マーク金井blog

2013年05月20日重心距離が長いクラブはなぜ振りづらいのか?

昨日のブログで、ゴルフクラブは進化の仮定でヘッドが大きくなり、それにともなって重心距離が長くなってきたと書きました。ドライバーとアイアンに関しては、この25年ぐらいで重心距離が10ミリ以上伸びてきています。パーシモンドライバーの頃は重心距離が31ミリ前後でしたが、今どきの460CCドライバーは重心距離が40ミリを超えているのがザラにあります。モデルによっては重心距離が44ミリ以上もあったりします。

さて、この重心距離。

重心距離

重心距離とはシャフト軸線からスイートスポット(フェース面上の重心位置)までの距離のことです。通常はヘッド(フェース)を大きくすれば、それに比例して重心距離も長くなります。そして重心距離が長くなるほど、飛距離性能がアップします。正しいタイミングでインパクトを迎えられるという前提においては、重視距離が35ミリと45ミリのドライバーを比較した場合、後者の方が飛び指数がアップします。マーク金井が打ち比べた場合、重心距離が5ミリ伸びてくると、3~5ヤードぐらいキャリーが伸びてきます。
そして、同じクラブ重量で重心距離が異なるドライバーを打ち比べてもらうと、90%以上のゴルファーは重心距離が長くなるほどほとんど振りづらいと感想を漏らします。加えて、重心距離が長くなるほど振り遅れのミスが目立つようになります。なぜ振りづらさに違いが出るかというと‥‥

重心距離が長くなるほどフェースを返すのに大きな力が求められるからです。特に、テークバックでフェースが開く人、トップでシャフトクロスになっている人の場合、重心距離が長くなるほど振り遅れのミスが出やすくなります。重心距離が長いクラブの場合、いったんフェースを開いてしまうと開いたままインパクトを迎えることになるからです。意識するしないにかかわらず、重心距離というのはスイングに多大な影響を与えるのです。

重心距離がスイングに与える影響‥‥

これを理解するには実際に体感してもらうのが一番確実です。アナライズの神田スタジオには世界一番で重心距離が長いゴルフクラブと、世界で一番重いと重られるゴルフクラブがあります。それがこれと、これっ!!

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MSウエッジとゴルフボールと並べるとその大きさがわかると思います

世界で一番重心距離が長いクラブはXLアイアンと呼ばれる練習クラブ。ヘッドの大きさは卓球のラケット以上、テニスのラケット以下という大きさ。日本オープンが古賀ゴルフクラブで開催された時、優勝した片山晋呉はこの超デカヘッドアイアンで毎朝練習していました。フェース面がプラスティックなのでゴルフボールを打てませんが、スポンジボールならば打てます。ちなみに片山プロは金属の板を張り付けてゴルフボールを打っていました。

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構えるとこんな感じ

世界で一番重いと思われる練習器具はモメンタススイングトレーナー。重量は約1150g。非常に重いですがヘッドは昔の7番アイアンぐらいと非常に小ぶりです。重いけれど、こちらは重心距離が非常に短いクラブです。

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測りに乗せて写真を撮ろうと思いましたが、重すぎて計測不能でした(笑)

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どちらもゴルフクラブとはかなりかけ離れていますが、振った時に感じる抵抗の違いがハッキリと感じ取れます。モメンタスは重いので早く振ることはできませんが、振り遅れる感じにはなりません。シャフトを振ることができれば振り切れます。対して、XLアイアンは軽く振っても手に抵抗が強くかかります。フェース面があまりにも巨大なので空気抵抗も大きいですが、それ以上に感じるのがフェースの回転しづらさ。ネック軸回りモーメントが巨大になるため(シャフト軸をしてヘッドが回転しづらくなるため)、テークバックでフェースをいったん開いてしまうと、ダウンスイングで元に戻そうと思っても、なかなか戻ってくれません。

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ダウンスイングはこんな感じになってしまい、フェースが開いたままインパクトを迎えることになります。そして、フェースをスクエアに戻すためには1キロを超えるモメンタムスよりも大きなパワーが必要なことが体感できます。
XLアイアンはこれでもかってぐらい重心距離が長いですが、これでボール打つと重心距離がスイングに及ぼす影響がいかに大きいかを身をもって体感できます。そして、重心距離が長くなればゴルフスイングのセオリーが劇的に変ることも分かってきます。クラブ設計家の竹林隆光さんは自著、「ゴルフクラブの真実」(パーゴルフ新書)の中で、

クラブを無視してスイング理論を論じるケースが多いのですが、基本的にはそれは間違いで、クラブが変ればスイング理論は変るし、クラブがゴルファーのスイングを構築していきます。

重心距離の違いによってもスイング理論は変ります。
(以上、ゴルフクラブの真実から引用)
マーク金井は練習器具マニアでもありますが、野球のバットタイプの練習器具にはまったく興味を示しません。バットタイプの練習器具は重心距離が無いからです。対して、ゴルフの竪琴はゴルフクラブとは似ても似つかないユニークな形状ですが、シャフトの先端にはヘッドが付いていて重心距離がちゃんとあります。重心距離を感じ取ることができるので、竪琴で練習すればスイング作りに不可欠な重心距離をコントロールする感覚も養うことができます。

アナライズにある重心距離のゼロのドライバー。これで打つならバット素振りは有効?!

アナライズにある重心距離のゼロのドライバー。これで打つならバット素振りは有効?!

明日からは、長重心距離のクラブといい関係を築くためのスイング理論について詳しく説明していきましょう。
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PS.ゴルフの竪琴で練習すると、手打ちを解消するために不可欠なハンドアクションを学べます。ダウンでシャフトが寝てしまう人、手打ち癖がなかなか治らない人にオススメです~。

参考過去記事

「今どきのクラブが求める理想的なスイングとは‥‥その1」


カテゴリー ゴルフクラブ分析

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