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スイングが不安定な人ほどやわらかめのシャフトがいい

あるメーカー、具体的に言うとゼクシオでお馴染みのSRIの山口哲男さんは自著「飛ばすため! 曲げないため! クラブ&ボール本当の科学」(パーゴルフ新書)の中で、「一般的に、軟らかいシャフトの方がヘッドスピードをアップさせる効果が大きいといえます。スイング中にシャフトがしなり、そのしなりが戻ることで先端のスピードが高くなるからです」 その一方でシャフトメーカーやプロの中には「シャフトは硬い方が飛ぶ。シャフトが硬い方がしなり戻るスピードが速く、インパクトゾーンでヘッドを加速させやすいです」と。

物理的な側面から考えると、軟らかいよりも硬い方がしなり戻るスピードが速く、エネルギーロスも少ない分だけ、飛びに有利です。しかし、硬いシャフトは誰にでも扱えるわけではありません。自分のパワーよりも硬いシャフトを使ってしまうと‥‥例えば、ドライバーのヘッドスピードが40m/s以下のゴルファーがXシャフト(振動数270cpm以上)を使うと、シャフトのしなりを上手く使えないだけでなく、力みやすくなってスイングを崩すことにもなります。

では、軟らかい方がいいかというと、そうとも言い切れません。自分のパワーよりも軟らかいシャフトを使うと‥‥軽く振ってもシャフトがしなる。例えば、ドライバーのヘッドスピードが50m/s以上のゴルファーが女性用並に軟らかいシャフト(振動数220cpm以下)を使うと、自分のパワーを出し切ろうとしない分だけ、ヘッドスピードが上がりづらくなるからです。

これまで、アマチュアのスイングを1000人以上分析して分かったのですが、ゴルファーは自覚するしないにかかわらず、シャフトの硬さが異なると振り方(スイングの仕方)がガラッと変わります。もちろん例外もありますが、大抵の人はシャフトが軟らかくなるほど力みません。ゆったり振ります。そして自分のパワーを出し切ろうとしなくなります。ダウンスイング軌道もアウトサイド・イン軌道が解消され、インサイドから振り下ろす感じになってきます。

他方、シャフトが硬くなるほど力みます。力むというとマイナスイメージになりますが、良い言いをすれば、自分のパワーを出し切ってしっかり振ろうとします。ただし、ダウンスイング軌道は切り返しで力みやすくなる分だけ(シャフトをしならようとして)、体の開きが早くなってアウトサイド・イン軌道の度合いが強くなる傾向があります。

そうです。シャフトは軟らか過ぎてもダメで、硬すぎてもダメです。ゴルファーによって最適な「硬さ」は異なり、自分にちょうどいい硬さを使うことが、エネルギーロスを減らせますし、タイミングも合わせやすくなって、飛距離と方向性が安定します。

では、どうすれば自分にちょうどいい硬さを見つけられるのか?

一般的にはヘッドスピードと硬さが比例関係にあると言われてますが、ヘッドスピードだけで選ぶのは禁物です。ちょうど今週発売のゴルフ雑誌アルバでも説明していますが、チェックするポイントは切り返し時のクラブの挙動。切り返しでヘッドがポンと上がってしまう人(切り返し時にコックがほどけてしまう人)というのは、ヘッドスピードの割に軟らかめのシャフトの方が、ダウンからインパクトにかけてシャフトのしなり戻りを上手く使え、エネルギーロスを減らせる分だけ、飛距離、方向性が安定します。

他方、ヘッドスピードが遅めの人でも、切り返しでヘッドがポンと上がらない人(切り換え支持にコックがキープできる人)というのは、ヘッドスピードの割には硬めのシャフトの方が、体をしっかり使って振れる分だけヘッドスピードが上がります。また、硬いシャフトでもしなりを上手く使えるので、飛距離を出しやすく、方向性も安定します。女子プロはヘッドスピードが40m/s前後ですが、それでも硬めのシャフト(振動数245~260cpm)を上手く使えるのは、切り返しでタメをちゃんとキープできているからです。

硬さの目安としては‥‥

ヘッドスピード40m/s前後
・切り返しでコックがほどける人は   振動数220~235cpm
・切り返しでコックをキープできる人は 振動数235~250cpm

ヘッドスピード43m/s前後
・切り返しでコックがほどける人は   振動数230~245cpm
・切り返しでコックをキープできる人は 振動数245~260cpm

ヘッドスピード46m/s前後
・切り返しでコックがほどける人は   振動数240~255cpm
・切り返しでコックをキープできる人は 振動数255~270cpm

ヘッドスピード49m/s前後
・切り返しでコックがほどける人は   振動数250~265cpm
・切り返しでコックをキープできる人は 振動数270cpm以上

大体この範囲の中で、切り返しで力まない範囲で硬いシャフトを選んで下さい。硬い方がエネルギーロスが少ないですし(しなり戻るスピードも総じて速くなる)、体をしっかり使って振り切れる分だけ手打ちを防止できますし、ヘッドスピードも上がってきます。

ただし例外もあります、慢性的に力む人や、アウトサイド・イン軌道のカット打ちがひどい人の場合、一時的ですが、極端に軟らかいシャフトを使うことを強くお勧めします。このタイプの人はシャフトを軟らかくすることで力みが抜けますし、インサイドから下ろす感じもつかみやすくなるからです。このタイプの人はスイングが良くなってから、シャフトを硬くした方がスイングが良くなりますし、飛距離、方向性も安定してきます。


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