マーク金井blog

2013年05月16日シャフトの調子と硬さの微妙な関係について考察してみた‥‥

今日もシャフトの硬さについてです。

振動数計

シャフトの硬さの指標の一つ、振動数を測る振動数計

アナライズではウッド用、ユーリティ用、アイアン用のオリジナルシャフトを作っていますが、硬さ表記にRとかSを用いていません。このブログで書いてきたように、クラブメーカーの多くは、RとかSというが独自規格で設定。絶対値ではなく相対値としてのまかり通るようになったからです。アナライズの場合、硬さについては普通がノーマル、硬い方が+(プラス)というジャンル分けをしています。RとかSとかの表記に慣れた人にはちょっと分かりづらいですが、ユーザーに勘違いしてほしくないので、こんな風に表記しました。普通の硬さでいいならノーマル、ちょっと硬めを使いたいならば+をお勧めしています。

さて、今日のテーマは調子(キックポイント)と硬さの関係についてです。クラブメーカ-の純正シャフト、シャフトメーカーが売り出すアフターマーケット用のシャフトとも、シャフトには必ずといっていいほど調子(キックポイント)が表記されています。調子(キックポイント)は4つにジャンル分けされ、

 

手元調子‥‥  手元側のしなりを感じやすいシャフト
中調子‥‥‥  中間部分のしなりを感じやすいシャフト
先調子‥‥‥  先端側のしなりを感じやすいシャフト
ダブルキック  手元と先端の2ヶ所のしなりを感じやすいシャフト
という風になっています。要するに、スイングした時にどこがしなりやすいかで調子(キックポイント)が決まるわけです。ちなみに、硬さ同様、調子(キックポイント)もゴルフ業界での統一基準は特にありません。メーカーが「これは中調子」と決めれば、それがカタログ表記されています。なので、マーク金井はシャフトを試打する時、実際にスイングした時、メーカー表記を鵜呑みにしないで、「どこがしなりやすいのか」にこだわって試打しています。そして、同時に硬さの違いについてチェックします。

シャフトは振動数が同じでも調子(キックポイント)が異なると、ゴルファーが感じる硬さが変ってくるからです。例えば、手元調子と先調子を同じ振動数でシャフトを設計した場合、ほとんどのゴルファーは手元調子の方が硬く感じ、先調子の方が軟らかく感じます。何故かと言うと、手元調子の場合、先調子のシャフトよりもシャフトの中間部分、先端部分が硬く仕上がっているからです。
例えば、一昨日のブログで紹介したヨネックスのレクシスNPシリーズ。このシャフトは同じ重量帯で先調子(L)、中調子(M)、手元先調子(H)の3種類がラインアップされています。この3本の振動数を調べてみると‥‥
L(先調子)   256cpm
M(中調子)   255cpm
H(手元調子)  259cpm

ヨネックスのレクシスL65(先調子)M65(中調子)H65(手元調子)とキックポイント別に販売されている

ヨネックスのレクシスL65(先調子)M65(中調子)H65(手元調子)とキックポイント別に販売されている

振動数に大きな差はありません。3本ともほぼ同じです。ところが実際に打ち比べると、手元調子のHが一番硬く、2番目は中調子のM、そして一番軟らかいのが先調子のLです。振動数だけでシャフトのフレックス(硬さ)を管理しようとすると、硬さを同じ感じに仕上げることは出来ないのです。ちなみに、マーク金井が提案する硬さ係数(振動数×センターフレックス値)でこの3本のシャフトを調べると‥‥

 

L(先調子)  256cpm×3.89=  996
M(中調子)  255cpm×4.18= 1070
H(手元調子) 259cpm×4.69= 1214

明らかに手元調子の方が数値が高く、先調子の方が数値が低く出ます。この硬さ係数と、実際にスイングした時に感じる硬さは近いものがあります。そして、この捕まり係数の違いから分かること、調子を変えて設計する場合、意図的に手元調子は振動数を少し落とす必要があります。ここからは推察ですが、同じシャフトで調子を変える場合、手元調子は先調子よりも10cpmぐらい振動数を下げることで、硬さが同じぐらいになってくると思われます。

例えば、前述した手元調子のHの振動数を246cpmに下げて設計してみると(先調子のLよりも振動数を10下げて設計)

H(手元調子) 246cpm×4.69=1153
という数値になります。L(先調子)の数値までは下がりませんが、それでも
振動数を下げたことで硬さ係数はかなり下がります。そして付け加えるならば、
振動数を下げると、それに連動してCF値(センターフレックス値)も少し下がってきます。なので、最終的にはH(手元調子)とL(先調子)の硬さ係数はかなり近い感じになってくるでしょう。
振動数は客観的に硬さを調べることができますが、調子が硬さに及ぼす影響までは計測できません。つかまり係数についてはまだまだ研究の余地がありますが、振動数では分かりづらい「本当の硬さ」をチェックできるような気がしてます~。
んじゃ(▼▼)b
PS.アナライズオリジナルシャフトは振動数が低めですが、振るとしっかりした感じになるのは、シャフト中間部分を意図的に硬めに仕上げてあるからです。手元がしなるシャフトにこだわるのは、手元がしなった方がスイングが良くなるからです~。

 


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