入らないと‥‥クラブヘッドは‥‥時計の文字盤で言うところの12時を越えたポジションには収まりません。
トップをご覧になっていただければ分かりますが、井戸木プロもトップでクラブヘッドは‥‥ちゃんと2時ぐらいの位置に収まっています。
さて、この井戸木プロのスイング。
トップがコンパクトなので方向性重視のスイングに見えますが、実は、飛ばしの要素もちゃんとあります。それはトップからダウンの切り返しでのヘッドが描く軌道。テークバックでヘッドが描く円弧とダウンスイングでヘッドが描く円弧の大きさの違いをじっくりと見て下さい。トップからダウンの切り返しでは手首のコックが保たれて、ヘッドがほんの一瞬下がり(タメが深くなり)、それからダウンスイングが始まっているのが確認できるはずです。

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トップから切り返しからで手首の角度が更についてるのがわかる

こんな感じでテークバックよりもダウンスイングの方がヘッドが下にあります。ダウンの方が回転半径が小さくなっています。

対して、アマチュアの場合、このヘッドが描く軌道が逆になっています。先週末、千葉県の藤ヶ谷CCにてアマチュア120人のスイングを動画に収めましたが、90%以上の人が切り返しで手首のコックがほどけてしまっています。いわゆるタメが早くほどけたダウンスイングになっていました。

こんな感じでテークバックよりもダウンスイングの方がヘッドが上にあります。ダウンの方が回転半径が大きくなってしまっています。手首のコックが早くほどけてしまうため、シャフトのしなりも上手く使うことができません。コックが早くほどけてしまうと、どんな高価なシャフトを使っても、その性能を引き出しづらくなるのです。井戸木プロはクレージーロイヤルデコレーションを使っていますが、ダウンの回転半径が小さいからシャフトのしなりを上手く使って、正確なドライバーショットを放っているのです。
では、どうすればダウンの回転半径を小さくできるのか?
今週発売の週刊ゴルフダイジェストのフジタの時間で、芹沢信雄プロがこんなアドバイスをしています。

下半身から切り返した時にクラブが真下にストンと落ちる。そんな感じですネ。この無重力感が、飛ばしの素です(週刊GD、6月11日号から引用)
トップで上体が力んだり、手に力が入ってしまうとヘッドはポン上がります。対して、トップの形をキープしたまま、手首のコックをキープしたまま下半身からダウンを開始したら(ほんの一瞬、重心が下がったら)、トップからダウンの切り返しでヘッド上がりません。ダウンの回転半径は小さくなります。

マーク金井は理に叶ったスイングのことを「自転車に乗れている」と例えますが、ダウンでヘッドが描く回転半径が小さいスイングこそが「自転車に乗れたスイング」、ダウンでヘッドが描く回転半径が大きいスイングは「自転車に乗れていなスイング」なのです。
ダウンの回転半径を小さくするための練習法として、マーク金井がよくやっているのはスローモーションドリル。通常のダウンスイングはコンマ5秒ぐらいですが、マーク金井は2秒ぐらいかけてダウンスイングしています。
ダウンの回転半径を小さくするこは決してやさしい動作ではありません。しかし、これがちゃんとできないと‥‥いつまで経っても自転車に乗ることはできないのです。
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PS.自転車に乗れるスイング作りに役立つのがゴルフの竪琴。この竪琴は通常のクラブよりも重いので、クラブの重さを感じながら素振りできます。今回のテーマであるダウンの回転半径を小さくする感覚を養えます~。