マーク金井blog

カテゴリー: ゴルフクラブ分析

2013年04月26日アマチュアにとって本当にやさしいアイアンとは!?

先週の男子ツアー開幕戦「東建ホームメイドカップ」では、プロ入り20年目の塚田好宣プロが、悲願のツアー初勝利を上げました。彼は日本とアメリカの大学で学んだというユニークな経歴の持ち主ですが、使っているクラブもかなりユニーク。ドライバー、アイアンともピンを使っているが、アイアンはアマチュア向きの「ピン G25」。グースネックでソール幅も広く深いキャビティ形状。GDOが主宰する『HOT LIST JAPAN 2013』でゴールド賞を受賞した、典型的なやさしいクラブを使っています。

今回はアイアンの「やさしさ」についてがテーマです。

難しいアイアンとやさしいアイアンの違いはいくつかありますが、まず誰でも見分けがつくのがヘッドサイズでしょう。ヘッドが小ぶりなマッスルバックを見て、やさしいと感じるゴルファーはまずいません。対して、ピンG25に代表されるように大型ヘッドを見ると、ほとんどのゴルファーはやさしさを感じます。

幅広ソール&ハイバンスが特徴~

幅広ソール&ハイバンスが特徴~

では、大型ヘッドはどんなメリットがあるのか?

ドライバー同様、アイアンの場合も大きいと見た目に安心感が増してきます。物理的な側面で言うと、ヘッドが大きいほどキャビティ形状になって(その結果、周辺重量配分設計になって)、慣性モーメントの数値が大きくなります。慣性モーメントとはヘッドのブレにくさを数値化したもので、この数値が大きいほど芯を外して打った時にヘッドがブレにくい。要するに、スイートエリアが広くなる分だけミスに対して強くなります。マッスルバックで芯を外したらグリーン手前のバンカーに入るような場合、大型ヘッドのキャビティならばグリーン手前に乗ってくれます。加えて、ヘッドが大きくなるとそれに比例して重心距離が長くなり、重心距離が長くなると飛距離性能がアップします。ヘッドの操作性は悪くなりますが、シャンクのミスも軽減できます。

ソール幅が広くなるほど低重心~

ソール幅が広くなるほど低重心~

アイアンのやさしさをチェックする上では、ソールの幅とソール形状も見逃せないポイントです。ソールの幅は広いほど「やさしさ」がアップします。幅広ソールのメリットは2つあって、ひとつは幅が広いほどダフりに強く、見た目の安心感が増します。もうひとつはソール幅が広くなるとソール側の重量が増します(幅が狭いアイアンに比べて)。結果、低重心になって、トップ気味に当たっても飛距離をロスする度合いが軽減できる。低重心になるとグリーンに止まる球は打ちづらくなりますが、低スピン弾道が打ちやすい分だけ飛距離を出しやすく、風に強い球を打ちやすいメリットもあります。

幅広ソールはお尻がポッチャリしてて見た目は格好良くありません(笑)。ですが、クラブがミスをカバーしてくれます。今日、リンクスのSSアイアンを使って千葉市民を9ホールラウンドしてきましたが、幅広ソールのアイアンだと、フェアウェイのコンディションが悪い時でも余計なプレッシャーがかかりません。きっちりヘッドを入れなくても、ちゃんと距離が出てくれるからです。
アイアンのやさしさで、もうひとつ欠かせない要素がソール形状です。ウエッジ同様、アイアンもバンス角が強いほどミスに強くなります。バンス角はソール角とも言われてますが、バンスが強くなるほどソールが地面に跳ね上がります。バンス角が強いアイアンは、硬い地面や練習場のような人工芝ではソールが跳ね過ぎてハーフトップが出やすくなりますが、芝の上から打つ時はダフってもソールが滑ってくれ、飛距離をロスしません。と言うか手前からダフり気味にヘッドを入れてやるとナイスショットと同じぐらい距離が出ます。

対して、バンス角が少ないアイアン、バンス角がゼロなアイアンは硬い地面や人工芝で打つ時には抜けが良くて打ちやすいですが、芝の上からだとダフってしまうとリーディングエッジが刺さり、ボールを上手く捕えることができません。飛距離をロスしやすくなります。

人工芝からの打ちやすさを重視しているのかどうか分かりませんが、ゼクシオをはじめ日本メーカーのやさしいアイアンは、幅広ソールですがバンス角はゼロに近いモデルが大半です。バンス角をゼロに近づけると、ゴルフショップの店内でアドレスした時(硬い地面に置いた時)ソールの座りが良くなることも考慮しているのでしょう。

対して、G25をはじめ米国メーカーのアイアンの多くはバンス角がちゃんとついています。打ち比べるとバンス角の差は歴然で、ゼクシオG25と打ち比べると明らかにG25の方がダフった時には距離が出ます。
マーク金井は昨年、リンクスのSSアイアンを設計しました。その時に一番こだわったのがバンス角。アドレスしたらリーディングエッジが少し浮くぐらいバンスを付けました。練習場の人工芝の打ちやすさを犠牲にし、硬い地面でも構えやすさを犠牲にしてでも、コースに出た時にスコアが良くなるアイアンを作りたかったからです。

塚田プロはプロの中では一番やさしいアイアンを使ってツアー初勝利を手にしました。ボクも塚田プロを見習ってやさしいアイアンを使って、今年もベストスコア更新したいと思っています。
んじゃ(▼▼)b


2013年04月23日FWが苦手なゴルファーはシャフト重量に注目すべし!!

4月20日のブログでも書きましたが、FWの性能を上手く引き出すにはシャフトの重量が重要な役割を果たしています。飛ぶと評判のテーラーメイドのロケットボールズ(RBZ)に代表されるように、市販FWの多くは純正シャフトが50g前後。これはドライバーのシャフト重量と同じか、ドライバーよりも軽いぐらいです。ドライバーをリシャフトしている人やカスタムシャフトを装着している人の場合、FWよりもドライバーの方がシャフトが重かったりします。

ロケットボールズの日本仕様純正の重量

ロケットボールズの日本仕様純正の重量

極端ですが、R1の並行(純正シャフト)だと完全に逆転します

極端ですが、R1の並行(純正シャフト)だと完全に3Wと1Wの重量が逆転します

 

メーカーがFWに軽いシャフトを装着する理由はいつくかありますが、一番の理由は飛距離重視だからでしょう。シャフトを軽くすれば、軽い分だけヘッドスピードが上がり、タイミングが合って当たれば飛距離が伸びます。FWを打った時、いかに奇跡の1発が出るかどうかにこだわっている可能性が高いです。

しかし、軽いシャフトが装着されたFWにはデメリットも多々あります。例えば、ドライバーに60gのシャフトが装着されている場合、FWのシャフトが50gだと重量フローが逆転します。FWはドライバーよりも2インチ以上短いのに、FWのシャフトがドライバーよりも軽いと‥‥、手打ちを誘発したり、ハーフトップやチョロのミスが出やすくなるんです。FWにドライバーよりも10g以上軽いシャフトが装着されていると、ミート率が悪くなるだけでなく、スイングにも悪影響が出ます。キャロウェイのXホットにしても、純正のRシャフトの重量は約44g(メーカー値)。いくらアマチュア向けと行ってもこれは軽過ぎる。300ヤード飛ぶFWが上手く打てない人の場合、純正シャフトの軽さが災いしている可能性が非常に高いです。

ドライバーは45インチ以上。対して3Wは43インチ前後。2インチ以上長さが異なれば、ドライバーよりも5~10g重くした方が重さの流れが良くなります。ただし、ドライバーで70g以上ならばドライバーとFWは同じ重量でも大丈夫です。70g以上のシャフトが装着されているドライバーの多くは長尺ではありません。45インチ以下です。長さの差が大きく出にくいし、シャフト自体も手元の重量感があって、違和感が大きく出ないからです。

アナライズではドライバーよりも先にFW用のシャフトを作りました。ドライバーには重量の選択肢がたくさんあるのに、FW用ではアマチュアにちょうどいい重量帯のシャフトが少ない。ゴルファーにとって本当に必要なシャフトが少ないから‥‥マーク金井はドライバーよりも先にFW用シャフト「W65」を作ったのです。

シャフトは硬さと調子も大事です。

FWに限りませんが、硬さが合っていないと上手くボールを捕えることができません。硬過ぎると力んで軌道がアウトサイド・インになったり、打ち急ぎのミスが出やすくなります。対して、軟らか過ぎるとシャープなスイングがしづらくなります。FW用シャフトに関して言えば、FWが苦手にはボクは少し軟らかいシャフトを勧めています。試打してみてちょっと軟らかいと感じるぐらいがちょうどいい。その方が、トップからダウンの切り返しでしなりを感じやすく、タイミングが取りやすいからです。そしてFWが得意になって、FWでボールが上がり過ぎて困るようになれば‥‥シャフトを硬くしていけばよいのです。シャフトの硬さはヘッドスピードに合せた方が良いと言われてますが、ボクは技量に合わせた方が良いと思ってます。スイングが不安定な中級者ぐらいまでは軟らかく、スイングがしっかりしている人は硬めのシャフトを使った方が、スイングとのマッチングが良いでしょう。

調子については、

手首のコックがほどけやすい人、
アウトサイド・インの軌道になっている人
切り返しで打ち急ぐ人
体を使ってしっかり振り抜けない人

要するに大抵のアマチュアゴルファーは、手元側のしなりを感じ取りやすいシャフトを無条件にお勧めします。手元がしなると頼りないと感じる人が少なくないですが、それがスイングを良くするのです。手元側がしなる、いわゆる手元調子のシャフトは、トップからダウンの切り返しで「しなり」を感じ取りやすく、ヘッドの重みを感じ取れます。結果、打ち急ぎのミスを防げますし、アウトサイド・インの軌道にもなりづらくなる。シャフトがタメを作ってくれるので、手首のコックがほどけづらくなるメリットもあるのです。

手元調子のシャフトは先端側が少し硬くなるので、ヘッドの入射角が安定します。ドライバーと違ってFWは地面から打つクラブ。ヘッドの入射角が安定するシャフトの方がミート率が良くなります。

マーク金井はこのW65を開発する時に使ったのがテーラーメイドの初代ロケットボールズ。手元のしなり感、そしてヘッドの入射角が安定するようにシャフトを設計しました。純正シャフトに比べると約20g重いです、ドライバーシャフトが50~60gの人にちょうどマッチするよに重量を設定しました。
たかがシャフト、されどシャフト。
ツアープロを引き合いに出すまでもありませんが、今どきのクラブはリシャフトした方が性能をフルに引き出せます。特にFWの純正シャフトが50g前後と軽い場合、60g台のシャフトを装着すると「これって同じクラブなの?」って感じるぐらい打ちやすく、そして振り心地の違いを体感できます。
んじゃ(▼▼)b

別のクラブと実感するには色もマッチしているW65限定カラーを↓

過去記事参照

「理想のFW用シャフト、ドライバー用シャフトとは!?」

「初代ロケットボールズ(RBZ)を丸裸にしてみた‥‥」

「初代ロケットボールズ(RBZ)を丸裸にしてみた 後編」


2013年04月22日塚田プロが使うピンG25アイアンを丸裸にしてみた!!

男子ツアー開幕戦となった東建ホームメイト。首位から1打差の2位からスタートした43歳のベテラン、塚田好宣が4バーディ、2ボギーの「70」と2つ伸ばし、通算9アンダーでホールアウト。終わってみれば2位に4打差を付け、プロ20年目にして嬉しいツアー初優勝を手にしました。放映前に優勝したのは知っていたにもかかわらず、それでも放映が始まると‥‥食い入るように画面にかじりついて塚田プロを応援しちゃいました。

塚田好宣プロ優勝の瞬間!(撮影 中野義昌)

塚田好宣プロ優勝の瞬間!(撮影 中野義昌)

GDOさんより転載 フォトギャラリーはこちらをクリック

塚田プロマーク金井が主宰する「日本ハーフコース振興協会」の会員(会員NO.55)で、千葉市民で何度か一緒にプレーさせていただきました。ハーフ協会のコンペではツアープロも特別扱いしません。塚田プロも担ぎセルフでのラウンドです。千葉市民はやさしいコースとはいえ、時にはパター無しでハーフ5アンダーとか平気で出してきます(笑)

塚田プロについては、これから様々なメディアで塚田特集が組まれると思いますが、ボクが注目しているのがクラブセッティング。彼はピンの契約ですが、現在使っているアイアンはピンのG25。ドライバーはやさしいモデルを使うツアープロも多いですが、アイアンとなると大抵のツアープロはマッスルバックか小ぶりなキャビティを使います。大型ヘッドでやさしいアイアンを使うツアープロはほとんどいません。塚田プロもG25を使う前は、ピンの小ぶりなキャビティをずっと使っていました。、
ではなぜ塚田プロはG25を使うようになったのか?
これは彼から直接聞いたのですが、最初は「新しいクラブができたから使ってみよう」という軽い気持ちだったそうです。それで、今年の初めに風の強いタイのゴルフ場で使ったてみたら‥‥

風に強い球が打てる!!
イメージ通りの弾道が打てる!!
ちろん、スイートエリアが広くてミスにも強い!!

「こりゃ使わなきゃ勿体無い」てなことになって、今シーズンはずっとG25がエースアイアン。プロの多くはクラブに対してこだわりがある反面、先入観も非常に強い。アマチュア向けアイアンを抵抗なく試合で試すツアープロはほとんどいません。しかし塚田プロには、いい意味でクラブに対する先入観が無く、使ってみたら良い結果が出た。結果が出るなら使おう。そして、ツアー初戦で初優勝。ゴルフは道具(クラブ)の依存度が非常に高い競技です。ピンをヨイショするわけではありませんが、G25アイアンは塚田プロの初優勝に大きく貢献したことは間違いありません。

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さてこのG25アイアン
もちろんマーク金井も発売直後から使っています。テストしてすごく良かったのでタイアップ広告のお手伝いもしました(月刊ゴルフダイジェスト5月号)。G25の性能を一言で言うと、i20とgG20の性能を足して2で割らなかったアイアンです。

G20はヘッドが非常に大きくてやさしいのですが、フェースが薄くて弾き感が強いアイアン。飛びとやさしさは申し分ないのですが、フェースが弾き過ぎるために距離感が出しづらく、そして球を曲げにくいアイアンでした。他方、i20は打感がソフトで球も曲げやすい。ただしヘッドが小ぶりなのでG20ほどミスには強くない。見た目もG20に比べると少し難しく感じます。

そうですG25はヘッドはゼクシオよりも少し大きいですが、モデルチェンジで打感がソフトになりました。バックフェースの衝撃吸収素材のお陰で、フェースにボールが乗る感触が味わえます。そして、ヘッドが大きい割りには操作性もそこそこ良い。ヘッドが大きいのにi20の感覚で使えるのです。それでいてヘッドが大きくてソールが非常に幅広。G20同様、スイートエリアが広く、ダフりのミスにも強い。見た目は無骨でボテッとしたヘッドですが、プロユースにも十二分に応えてくれるアイアンなんです。塚田プロもコメントしているように、風が強い球が打ちやすく、スピンコントロールもしやすく仕上がっています。

もちろんマッスルバックほどマニュアル感覚で使えるアイアンではありません。G25は限りなくオートマチックに近いセミオートマなアイアンですが、強い球が打てます。東建の最終日は風が強くて多くの選手が苦労していましが、塚田プロはアイアンでノーミス。技術(テクニック)もさることながら、クラブを味方につけて風を上手く攻略したのです。

ではなぜG25は風に強い球が打てるのか?
幅広ソールなアイアンはボールが上がりやすいイメージがありますが、G25の場合はバウンス角も強め。バウンス角が強いアイアンはインパクトでロフトが立つので、風に強い球が打ちやすくなります。加えて、幅広ソールは低重心。アイアンは重心が低い方がスピンが少ない球が打ちやくなるのです。

塚田プロのスイングはG25と相性が非常良いのも見逃せないポイントです。TV解説をしていた丸山茂樹プロも言ってましたが、彼はねっからのフッカー。テークバックはややアウトに上がり、ダウンでシャフトがフラットに入る。インサイドからヘッドを入れているので重心距離が短いアイアンよりも重心距離が長いアイアンの方が、インパクトのタイミングが合いやすい。ピンは昔から重心距離が長めのアイアンが多いですが、その中でもG25は重心距離が長い。スイングと重心距離がマッチしたことが「イメージ通り」の弾道が打てることにつながったのでしょう。

塚田プロが優勝したことでG25アイアンの人気はさらに高まると思いますが、

このアイアンでちょっとだけ残念なのがカーボンシャフトのバリエーションです。やさしいアイアンという位置づけなので、カーボンシャフトの重量がちょいと軽めです。重めのカーボンもあるにはあるんですが、こちらは昔からのピンの伝統でシャフトがかなり硬め。手前味噌ですが70g台でしなりを感じるシャフト、アナライズの「MI72」とかフジクラ「MCI80」とかを装着すると、さらにヘッド性能を引き出せるかなと思っています。もしくは、アイアン用のシャフトスタビライザー等を装着すると、手元側の重量感が増し、スイングの安定感が増して使い心地がかなり良くなるでしょう。

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んじゃ(▼▼)b


2013年04月20日理想のFW用シャフト、ドライバー用シャフトとは!?

最近、マーク金井が試打クラブのテストに使っているのが米軍施設である多摩ヒルズ。ここは米軍の娯楽施設として作られたコースなので、一歩中に入れば米国です。

多摩ヒルズ16番ミドルホール~。

多摩ヒルズ16番ミドルホール~。

プレーフィーは言うに及ばず、茶店やレストランの支払いはドル建て(円も使えます)です。レストランで食べるステーキやハンバーガーも米国人を意識したもので、味付け、そしてボリュームもアメリカンです。

 

これでスモールサイズ~(笑)ポテトはてんこ盛り~。

これでスモールサイズ~(笑)ポテトはてんこ盛り~。

 

そんなマーク金井が昨日、多摩ヒルズでテストしたのがこれっ!!

試作シャフトは未塗装なので基本、ブラックです~(▼▼)b

試作シャフトは未塗装なので基本、ブラックです~(▼▼)b

強風が吹き荒れる中、現在開発中のドライバー用シャフトを2本テストしてきました。どちらも重さは50gですが、硬さとしなり感が異なります。243と書いてある方は軟らかめで、シャフト中間部分が軟らかく感じるタイプ。いわゆる粘り感があるシャフトです。対して246と書いてある方は243よりも少し硬め。そして中間部分に張りがあって弾き感があります。どちらもヘッドスピードが37~43m/sのゴルファーを意識したもので、長さは44.5~45.5で使いやすいようにチューニングがなされています。

さて、このドライバー用試作シャフト。名前はすでに決まっておりW55です。Wはウッドの略で、55は重さの略。50g台でウッド用のシャフトですが、マーク金井がこだわるのが重さと硬さのバランス。市販シャフトの多くは、重くなるほど硬く、軽くなるほど軟らかく作られています。このため、50gと60gのSシャフトを比較すると、大抵は後者の方が0.5フレックスほど硬くなっています。そして、60g台以上の重めのシャフトとなるとRの設定がない場合もあったりします。マーケティング的に「重くて軟らかい」シャフトは売れない、とシャフトメーカーは考えているのでしょう。

しかし、ボクはそうは思いません。スイングが不安定な中級者ぐらいまでは、「重くて軟らかい」シャフトがベストだと思っています。重さが適度にあった方が、手打ちになりにくく、体使ってスイングできます。シャフト(クラブ)を少し重くすると、クラブの軌道を安定させられるメリットもあるんです。

硬さに関しては、軟らかい方が切り返しで力みません。軟らかければ、シャフトをしならせようと力まないですむからです。加えて軟らかい方が、タイミングが取りやすくなるし、アマチュアに多いアウトサイド・インの軌道を矯正でき、インサイドから振り下ろしやすくなるのです。

このボクの考えを具現化して作ったのが、昨年末に完成したW65です。これはFW用として開発したシャフトで、重量が60g台あります。市販のFWには50g前後のシャフトが装着されていますが、それに比べると10g以上重く作られています。なぜここまで重くしたかと言うと‥‥ドライバーに比べるとFWはクラブは長くありません。ドライバーが45インチ以上あるのに対して、3Wは43インチ前後。2インチ以上長さが異なれば、ドライバーよりも5~10g重くした方が重さの流れが良くなるからです。加えて、手元側のしなりを感じ取りやすくするために、手元剛性をわざと少し下げ、それによって軟らかさを感じ取りやすくしています。これにより切り返しでゴルファーが余計なことをするのを防げます。また重さ効果でスイング軌道が安定する分だけミート率が良くなるんです。

市販FW、特にロケットボールズはシャフトが軽い。FWのシャフトが軽いとトップしたり、チョロが出やすくなります。また、ボールが上がらなくなると上げたくなってすくい打ちのミスも出やすくなるのです。

マーク金井はこのW65を開発する時に使ったのがテーラーメイドの初代ロケットボールズ。このFWはヘッドが大きめで、重心距離も長め。飛ぶというだけでなく、FWのスタンダードになると思ったから、このヘッドを選びました。あまりにもRBZ(ロケットボールズ)と相性が良く仕上がったので‥‥思い切ってRBZとカラーマッチングさせたシャフトも限定で作っちゃいました。

もはや名器?初代RBZ(ロケットボールズ)

もはや名器?初代RBZ(ロケットボールズ)

RBZ(ロケットボールズ)にピッタリの限定カラー

RBZ(ロケットボールズ)にピッタリの限定カラー

そして、W65の次に作ろうとしているのが冒頭で紹介したW55なんです。このシャフトの設計ミッションは2つ。FWよりも10g軽くすること(これによりドライバーとFWとの重量フローが良くなる)、もうひとつはヘッドスピードが37~43m/sのゴルファーがやさしく飛ばせるようになることです。具体的に言うと、W65同様、ミート率が良くなるシャフトを作ること。ドライバーに限りませんが、芯で捕えた時にボール初速がもっと上がり、飛距離を効率良く稼げるからです。

この2つのミッションを答えるべく、仕上がった最終試作シャフトがこの2本です。両方ともコースで何度も打ち比べましたが、どちらにも魅力を強く感じました。243は粘り感があってタイミングが取りやすく、高弾道でキャリーを出ます。246は弾き感があって力強いインパクトから、中弾道で低スピン弾道が打ちやすい‥‥なのでボクが行き着いた答えは大人買い(笑)そうです、ドライバー用は1種類だけの予定でしたが、2種類出すことに決定しました。シャフト製作はファイアーエクスプレスでお馴染みのコンポジットテクノさん。もちろんメイドインジャパンです。

昨日のブログでも書きましたが、ヘッドスピード、飛距離によって最適なクラブ、最適なシャフトは変わってくるのです。おーっと、シャフト作りで一番大事なことを書き忘れました。この続きは来週アップしましょう~。

 

んじゃ(▼▼)b


2013年04月19日やさしいウエッジと難しいウエッジはどこが違うのか?

マスターズも終わり、いよいよゴルフシーズンたけなわです。ボクも今日は米軍施設の多摩ヒルズでラウンド。明日は千葉市民で早朝ハーフです。どちらもラウンドの目的はクラブとシャフトの試打。アナライズでは現在、サンドウエッジを2モデル。ドライバー用シャフトW55を2モデル、そして80g台のアイアン用カーボンシャフトを開発中。これらをテストすると同時に、マーク金井が衝動買いしたピンのG25ドライバー、コブラのampセルのFWとユーティリティを試打します。今日はキャディバッグの中にクラブが16本ぐらい入っているでしょう~(笑)

さて、アナライズのウエッジと言えば、ワイドソール&ハイバンスのMSウエッジとリンクスのSSウエッジ。どちらも超シャローフェースなデザインを採用し、パッと見ただけで、「やさしい」「簡単」「ミスに強そう」ということがイメージできるウエッジを作りました。もちろん、打てば違いは一目瞭然。ワイドソールなウエッジは他にもありますが、これでハイバンスになっているモデルはほとんどありません。ワイドソールでハイバンスにするとアドレスした時にリーディングエッジが浮いてしまい、そしてヘッドを硬い地面に置くとクルッとフェースが閉じる方向に回転するからです。

ワイドソール、ハイバウンスなMSウエッジ、SSウエッジ

ワイドソール、ハイバウンスなMSウエッジ、SSウエッジ

何故、アドレスしづらいウエッジを作ったかと言うと、とにかくダフりに強いウエッジを作りたかったからです。ワイドソール&ハイバンスにするとハーフトップする怖さがありますが、反面、ハーフトップしやすいウエッジはダフって打ってもヘッドが地面に潜らず、ソールが滑ります。結果、ミスがミスにならない。アプローチでザックリを防止する、バンカーからザックリを防止するということに特化したウエッジを作りたくて、作ったわけです。
そんなマーク金井が今、今取り組んでいるのがオーソドックスな形状のウエッジ。現在、56度を試作テスト中ですが、試作のセカンドバージョンが昨日上がってきました。

セカンドバーション。ファーストバージョンに比べてバンスがフラットで効いている

セカンドバーション。ファーストバージョンに比べてバンスがフラットで効いている

 

試作ファーストバージョン。ソール面積が少なく、ヒール側のバンスが削られている

試作ファーストバージョン。ソール面積が少なく、ヒール側のバンスが削られている

見た目は、オーソドックスなティアドロップ形状。ネックもストレートに近く、いわゆる出っ歯系ウエッジ。MSSSウエッジを否定するかのようなデザインですが、実は設計コンセプトはMSSSと同じなのです。見た目はオーソドックスな形状ですが、ソールをじっくりとご覧になって下さい。

 

ソール幅は広めですし、なによりも抜けを意識してソールが面取りされていません。ヒール側のバンスも「これでもか」ってぐらい張り出しています。今流行の多面ソールのウエッジに比べると、実効ソール面積は2倍ぐらいあるでしょう。そうです、MSSSは使いたいけれど、どうも形状がなじめないんだよねっ。そういうゴルファーに向けて、とにかくダフり、ザックリのミスに強いウエッジを作っているわけです。ちなみに、形状的はマーク金井が一番好きなキャロウェイの初代Xウエッジがモチーフになっています。具体的に言うと、ボーケイクリーブランドに比べると、輪郭の丸み感を押え、ややボックス形状になっています。そしてリーディングエッジの丸み感も控えめ。ソールを開いて使うこともできますが、スクエアに構えた時にラインが出やすい形状になっています。

もうひとつのこだわりがリーディングエッジの浮き具合。大手メーカーのウエッジの多くは、ゴルフショップの硬い地面に置いた時、リーディングエッジが浮かないようにデザインされています。リーディングエッジが浮くと、多くのゴルファーから「構えづらい」と毛嫌いされるリスクを回避したいからです。しかし、マーク金井そんなことを一切考えません。このオーソドックスな形状のウエッジも硬い地面にヘッドを置くと、MSSSウエッジ同様、リーディングエッジがガッツリ浮きます。

MSウエッジを硬い床にソールする

ヒール側のソール幅が広く、バウンスがしっかりあると、硬い床の上にソールすると、フェースが左を向く(写真はMSウエッジ)

ウエッジを使うシチュエーションは芝の上や砂じゃないですか。実際のシチュエーションではリーディングエッジが浮くぐらいの方がソールが滑りやすいし、ザックリ、ダフりを確実に軽減できるからです。
ボクの考え方が本当に正しいのかどうかは、コースで使ってみればすぐに分かります。様々な芝、様々な砂でとことんテストし、自分が納得できた時点で市販化します。クラブを設計する人間が実際にテストする。極めて合理的なアプローチですが、最近のクラブメーカーでこれをちゃんとやっている所は非常に少ないでしょう。アナライズは非常に小さい会社ですが、設計者とテスターが同一人物でできる数少ないメーカーです。試打の結果については、このブログでもじっくり公開していきたいと思います。
んじゃ(▼▼)b

 

ワイドソール&ハイバンスの【アナライズ MSウェッジ】こちらへ。