ピン BLUEPRINTアイアン(2019)

このインプレッションは、2019年5月のマーク金井の有料メルマガに掲載されたものです。(有料メルマガはこちらからご購読できます)

春から夏に変わるこの時期、従来ならあまり新製品は出ない。秋と春のゴルフシーズンの開始直前にあわせて、ゴルフクラブは発表され、発売される。珍しくこのサイクルに逆らって発売されるのがピンの新製品。ピンG410LSTドライバーと、ブループリントアイアン、そして限定のパターの3つだ。G410LSTドライバーは、Gシリーズでも低スピンのモデルだが、3月のG410シリーズの発売時期に間に合わず。よくやく発売された。

今回、とりあげるのはG410LSTドライバーではなく、ブループリントアイアン。ピンはこの発表に合わせて、ゴルフ場の試打ラウンドを企画してくれていたが、暴風雨が予想されたため急遽、ピンジャパンの本社での試打となった。アイアンは芝の上でテストしたいが、細かいデータを検証するには、計測器が完備されている室内の方が適している。人工芝マットでも、ソールの跳ね方で、バンスの効き具合や、ソール形状の機能は、推測することが出来る。

このブループリントアイアン、ゴルフスパイなどのサイトで、発表前からスクープされていた。ピンと言えば歴史的にヘッドが大きい、ミスに強いアイアンを主力として発売してきたが、S59やi-BLADEなどヘッドの小さいアイアンもあった。スクープ写真でイメージしたのは、i-BLADEの流れで作られたモデルかなとおもっていた、しかし実際実物を見て驚いたのはヘッドの小ささだ。

手にとって見た時、1970年台、三大メーカーだった、マグレガーのミュアフィールド、ウイルソンのスタッフ、スポルディングのトップフライト、その年代のアイアンぐらいの大きさに感じる。ピンがここまで小さいアイアンを作ったことはかなり驚いた。素材は軟鉄鍛造、かつて日本限定モデルとして、ANSWERという軟鉄鍛造キャビティアイアンがあったが、そもそもピンがアイアンを作る際、さまざまな試作を繰り返し、軟鉄鍛造に限界を感じ、ステンレス鋳造にたどり着いたことが知られている。

軟鉄の丸棒から、鍛造され、タネが作られ形成されていく軟鉄鍛造アイアン。創業者のソルンハイム・カーステンは、設計の自由度の高さと大量生産時の精度の高さにこだわり、ステンレス鋳造でアイアンを作るようになったというのは有名な話。それまでは軟鉄鍛造ばかりだったアイアンもステンレス鋳造、いわゆるロフトワックス製法のアイアンという新しいテクノロジーが普及し、他社がその後を追っていった。僕としては、ピンは丸棒から作るアイアンを否定したのにどうしたんだ?と言う疑問が一瞬頭をよぎった。

ヘッドは本当に小さい。トゥに配置されているタングステンのネジを見なければ、現代のアイアンとは思えない小ささだ。ピンお前もかとおもったが、「逆もまた真なり」と思った。今や、ステンレス鋳造は当たり前、ポケットキャビティであるとか中空であるとか、様々な素材をハイブリッドしてアイアンヘッドが作らている。そのピンが完全なマッスルバックを今発売した。

ここで、実はピンらしいのでは?と思い始めた。

ピンは常に逆ばりしているメーカーだと僕は思っている。

歴史的にも逆ばりな製品を常に発売している。流行に左右されない。例えばドライバーの浅重心ブームの時も、まったく反応しなかった。低深重心を追求していた。浅重心ブームが去った頃に、LSTという浅重心モデルを出してきた。それだけでなく、ピンは逆ばりが好きなのだと感じていた。今回も、もしかしてステンレス鋳造全盛時代に、ピンは逆ばりしているのか? ブループリントアイアンは、ピンらしくないと言う声もあるが、僕はあえてピンらしいと思った。

このアイアンは、機能面でもピンらしい面はもちろんある。まずライ角が選べること、そしてバンス角がしっかりとついていること、1本から買えること、気になるのはライ角のバリエーションが、ステンレス鋳造モデルと比べて少ないこと、調整できる幅が限られてしまうことだ。これは想像だが、軟鉄鍛造なので調整自体はできるだろうが、メッキのシワがよってしまうことを懸念して、会えてカラーコードを絞っているのだろうと思う。かなり残念な点だ。

このアイアン、かなりストライクゾーンを狭く打ち出していて、難易度が高いことをしっかりと伝えている。他社は、やさしいマッスルバックなどと、期待をもたせるものだがピンは、このアイアンは限られた人向けであるとハッキリ言っているし、それを隠さずアピールしているのは素晴らしいと思う。僕が思うに72のゴルフにこのアイアンは必要ない。72は、大きなミスさえ出なければ、出せるスコア。小さいミスはクラブが助けてくれる方が絶対に有利だからだ。

しかし、54を狙う。つまり全ホールバーディを狙うレベルのゴルファーなら必要になるだろう。54はやさしいだけのクラブでは出せないからだ。アイアンで必要なのは、左右、上下、に弾道をコントロールできること、スピン量も操れないとダメだ。ラフでもしっかりとボールを捉え、抵抗を受けないコンパクトなヘッドが必要。とはいえ、どんな状況でも芯で打てる技術があることが前提だ。

試打してみると、もちろん普通に打てる。しかしわざとミスヒットしてみると、ナイスショットとの飛距離差が、PWで10ヤード、7番アイアンでは15ヤードは出てしまう。僕はシビア過ぎてスコアにならない。僕の使っているmmアイアンだと、ミスヒットとの差はPWから7番なら5ヤードで収まるからだ。

ブループリントアイアン、メーカーがハッキリと言うように本当に限られた人が使いこなせるアイアンだと思う。パープレーを目指すなら、このアイアンを選ぶ必要は無いと断言する。僕なら、迷うこと無くピンならG410アイアン、もしくはmmアイアンを選ぶだろう。

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