マーク金井blog

カテゴリー: トーナメントから

2013年06月14日今年の全米オープン、いったいどのクラブが優勝するのか?

第113回全米オープンが始まりました。メジャーでは全英オープンに次に歴史がある大会で、4つのメジャーの中でもっともコースセッティングがタフです。今年も雷雨の影響で初日から波乱の幕開けです。

マーク金井は1991年(ヘーゼルタイン、P・スチュアート優勝)に取材で現地を訪れましたが、驚かされたのがグリーンの硬さ。マスターズのオーガスタがガラスのグリーンならば、全米オープンはフライパンのようなグリーン。とにかく表面が硬くて、受けているエリアを除けばボールが止まる気配がまったくありませんでした。ラフも「なんだこりゃ~」ってぐらい深く、プロでも飛距離を欲張ったクラブを手にすると、チョロとか平気で打ってました。

今年の全米オープンはメリオン。メリオンでの開催は実に33年ぶり。前回大会(1981開催)ではオーストラリアのデビット・ブラハムが優勝してます。ロングヒッターではなくアイアンショットの切れ味に定評があるプレーヤーで、ルーク・ドナルドと同じタイプです。ちなみに日本選手では青木功プロが11位に入っています。そして青木プロと言えば、その前年(1980年)はジャック・ニクラウスと4日間同じ組で回って2位に入っています。
さて、今年の全米オープン。あらゆるメディアで優勝予想が行われていますが、マーク金井的に気になるのは優勝選手の使用クラブ。どんなドライバー、どんなアイアンを使う先週が優勝するのかを予想したいと思います。
全米オープンの中でもメリオンは距離がそれほど長くありません。6996yでパー70。インは3240y(パー34)。白ティぐらいの距離なことを考えると、飛距離よりもアイアンの距離感がスコアに直結します。加えて、スピンコントロールも求められるでしょう。ショートアイアンで打つホールでバックスピンがかかり過ぎると、オンしたボールがバックスピンで後戻りしてグリーンからこぼれる可能性が高まるからです。

そしてメリオンは400ヤード未満のパー4が5つあり、113yのパー3がひとつ。ウエッジが上手い人がスコアが稼げるホールが6つもあります。パー5を加えると、100ヤード以内が上手い選手がスコアを稼げます。

そう考えると、優勝候補筆頭はルーク・ドナルド。2番手はタイガー・ウッズって感じがするので‥‥本命クラブはミズノナイキ。対抗馬として考えられるのが、タイトリストピンですね。アダム・スコット全米オープンになぜか強いアーニー・エルスが優勝争いに絡んできそうな気がします。
クラブ的に見ると、ラフの深さ、スピンコントロールのしやすさを考えると、マッスルバックよりもワイドソールのキャビティ、塚田プロが使っているピンのアイアンは全米オープンと相性が良いと思います。G25を筆頭にピンのアイアンは総じてソールが広めでバンスが強め。ラフでも芝の抵抗に負けづらいからです。加えて、ピンのアイアンはいい意味で鈍感なクラブ。コースセッティングがシビアな時ほど、クラブは少しアバウトな方が余計なプレッシャーがかかりません。高速グリーンに中尺、長尺パターが相性良いのと同じ理屈です。

塚田プロはPING G25を使用。GDOより転載。撮影JJ田辺

塚田プロはPING G25を使用。GDOより転載。撮影JJ田辺

ドライバーに関しては、フェアウェイバンカーの多さ、そしてタイトなホールレイアウトを考慮すると、ドーンと真っ直ぐ打てるタイプよりも、球筋を打ち分けやすいタイプの方がコースと相性が良いでしょう。具体的には距離が少し短めで、重心深度があまり深くないタイプ。テーラーメイドのR1ミズノナイキのVRツアーあたりがメリオンと相性が良いでしょう。対して、ピンコブラのドライバーはちょっと分が悪い感じがします。
パターはグリーンの硬さ、そして強いアンジュレーションを考えるとセンターバランスの大型マレットよりも重心距離があるピン型の方が有利でしょう。キャメロンオデッセイテーラーのピン型パターが大本命です。
メリオンでの過去の優勝者にはフェードヒッターのリー・トレビノもいます。それを考えると、マスターズでプレーオフに敗れたアンヘル・カブレラも優勝争いに加わる確率は大いに高いかも知れません。ちなみに、彼は重心距離の長いドライバー(ピン)でフェードを打つのが非常に上手い選手です。

日本からはアジア予選を勝ち抜いた、松山英樹藤田寛之上田諭尉、そして塚田好宣の4選手が出場してます。優勝争いになんとか加わってほしいと思いますが、そこは歴史ある全米オープン。そうは簡単に問屋が卸してくれないと思いますが‥‥活躍を大いに期待しながら明日からもテレビ観戦したいと思います~。

FBに優勝クラブ予想メッセージを受け付けます。当選者には(多数の場合は抽選)マーク金井からプレゼントを贈らせていただきます~。
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2013年05月31日全米シニア覇者、井戸木鴻樹から学ぶダウンスイングの極意!!

初めての米ツアー参戦、初めてのメジャー参戦でいきなり全米シニア選手権を制した井戸木鴻樹。ドライバーの飛距離が出るプレーヤーではなく、フェアウェイキープ率の高さに定評があるプレーヤーです。スイングの特徴としてはテークバックが「ノーコック」と評されることが多く、そして「ノーコックだから曲がらない」と言われています。
しかし昨日のブログでも書きましたが、井戸木も手首のコックはちゃんと使っています。他のプレーヤーよりも手首のコックが入るタイミングが遅い、そして手首をコックする度合い(手首を曲げる度合い)が少ないですが、それでもトップでは左手とクラブの間にはちゃんと角度がついています。と言うか、手首のコックが入らないと‥‥クラブヘッドは‥‥時計の文字盤で言うところの12時を越えたポジションには収まりません。
トップをご覧になっていただければ分かりますが、井戸木プロもトップでクラブヘッドは‥‥ちゃんと2時ぐらいの位置に収まっています。
さて、この井戸木プロのスイング。
トップがコンパクトなので方向性重視のスイングに見えますが、実は、飛ばしの要素もちゃんとあります。それはトップからダウンの切り返しでのヘッドが描く軌道。テークバックでヘッドが描く円弧とダウンスイングでヘッドが描く円弧の大きさの違いをじっくりと見て下さい。トップからダウンの切り返しでは手首のコックが保たれて、ヘッドがほんの一瞬下がり(タメが深くなり)、それからダウンスイングが始まっているのが確認できるはずです。

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トップから切り返しからで手首の角度が更についてるのがわかる

こんな感じでテークバックよりもダウンスイングの方がヘッドが下にあります。ダウンの方が回転半径が小さくなっています。

対して、アマチュアの場合、このヘッドが描く軌道が逆になっています。先週末、千葉県の藤ヶ谷CCにてアマチュア120人のスイングを動画に収めましたが、90%以上の人が切り返しで手首のコックがほどけてしまっています。いわゆるタメが早くほどけたダウンスイングになっていました。

こんな感じでテークバックよりもダウンスイングの方がヘッドが上にあります。ダウンの方が回転半径が大きくなってしまっています。手首のコックが早くほどけてしまうため、シャフトのしなりも上手く使うことができません。コックが早くほどけてしまうと、どんな高価なシャフトを使っても、その性能を引き出しづらくなるのです。井戸木プロはクレージーロイヤルデコレーションを使っていますが、ダウンの回転半径が小さいからシャフトのしなりを上手く使って、正確なドライバーショットを放っているのです。
では、どうすればダウンの回転半径を小さくできるのか?
今週発売の週刊ゴルフダイジェストのフジタの時間で、芹沢信雄プロがこんなアドバイスをしています。

下半身から切り返した時にクラブが真下にストンと落ちる。そんな感じですネ。この無重力感が、飛ばしの素です(週刊GD、6月11日号から引用)
トップで上体が力んだり、手に力が入ってしまうとヘッドはポン上がります。対して、トップの形をキープしたまま、手首のコックをキープしたまま下半身からダウンを開始したら(ほんの一瞬、重心が下がったら)、トップからダウンの切り返しでヘッド上がりません。ダウンの回転半径は小さくなります。

マーク金井は理に叶ったスイングのことを「自転車に乗れている」と例えますが、ダウンでヘッドが描く回転半径が小さいスイングこそが「自転車に乗れたスイング」、ダウンでヘッドが描く回転半径が大きいスイングは「自転車に乗れていなスイング」なのです。
ダウンの回転半径を小さくするための練習法として、マーク金井がよくやっているのはスローモーションドリル。通常のダウンスイングはコンマ5秒ぐらいですが、マーク金井は2秒ぐらいかけてダウンスイングしています。
ダウンの回転半径を小さくするこは決してやさしい動作ではありません。しかし、これがちゃんとできないと‥‥いつまで経っても自転車に乗ることはできないのです。
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PS.自転車に乗れるスイング作りに役立つのがゴルフの竪琴。この竪琴は通常のクラブよりも重いので、クラブの重さを感じながら素振りできます。今回のテーマであるダウンの回転半径を小さくする感覚を養えます~。


2013年05月29日全米シニアで優勝した井戸木プロは本当にノーコックなのか?

日本人は米ツアーで通用しない‥‥なんてことを井戸木鴻樹がものの見事に吹き飛ばしてくれました。チャンピオンズツアーの今季メジャー初戦、全米プロシニアで彼はとんでもない快挙を成し遂げました。通算5アンダーの5位タイで最終日を迎え、前半に4つのバーディを奪い優勝争いに加わると、後半にも2つのバーディを奪い、通算11アンダーで逆転優勝しました~!!

全米プロシニアの優勝トロフィと井戸木鴻樹プロ

全米プロシニアの優勝トロフィと井戸木鴻樹プロ GDOフォトギャラリーより

日本人選手では青木功プロが同ツアーで9勝を果たしていますが、メジャー大会を制したのは今回の井戸木プロが初めて。女子では樋口久子さんが全米女子プロ選手権で勝ちましたが、男子でメジャーを制したのは井戸木プロが初めてです。

さて、この井戸木プロ。ドライバーの飛距離が出るプレーヤーではなく、フェアウェイキープ率の高さに定評があるプレーヤーです。スイングの特徴としては「ノーコック」と評されることが多く、そして「ノーコックだから曲がらない」と言われています。
確かにスイング動画を見てみると‥‥他のプロに比べるとテークバックで手首のコックがほとんど入ってません。ハーフバック位置ぐらいまでは、左腕とクラブがほぼ一直線。手首を固定しているかのようです。

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井戸木鴻樹プロのテイクバック 確かにコックがあまり入っていない

しかし、手首をまったくコックしていないかというとそんなこともないと思います。GDOのスイング動画でチェックしてみると‥‥トップ付近では左腕とクラブとの間にはちゃんと角度が付いています。テークバック前半ではノーコックですが、テークバック後半では手首をコックしているのが確認できます。と言うか、本当にノーコックな状態を保ったままではトップまでクラブは上がってくれません。アマチュアの人がノーコックを真に受けて実践してしまうと、井戸木プロとは似ても似つかないスイングに陥ってしまいます。

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井戸木鴻樹プロ切り返しの瞬間

そして、トップからダウンの切り返しでは手首のコックがさらに深くなっているのが確認できます。これはプロに共通している動きなのですが、テークバックの軌道よりもダウンの軌道の方がヘッドが下がっています井戸木プロの場合もそうで、テークバックの軌道よりもダウンの軌道の方がヘッドが描く円弧は小さくなっています。これはひとてに手首をコックしているからに他なりません。対して、アマチュアの多くはテークバックよりもダウンの方がヘッドが描く円弧が大きい。ダウンの開始とともに手首のコックがほどけ、ヘッドが上に飛び出してしまうからです。
手首を使う意識がないことと、本当に手首をまったく使わないこととはまったく違います。似て非なるものです。そして、手首を使わない方が曲がらないというのも、必ずしも当てはまりません。特にアマチュアのスイングを観察していると、手首を固定してもスイング軌道が不安定な人が多いからです。
井戸木プロのスイングから学ぶならば、彼のテークバックの軌道とダウンスイングの軌道をじっくりと見て下さい。テークバックでヘッドが描く円弧とダウンスイングでヘッドが描く円弧の大きさの違いをじっくりと見て下さい。トップからダウンの切り返しでは手首のコックが保たれて、ヘッドがほんの一瞬下がり(タメが深くなり)、それからダウンスイングが始まっているのが確認できるはずです。
手首をどれぐらい使うのかは個人差がありますが、井戸木プロも手首のコックを上手く利用してスイングしています。テークバックで手首のコックが入るタイミングが他のツアープロよりも遅いですが、決してノーコックで打っているわけではないのです。ノーコックに限りませんが、ゴルフにはアマチュアゴルファーを勘違いさせてしまうレッスン用語が少なからずあるんです。
そして、スイングの話に戻せば井戸木プロのようにテークバック前半で手首のコックが入らないスイングといのはかなりパワーが求められるスイングなんです。その理由については明日じっくり説明しましょう~。
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PS.ボールをたくさん打ってもスイングは変わりません。ボールの行方や自分のフィーリングが邪魔をするからです。悪い癖を直したい、本気で正しいスイングを会得したいと思うならば‥‥身体の動きをチェックしやすい方法で練習しましょう。マーク金井はゴルフの竪琴を使っているのは、これが一番身体の動き、そして正しいハンドアクションを会得できるからです~。

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2013年04月15日改めて思う‥‥日本人がマスターズに勝つための条件とは!?

2013年のマスターズトーナメントは、アダム・スコットが豪州勢としては初の優勝で幕を閉じました。雨の中、アンヘル・カブレラとのプレーオフは死闘とも呼べるもので、手に汗をかきながら、息を詰めながらテレビ観戦した人も多かったかと思います。

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GDOより転載

もちろんボクも朝5時ぐらいからテレビ観戦してました。タイガーの追い上げを期待していたのですが、パットがことごとく打ち切れない。本人もラウンド後にコメントしてましたが、オーガスタの超高速グリーンは雨が降ると途端に遅くなります。その遅さに対応できなかったことを本人は悔やんでいました。アダム・スコットも本戦中はパットが打ち切れてませんでしたが、本戦18番のバーディパット、そしてプレーオフで勝利を決めたパットも下りのラインでした。強めに打てなかったアダム・スコットに対して、ゴルフの神様は彼に少し味方したのかも知れません。

日本勢では石川遼が最終日に7つのバーディーを奪って、4アンダーの68を出しました。優勝争いに関係ない場面、ノープレッシャーのラウンドとはいえ、スコアはスコア。数字は数字。遼クンにとって自信初めての60台のスコア。この数字はきっとこれからのゴルフの支えになるでしょう。対して、4位タイに終わったタイガーは2日目に池ポチャ処理を誤っての2打罰があったとはいえ、4日間とも70以上のスコア。「最終日に65を出せば優勝できると」コメントを残していましたが、まさにその通りの結果になりました。

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GDOより転載

今年もマスターズはTV視聴者に色んなシーンを見せてくれましたが、ボクが注目したのは最終18番のティショット。カメラがティマーク付近にあるのでしょう。世界のトッププロ達のスイングを下からあおり気味に、これでもかって見せつけてくれました。そして、その連続写真的なスイングを見てみると‥‥プレーオフを戦ったアダム・スコットアンヘル・カブレラとの間には年齢以上、スイングの世代間ギャップを感じました。

アンヘル・カブレラ43歳
アダム・スコット32歳

その差は11歳ですが、カブレラは「パーシモンでゴルフを覚えた」かのようなスイングの持ち主。対して、スコットは「460CCチタンでゴルフを覚えた」かのようなスイングをしていたからです。

 

どこがどう違うのか?

それはトップの位置です。カブレラはトップでフェースがスクエアからややオープン。トップの位置でフェース面は斜め45度から正面の間ぐらいです。フェースがスクエアかオープンなトップは、パーシモンのように重心距離が短いクラブと相性が非常に良く、そしてフェースを開閉して打った方が飛びますし、方向性も安定します。かれのトップはボクがゴルフを始めた頃(30年以上前)、最高のお手本でした。

対してスコットはトップでフェースがシャット。宮里藍ちゃん同様、トップでフェースが空を指しています。シャットフェースなスイングは重心距離が長いドライバー(大型ヘッド)と相性が非常に良く、そしてフェースをシャットに使った方が飛びますし、方向性も安定します。30年前だとシャットフェースは悪いスイングと評価されていましたが、重心距離が長いクラブが当たり前な今では、これが最高のお手本です。

このトップのフェース向きの違いは持ち球の違いにもあります。カブレラはピンの大型ヘッドを使っていますが、ドライバーの弾道は基本フェード。ピンの大型ヘッドは重心距離が長い。オープンフェースだとボールを捕まえたり、ドローを打つのが難しくなります。カブレラはそれを本能的に察知したのでしょう。彼は捕まらないドライバーを無理に捕まえようとせず、フェードを打っています。プレーオフの2ホールは10番ホール。ここはほぼ直角ってぐらい左にドッグレッグしていて、ドライバーの弾道がフェードだと攻略ルートが非常に狭くなる。彼はドライバーや3Wでフェードを打つと攻めきれないとジャッジし、ロングアイアンでティショットを打ちました。

対して、フェースをシャットに使うスコットは3Wでティショットを打ってフェアウェイをキープ。ちなみにスコットの場合、ドライバーに比べると、3Wやアイアンを打つ時はシャットの度合いが少し弱まっています。ドライバーに比べると3Wはアイアンはヘッドが小さく、その分だけ重心距離が短い。彼は重心距離の違い(ヘッドの返り具合の違い)を本能的に察知し、クラブによってスイングを変えているわけです。恐らく、本人にトップのフェース向きの違いを質問しても「よく分かったね。そうだよ、クラブによってフェースの向きを変えているよ」なんて答えないでしょう。なぜなら本能的、無意識レベルで打ち分けているからです。

では遼クンのトップはどうなのか?

マスターズでのスイングを見る限りでは、フェースの向きはシャットではありませんでした。どちらかというとカブレラ同様、スクエアフェース。昔からの基本に忠実なトップを作っていますし、使っているドライバー(キャロウェイのレーザーフィットエクストリーム)も重心距離はそれほど長くありません。スイングとクラブの相性はマッチしています。

しかしながら、もし遼クンがドライバーの飛距離を更に伸ばしたいのであれば‥‥スコットのようなシャットフェースにした方がボクは良いと思っています。プレーオフで死闘を演じたカブレラスコットに比べると、遼クンの体つきは迫力あるとはいえません。筋肉量、骨格が全然違います。ゴルフは道具(クラブ)の依存度が高い競技です。今どきの重心距離が長いドライバーは、重心距離が短いドライバーと比較すると「飛び」に有利。遼クンも重心距離が長いドライバーを使った方が飛ばせる。体力差を補える。今どきの道具を味方につけるには、シャットフェースのトップが不可欠だからです。

もちろん、トップのフェース向きを変えることは用意ではありません。今はいろんな重心距離のドライバーを選べます。460CCでも重心距離が35ミリ前後のモノもあれば、460CCで重心距離が45ミリ前後のモノもある。しかし、10ミリ重心距離がことなると飛距離にして5~10ヤードぐらい差が出てくる場合があるのです。カブレラのようにエンジンがデカイならばどんな打ち方でも飛距離を稼げますが、遼クンのように体がとりわけ大きくないプレーヤーは、飛ぶ道具を使った方が体力差をカバーできるからです。

習うよりも慣れろではありませんが、欧米ツアーで戦っている選手の多くはクラブが変わると、クラブに合せてスイングをモデルチェンジしています。昔の小さいヘッドのドライバーを使う選手はほとんどいません。対して、国内ツアーを見てると、大型ヘッドではなくてヘッド体積が小さめ(重心距離が短め)のドライバーを好んで使うプロが少なからずいます。

道具が先か、スイングが先か

と聞かれたら、マーク金井「道具が先」だと即答します。歴史を振り返れば一目瞭然です。パーシモンとメタルの切り換え時、めざましい活躍をしたのは真っ先にメタルを使い始めたジャンボ尾崎です。ドライバーのヘッドが大型化した時、めざましい活躍をしたのは片山晋呉です。野球と違ってゴルフは道具で飛距離を稼げます。道具(クラブ)を味方につけることの優位性‥‥遼クンがこのことに気づくのか、それとも気づかないのか?
これからも遼クンの使用ドライバー、そしてスイングについて追いかけていきたいと思います。
んじゃ(▼▼)b

「アナライズからの宣伝」

マーク金井が、スイングとシャットフェースを覚えるために作った。「スーパーシャット君」もうすぐ発売します!ご期待ください


2013年04月13日マスターズでの石川遼の名言‥‥

米男子ツアーのメジャー開幕戦となるマスターズ。今日は予選ラウンド2日目。昨年までは44位タイまでが予選通過でしたが、今年は50位タイまでになりました(トップから10ストローク以内は継続)初日1アンダーだった石川遼は2日目にスコアを落としながらも、何とか予選通過しました。その遼クンの初日終了後のコメントで目に止まったのがこれです。

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「調子が悪くなった時も、絶対に前の感覚を思い出そうとするのは嫌なんです。そう思った時点で後戻りになるからです」

「これだっ」という感覚を掴むと、アマチュアのみならずプロでも「いい時の感覚」というのがスイングのよりどころになります。例えば、○○のような感じでスイングしたら上手くいくと、その○○を自分のスイングのバロメーターにしたり、その○○をナイスショットと関連付けたくなります。

しかし、感覚というのはまったくもって当てになりません。身体は日々変化します。感性や体調も日々変化します。練習でどんなに良い感覚が得たとしても、その感覚が役立つのはその日限り。持続したとしてもせいぜい数日でしょう。例えば、トップからダウンの切り返しで右ひじを真下に下げたら、スイングプレーンに乗って良い球が打てた。動画でチェックしてもスイング軌道が良かったとしましょう。こうなると「右ひじを真下に下ろす=ナイスショット」の感覚図式が出来上がりますが、これは永久保存できる感覚ではありません。その時限りの成功体験の感覚なんです。

ところがアマチュアのみならず、ツアープロでも調子が悪くなると、調子が良かった時の感覚をよりどころにする場合が少なからずあるのです。しかし昔の感覚はどんなに素晴らしものであっても、それを求めるほどに後戻りすることになるのです。今シーズンの遼クンは思うような結果が出てませんが、こんなセリフをマスターズの大舞台でサラッと言えてしまう。これだけでも、彼が並の選手ではないことが明かです。

その一方で名前は出せませんが、昔の感覚を戻そうとして練習したり、昔のクラブに戻して復調を試みるプロもいます。しかし、そういうことをやって見事にカムバックした選手はほとんどいません。クラブに関してはパターやウエッジは昔に戻してもスイングに影響は出ませんが、ドライバーやアイアンは昔に戻しても前の感覚は思い出せないからです。

では、感覚は役にたたないのか?

遼クンの言葉を思い出して下さい。前の感覚を思い出そうとするのがダメであって、感覚そのものを否定しているわけではありません。練習で大事なことは昔を思い出そうとするのではなく、これからやるべき事に対して感覚を磨くこと。そのためには、調子が悪い時は、何が不調の原因なのかを客観的にチェックすることが必要不可欠です。スイングのどこが悪いのか? フォームなのかリズム&テンポなのか? それともアドレス時の体の向きなのか? これらをチェックするには感覚ではなく、自分のスイングを客観的にチェックすること。ビデオやデジカメ、iPhone‥‥とにかくスイングを客観的に丸裸にしてしまい、どこをどう修整していくのかを決めることです。感覚に頼るのではなく、とにかくスイングをじっくりチェックする。そうすると、自分がどこに勘違いしていたのかがかなり正確にジャッジできますし、スイング修整の糸口も見えてくるのです。

もちろんスイングを正しくジャッジするためには、スイングを見る目も養うことも必要不可欠です。いいスイングと悪いスイングの違いが分からなければ‥‥スイングの問題点を見つけ出すことはできません。問題点が見つからなければ、どこを修整すれば良いのかも分からないからです。

昔の良かった時の感覚、これはいわば「成功体験に縛られる」ことになります。ゴルフに限りませんが、成功体験に縛られるのは非常に危険です。おちまさとさんもブログで、

 

何かに挑む時
何か新たな展開をする時

つい

「あの時
ああやって成功したのだから
“また”あの成功パターンに
はめ込めば大丈夫だろう」

と思ってしまうことが
ありがちなのではないだろうか。

これはとても危険なサイン

(おちまさとブログから引用)
http://ameblo.jp/ochimasato/entry-11143298704.html

書かれています。ボクもまったく同感です。ゴルフ上達に必要なのは、ビデオでのスイングチェック、そしてひざ立ち打ちや、ゴルフの竪琴などを使って、日々感覚を磨くことが大事だと思います~。
んじゃ(▼▼)b

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マーク金井がいつも練習に使用している「ゴルフの竪琴」はこちらへ