マーク金井blog

2013年06月09日なぜ国内メーカーはバンスが少ないアイアンを作りたがるのか?

昨日のブログで国内メーカーのアイアンの多くは、米国メーカーのアイアンに比べるとバンス角が総じて少ないと書きました。7番アイアンの具体的な数値を比べてみると
ダンロップ ゼクシオ7  バンス角 2度
PING  G25    バンス角 7度
どちらもアマチュア向けに作られたアイアンですが、バンス角がかなり違います。そして不思議なことですが、国内メーカーのアイアンはカタログにバンス角の表記がありません。このブログを書くために色々調べてみたら、ブリヂストンのファイズ、ヤマハのインプレスX Dフォージド、PRGRのナブラX等々‥‥ロフト角の表記はあってもバンス角については表記が省かれています。米国メーカーの場合、タイトリストとピンはバンス角の表記がちゃんとあり、キャロウェイとテーラーメイドにはバンス角の表記がありませんでした(日本語サイト)。
さて、このアイアンのバンス角。

バンスが少ないとどんなメリットがあるのか?

まず、アドレスした時のヘッドの座りが良くなります。バンス角が少ないアイアンはヘッドをポンと地面に置いた時、フェースが被る方向に回転しません。構えた時にフェースがスクエアに向くか、もしくはやや開き気味になります。結果、ゴルフショップでクラブを構えた時に「引っかかりづらい」イメージが出ます。グースが少ないアイアンが好まれるのと同様、ヘッドを置いた時、フェースが被らない顔つきになります。
もうひとつは人工マットで打った時のソールの抜けの良さ。練習場お多くはコンクリートの地面の上に人工芝マットを置いてあります。このため、バンスが少ないアイアンの方がソールが滑ります。抜けが良くて気持ち良さが手に伝わります。また、ダフり気味にヘッドが入った時、ソールが跳ねすぎないので打ちやすく感じます。加えて、バンスが少なくすると、ストロングロフトになっているアイアンでもボールが上がりやすい。バンスが少ないとインパクトでロフトが減りづらくなるからです。
その一方で、バンスが少ないアイアンにはデメリットもあります。ゴルフ場の天然芝で打った場合、ソールが滑りづらくなります。ボールだけをクリーンに打てるならば問題ありませんが、少しでもダフるとヘッドは地面に刺さります。ミスの許容範囲が狭くなってきます。ナイスショット時とミスショット時の飛距離差が大きくなります。また、ダフりのミスに対して許容範囲が小さいために‥‥

IMG_0971

こんな感じで、ゴルファーがダフるのを怖がってすくい打つ感じにもなりやすいのです。加えて、バンスが少ないアイアンは、ソールの構造上、ハンドファーストの状態でインパクトを迎えるのも難しくなります。

誤解を恐れずに言うと、バンスが少ないアイアンはゴルフショップでの見栄えが良く、練習場では扱いやすいですが、反面、コースに出た時には扱いづらいアイアンになるのです。

対して、バンスが多いアイアンというのはショップでの見栄えは良くありません。ヘッドをポンと置くと‥‥

MSウエッジを硬い床にソールする

MSウエッジを硬い床にソールする

こんな感じでフェースが被った感じになります。練習場でもダフり気味にヘッドが入ると、ソールが跳ねすぎて手に嫌な感触が残ります。バンスが多いアイアンはゴルフショップでの見栄えが悪く、練習場では扱いづらいアイアンです。

反面、コースに出た時はダフり気味にヘッドが入ってもソールが滑ってくれてミスがミスになりません。また、バンス効果でハンドファーストに打ちやすい(ハンドファーストに打ちたくなる)アイアンです。

たかがバンス、されどバンス。

どちらを使うかはゴルファーの自由です。国内メーカーはショップでの印象、練習場での使い勝手を意識した結果、バンスが少ないアイアンを作るようになっただと思います。対して、マーク金井バンス至上主義。普段使っているアイアンはタイトのVG3、ピンのG25、そして自らが設計したリンクスSSアイアン。いずれもバンスが多い!!! ハイバンスを好むのは、コースでの使い勝手の良さ、アイアンは「バンスでボールを捕える」という感触を求めているからです。加えて、アイアンはハンドファーストで打つのが基本であり鉄則。それを実践するには、バンスが多いアイアンの方が絶対有利だからです。
アマチュアの80%以上はインパクトでハンドファーストの形をちゃんと作れていません。逆ハンドファーストになっている人が圧倒的に多いです。もしもアイアンが苦手ならば、見た目よりも、バンス角にこだわってクラブを選んだ方が確実にスイングが良くなりますし、確実にスコアも良くなるでしょう。

 

PS.

ボールをたくさん打ってもスイングは変わりません。ボールの行方や自分のフィーリングが邪魔をするからです。悪い癖を直したい、本気で正しいスイングを会得したいと思うならば‥‥身体の動きをチェックしやすい方法で練習しましょう。マーク金井はゴルフの竪琴を使っているのは、これが一番身体の動き、そして今どきのクラブに対応できるスイングが身に付けられるからです~。


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