マーク金井blog

2013年05月20日重心距離が長いクラブはなぜ振りづらいのか?

昨日のブログで、ゴルフクラブは進化の仮定でヘッドが大きくなり、それにともなって重心距離が長くなってきたと書きました。ドライバーとアイアンに関しては、この25年ぐらいで重心距離が10ミリ以上伸びてきています。パーシモンドライバーの頃は重心距離が31ミリ前後でしたが、今どきの460CCドライバーは重心距離が40ミリを超えているのがザラにあります。モデルによっては重心距離が44ミリ以上もあったりします。

さて、この重心距離。

重心距離

重心距離とはシャフト軸線からスイートスポット(フェース面上の重心位置)までの距離のことです。通常はヘッド(フェース)を大きくすれば、それに比例して重心距離も長くなります。そして重心距離が長くなるほど、飛距離性能がアップします。正しいタイミングでインパクトを迎えられるという前提においては、重視距離が35ミリと45ミリのドライバーを比較した場合、後者の方が飛び指数がアップします。マーク金井が打ち比べた場合、重心距離が5ミリ伸びてくると、3~5ヤードぐらいキャリーが伸びてきます。
そして、同じクラブ重量で重心距離が異なるドライバーを打ち比べてもらうと、90%以上のゴルファーは重心距離が長くなるほどほとんど振りづらいと感想を漏らします。加えて、重心距離が長くなるほど振り遅れのミスが目立つようになります。なぜ振りづらさに違いが出るかというと‥‥

重心距離が長くなるほどフェースを返すのに大きな力が求められるからです。特に、テークバックでフェースが開く人、トップでシャフトクロスになっている人の場合、重心距離が長くなるほど振り遅れのミスが出やすくなります。重心距離が長いクラブの場合、いったんフェースを開いてしまうと開いたままインパクトを迎えることになるからです。意識するしないにかかわらず、重心距離というのはスイングに多大な影響を与えるのです。

重心距離がスイングに与える影響‥‥

これを理解するには実際に体感してもらうのが一番確実です。アナライズの神田スタジオには世界一番で重心距離が長いゴルフクラブと、世界で一番重いと重られるゴルフクラブがあります。それがこれと、これっ!!

P1030553

MSウエッジとゴルフボールと並べるとその大きさがわかると思います

世界で一番重心距離が長いクラブはXLアイアンと呼ばれる練習クラブ。ヘッドの大きさは卓球のラケット以上、テニスのラケット以下という大きさ。日本オープンが古賀ゴルフクラブで開催された時、優勝した片山晋呉はこの超デカヘッドアイアンで毎朝練習していました。フェース面がプラスティックなのでゴルフボールを打てませんが、スポンジボールならば打てます。ちなみに片山プロは金属の板を張り付けてゴルフボールを打っていました。

P1030552

構えるとこんな感じ

世界で一番重いと思われる練習器具はモメンタススイングトレーナー。重量は約1150g。非常に重いですがヘッドは昔の7番アイアンぐらいと非常に小ぶりです。重いけれど、こちらは重心距離が非常に短いクラブです。

P1030554

測りに乗せて写真を撮ろうと思いましたが、重すぎて計測不能でした(笑)

P1030558

どちらもゴルフクラブとはかなりかけ離れていますが、振った時に感じる抵抗の違いがハッキリと感じ取れます。モメンタスは重いので早く振ることはできませんが、振り遅れる感じにはなりません。シャフトを振ることができれば振り切れます。対して、XLアイアンは軽く振っても手に抵抗が強くかかります。フェース面があまりにも巨大なので空気抵抗も大きいですが、それ以上に感じるのがフェースの回転しづらさ。ネック軸回りモーメントが巨大になるため(シャフト軸をしてヘッドが回転しづらくなるため)、テークバックでフェースをいったん開いてしまうと、ダウンスイングで元に戻そうと思っても、なかなか戻ってくれません。

P1030577

 

P1030578

P1030574
ダウンスイングはこんな感じになってしまい、フェースが開いたままインパクトを迎えることになります。そして、フェースをスクエアに戻すためには1キロを超えるモメンタムスよりも大きなパワーが必要なことが体感できます。
XLアイアンはこれでもかってぐらい重心距離が長いですが、これでボール打つと重心距離がスイングに及ぼす影響がいかに大きいかを身をもって体感できます。そして、重心距離が長くなればゴルフスイングのセオリーが劇的に変ることも分かってきます。クラブ設計家の竹林隆光さんは自著、「ゴルフクラブの真実」(パーゴルフ新書)の中で、

クラブを無視してスイング理論を論じるケースが多いのですが、基本的にはそれは間違いで、クラブが変ればスイング理論は変るし、クラブがゴルファーのスイングを構築していきます。

重心距離の違いによってもスイング理論は変ります。
(以上、ゴルフクラブの真実から引用)
マーク金井は練習器具マニアでもありますが、野球のバットタイプの練習器具にはまったく興味を示しません。バットタイプの練習器具は重心距離が無いからです。対して、ゴルフの竪琴はゴルフクラブとは似ても似つかないユニークな形状ですが、シャフトの先端にはヘッドが付いていて重心距離がちゃんとあります。重心距離を感じ取ることができるので、竪琴で練習すればスイング作りに不可欠な重心距離をコントロールする感覚も養うことができます。

アナライズにある重心距離のゼロのドライバー。これで打つならバット素振りは有効?!

アナライズにある重心距離のゼロのドライバー。これで打つならバット素振りは有効?!

明日からは、長重心距離のクラブといい関係を築くためのスイング理論について詳しく説明していきましょう。
(▼▼)b
PS.ゴルフの竪琴で練習すると、手打ちを解消するために不可欠なハンドアクションを学べます。ダウンでシャフトが寝てしまう人、手打ち癖がなかなか治らない人にオススメです~。

参考過去記事

「今どきのクラブが求める理想的なスイングとは‥‥その1」


2013年05月19日今どきのクラブが求める理想的なスイングとは‥‥その1

今週、キンドルストアから「ロケットボールズ完全使いこなし術」(マイナビ)、発売してから5日ほど経過しましたが、今のところ売り上げランキング2位をキープしています。改めてロケットボールズの人気の高さを感じております。

ロケットボールズは従来のFWに比べるとヘッドが大きく、460CCドライバーとも相性が良いです。投影面積で比べたら、パーシモンやメタルヘッドのドライバーよりも大きいでしょう。大きいヘッドは慣性モーメントが増大してミスに強くなりますが、加えて重心距離も長くなってきます。ロケットボールズ、そしてキャロウェイのXホットは、わざと重心を浅くすることで低スピン弾道で飛び指数を上げてますが、実は、ロケットボールズの場合は重心距離が長くなったことでも飛び指数を上げているのです。

ロケットボールズとパーシモンのドライバー

ロケットボールズとパーシモンのドライバー

重心距離とはシャフト軸線からスイートスポット(フェース面上の重心位置)までの距離のことです。通常はヘッド(フェース)を大きくすれば、それに比例して重心距離も長くなります。ちなみに、テニスのラケットの場合は大きくしても重心距離は変りません。ラケットはシャフト軸線上に重心がある、すなわち重心距離がゼロだからです。野球のバットも重心距離はゼロです。棒状の道具を使う球技で、重心距離が存在する道具はゴルフクラブと、ホッケーやクリケットのスティックぐらいだけです。

重心距離

重心距離に話を戻すと、パーシモンやメタルヘッドの頃のドライバーはヘッドが小ぶり(体積200CC未満)なこともあって、重心距離が35ミリを超えるモデルはほとんどありませんでした。唯一、重心距離の長さを感じたのは、マルマンのスッポンぐらいです。スッポンはわざとネックをヘッドから遠ざけるように作られたドライバー。ヘッドは小ぶりでしたが、ネック位置が意図的に離れているために重心距離が長くなっていました。具体的な数値を上げると、

パーシモン    体積170CC前後  重心距離  30ミリ前後
メタルヘッド   体積170CC前後  重心距離  31ミリ前後
初期チタン    体積200CC前後  重心距離  32ミリ前後
20年前のチタン 体積250CC前後  重心距離  34ミリ前後
10年前のチタン 体積350CC前後  重心距離  37ミリ前後
現在のチタン   体積460CC前後  重心距離  33~45ミリ

重心距離はモデルによっても異なりますが、ざっくりと平均的な数値で比較するとこんな感じです。ゴルフクラブはヘッド素材が変ることで進化してきましたが、実は、素材の変化ととともにヘッドが大きくなり、そして重心距離が少しづつ伸びてきまました。言い換えると、重心距離が伸びたことで多くのゴルファーは飛距離アップを実現できているのです。

重心距離が長くなるとシャフトよりもスイートスポット位置の方が遠くなります。同じ45インチでも重心距離が長い方が、実質的には長いクラブを振っていることになり(結果、打球面のヘッドスピードが上がり)それが、ボール初速のアップさせることにつながります。前述したマルマンのスッポンをはじめ、クラブメーカーの多くは、これが飛距離性能につながるものだとコメントしています。

もちろんこれも一理あるでしょう。1センチ重心距離が伸びてくれば、1センチ長いクラブを振っていくことになって、その分だけヘッドスピードが上がる可能性があります。しかし、たかが1センチ。ヘッドスピードが1m/sもあがることはないです。

では、なぜ重心距離が伸びると飛び指数が上がるのか?

パーシモンのドライバーと重心距離44ミリの今どきドライバーを振り比べると、その答えを窺い知ることができます。アナライズの神田スタジオにはクラブ診断、スイング診断用にマグレガーのパーシモンドライバーがあります。シャフトはもちろんスチール。重量は350g前後と非常にヘビー。タイガー・ウッズが使っているドライバーよりも重いぐらいです。なのに、アマチュアゴルファーに振ってもらうと、皆さん口を揃えて‥‥

P1030545

パーシモン時代はスチールシャフト装着が標準だったので、クラブの総重量が350gを超える

 

案外、振りやすい~。

とおっしゃいます。重くて硬いドライバーなのに‥‥重くて振りづらいという人は10人に2人ぐらいです。対して、重心距離44ミリのドライバー(325g)を振ってもらうと、多くのアマチュアは振りづらそうにスイングにします。ヘッドスピードが40m/sぐらいだと、重くて振りづらいと口にされるゴルファーが多いです。

この違いはどこにあるのか?

察しのいい人はもうお分かりでしょう。そうです。パーシモンと今どきのドライバーの決定的な違いは重心距離。ほとんどのゴルファーは重心距離が短いクラブは振りやすく、重心距離が長いクラブは振りづらく感じる。なぜ振りづらさに違いがでるかというと、重心距離が長くなるほどフェースを返すのに大きな力が必要なってくるからなんです。特に、テークバックでフェースが開く人、トップでシャフトクロスになっている人の場合、重心距離が長くなるほど振りづらさが増してきます。

sakura

横峯さくらはテイクバックでフェースが開くタイプ

重心距離が長いほどヘッドを返すのに大きなエネルギーが必要なのは紛れもない事実です。これは物理的にも証明されており、重心距離が長くなるほどシャフト軸周りの慣性モーメントの数値が大きくなります心距離が長くなるほどヘッドを返すのに大きなエネルギーが必要だということは、ヘッドをタイミングよく返せると、ボールには大きなエネルギーをぶつけられることが推察できます。例えば、ヘッド重量が200gのドライバーの場合、重心距離が35ミリと45ミリを比較した場合、圧倒的に後者の方がインパクト時のエネルギーが増すのです(フェースをタイミング良く返せると)。

そして、重心距離が変ってくると求められるスイングも変ってきます。重心距離とスイングの関係については明日からじっくり説明していきましょう~。

(▼▼)b

PS.ロケットボールズ用のシャフト、好評発売中!! 純正シャフトよりもタイミングが取りやすく、ミート率が良くなるシャフトです~。マーク金井ももちろん装着して使っています~。

アナライズW65。手元がしなるスイングが良くなるシャフト


2013年05月18日アマゾンの電子書籍ベストセラーの1位と2位になって分かったこと

5月16日にAmazonのKindleから電子書籍、「ロケットボールズ完全使いこなし術」(マイナビ)を出しましたが、同じにとんでもない電子書籍が出版大手の講談社から出ました。これがこれっ!!

mornig

 

社長島耕作、ジャイアントキリング、グラゼニ‥‥などが連載されている週刊モーニングは雑誌だと1冊330円。それが電子版だと月500円で読めてしまうのです。一部読めない漫画もあったりしますが、この値段の安さは素晴らしい!! ビバ、電子書籍!!!講談社は電子書籍に対して積極的なアプローチをしていますが、これには同業他社も驚かされたはずです。対応機種はiPhoneやiPadなどのiOS端末になりますが、電子書籍大好き人間のマーク金井は、来週からiPadで週刊モーニングを読むことになるでしょう。

Dモーニングについて詳しく書いてます!

Dモーニングについて詳しく書いてます!

http://www.excite.co.jp/News/reviewapp/20130517/E1368721383037.html?_p=1
さて、さきほどAmazonのKindleベストセラーランキング見ましたら、「ロケットボールズ完全使いこなし術」が2位になっておりました。これはひとえに皆さんのおかげです。これから1位を目指したいと思いますが、実は、最初に出した「一生役立つゴルフ練習法」の第1巻は8週刊ほどスポーツ部門で1位に輝きました。なので、今回はキンドルKindleベストセラーでランクインしてどんなことがわかったのか、まとめてみました。参考まで。

1 紙の本ほど儲かりません

部数もさることながら定価が500mlのペットボトルぐらいなので、著者印税もたかが知れています。電子書籍で印税生活を送るためにはホリエモンの本とか、村上春樹の小説ぐらい売れてくれないと無理です(笑)
2 ゴルファーのデジタルリテラシーが高くない

知り合いのゴルファーから「どうやったら電子書籍が買えるの?」何人にものゴルファーに聞かれました。iPhoneやiPad、アンドロイドスマホを持っている人でさえ、キンドルのアプリが入っていない人の方が予想外に多く、そしてAmazonのID、iTuneのIDを持っていない人の多さにも驚かされました。都内以外のエリアでは、iPhoneやスマホを所有している人の数がガクンと少なくなる(都内の半分以下)ことも確認できました。
3 なぜかレビューが少ない

他のジャンルに比べると、ゴルフ関連の電子書籍にはレビューが少ないです。特にマーク金井の電子書籍は売れ行きランキングが上位にあるにも関わらず、レビューが極端に少ない。サイレントマジョリティが多いです。著者としては苦言、悪口でもいいから、もう少しレビューが欲しいところです(笑)

4 取材の打診は増えてません

マーク金井はすでに紙媒体に出まくっていることもあるんでしょうが、電子書籍を出す前も出した後も、取材の打診数はまったく変わっていません。紙媒体の編集部の人達は忙しくて電子書籍を読む暇がないのかもしれません。インタビュー依頼も講演依頼も今のところ‥‥です(笑)
5 Amazonで本がどれぐらい売れているかが分かった

2位と1位はたったひとつしか順位が違いませんが、実は1位にならなきゃ分からないことがあります。1位になると、Amazonで本がどれぐらい売れているかが実数で分かります。契約上、具体的な数字を申し上げられませんが、電子書籍で1位になるための部数が分かったことは大収穫。ちなみに、「一生役立つゴルフ練習法」は紙の本を含めても瞬間的にトップ3に入ったことがあります。このおかげで紙の本でもAmazonでベストセラーの売れ行きが具体的に知ることができました。スポーツ部門というマイナーなジャンルとはいえ、Amazonの販売力を具体的に知り得たことは、なによりもの大収穫です。
電子書籍はまだまだこれからのマーケットですが、ゴルファーに電子書籍を普及させるにはコンテンツを充実させるのと同じぐらい、デジタルリテラシーを上げていくことが必要不可欠でしょう。

フィルムカメラがデジカメに変わったように‥‥
紙の書籍も電子書籍にガラッと変わるのか否か?
過去の歴史を振り返れば、自ずと結果は明らかになるでしょう~。
んじゃ(▼▼)b


2013年05月17日電子書籍にして成功する本としない本の違いとは‥‥

週刊ゴルフダイジェスト月刊ゴルフダイジェスト週刊パーゴルフアルバゴルフトゥディゴルフクラシックゴルフスタイルビジョン72チョイス、そしてイーブン‥‥

あらゆるスポーツ(娯楽)の中でも、これだけ雑誌が発刊されているのはゴルフだけでしょう~。雑誌だけではなく書籍も多々発刊されています。その一方で電子書籍となるとどうでしょう。ゴルフ雑誌やゴルフ関連の書籍の多さに比べると、電子書籍におけるゴルフ関連の発刊点数は決して多いとは言えません。ゴルフ出版業界では、電子書籍は未だに未知なるマーケット、マネタイズド(商売)しづらいマーケットとして考えられているようです。

そんな風潮の中、マーク金井は昨日、キンドルストアから

「ロケットボールズ完全使いこなし術」(マイナビ)を出しました。これで電子書籍はマイナビから9冊、他社の電子書籍を含めると13冊目の発刊。ちゃんと調べたわけではありませんが、恐らく発刊点数はゴルフ業界で一番多いかもです。新しいモノ、未知なるモノが大好きな人間ならではのなせるワザですが、発行点数が多いのにはもうひとつ理由があります。それはマーク金井がニッチな人間だからです。

電子書籍の可能性はいくつもありますが、紙の媒体にない魅力はマイクロコンテンツが作れること。紙の本だと印刷と流通とかあるので、損益分岐点が5000部以上とか1万部以上とかになります。逆に言うと、1000人ぐらいしか販売が見込めないニッチなコンテンツは出したくても出せないという、大人の事情があります。しかし電子書籍ならば1000人ぐらいでも損益分岐点をちゃんとクリアできます。結果、マニアックな内容な本、ニッチな内容な本を出しやすい。もちろん著者にもメリットがあって、ピンポイントで伝えたいことをキチッと書ける。専門性が高い著作物を作りやすくなるのです。
察しのいい人ならば、もうボクの言いたいことはおわかりでしょう。そうです。紙の本でやっていることを電子書籍にしても、マネタイズドが非常に難しいと思います。現時点では(2013年5月16日)、電子書籍は紙の本に比べると入手は簡単ではありません。デジタルリテラシーが高い人ならばアマゾンでポチッとすればすぐ入手できますが、そうじゃない人は「アマゾンってクレジットカード番号入れるから怖い」っていう人が少なくありません。それ以前に、パソコンもスマホも電子書籍リーダーも持っていない人も結構います。電子書籍はネットのリテラシーが高く、かつネットの環境がちゃんと整っていないと、紙の本よりも入手困難なんです。対して、紙の本はコンビニでも書店でも手軽に入手できます。
加えて、紙の本、とくに雑誌はかなり完成度が高い。サイズが大きい、分厚くて重たいという点を除けば(特に月刊ゴルフダイジェストは分厚くて重い)、
読みやすくて写真も綺麗。レイアウトも凝っています。紙の本と同じことを電子書籍がやっても、現時点では勝ち目はほとんどありません。かつてGDOアメリカのゴルフダイジェストと提携して電子書籍を出しましたが、紙とまったく同じレイアウトで作ったために‥‥タブレットやスマホでは画面が小さ過ぎて読みづらくしょうがありませんでした。恐らく、この電子書籍を作った担当社も同じことを考えていたはずです。かつてとわざわざ書いたのは、鳴り物入りで始めた米国ゴルフダイジェストの日本語版は、発刊後半年で、かなりの規模縮小がなされたからです。
電子書籍も紙媒体も文字と写真によって構成されていますが、実はまったく違うモノだと考えるのが、現在では妥当でしょう。WEBコンサルティングの第一人者の永江一石さんも3月25日のブログで「電子書籍をしっかり考えるポイントはなにか」の中で

http://www.landerblue.co.jp/blog/?p=6114
電子書籍は紙の世界とは全く違うものだと思えばいいんだね

と永江氏の友人が締めくくってます。まったくその通りで、紙で読めないコンテンツを提供することが今の所、電子書籍に求められることだと思います。ちなみに、マーク金井は電子書籍を出すためにニッチ好きなったのではなくて、元々がニッチ好きだったから電子書籍と相性が良かったのでしょう(笑)
紙媒体でも電子書籍での活路はいくらでもあります。そのひとつはコンテンツの切り売り。例えば、週刊ゴルフダイジェストの連載企画「ギアプロファイリング」。500回をはるかにこえる長寿連載ですが、クラブの紹介はもとより、ヘッド重量とか重心距離とかの計測データがちゃんと記載されています。これを100本ごととかにして一冊にまとめれば、ゴルフクラブおたく、中古クラブ愛好家、ゴルフショップのスタッフ、ゴルフクラブメーカーの人には垂涎のコンテンツになります。電子書籍で1冊で100本紹介されていれば500円でも高くありません。クラブの記事が1本5円ならばコンビニで記事をコピーするよりも安い値段なんですから‥‥

ゴルフダイジェストのスタッフがこのブログを読んでいるならば、今日にでもギアプロファイリングの電子書籍化を早急に進めて下さい~。マーク金井は必ず発売日に買わせていただきます~。

(▼▼)b

PS.キンドルストアから「ロケットボールズ完全使いこなし術」(マイナビ)、只今、スポーツ部門で2位にランクイン。143円でロケットボールズの性能をフルに引き出しましょう~。

PS.出し入れするだけで画面が綺麗になるiPhoneケース。エルク革で手触りもすこぶる心地良いです。マーク金井のお気に入りは黒です~。

 


2013年05月16日シャフトの調子と硬さの微妙な関係について考察してみた‥‥

今日もシャフトの硬さについてです。

振動数計

シャフトの硬さの指標の一つ、振動数を測る振動数計

アナライズではウッド用、ユーリティ用、アイアン用のオリジナルシャフトを作っていますが、硬さ表記にRとかSを用いていません。このブログで書いてきたように、クラブメーカーの多くは、RとかSというが独自規格で設定。絶対値ではなく相対値としてのまかり通るようになったからです。アナライズの場合、硬さについては普通がノーマル、硬い方が+(プラス)というジャンル分けをしています。RとかSとかの表記に慣れた人にはちょっと分かりづらいですが、ユーザーに勘違いしてほしくないので、こんな風に表記しました。普通の硬さでいいならノーマル、ちょっと硬めを使いたいならば+をお勧めしています。

さて、今日のテーマは調子(キックポイント)と硬さの関係についてです。クラブメーカ-の純正シャフト、シャフトメーカーが売り出すアフターマーケット用のシャフトとも、シャフトには必ずといっていいほど調子(キックポイント)が表記されています。調子(キックポイント)は4つにジャンル分けされ、

 

手元調子‥‥  手元側のしなりを感じやすいシャフト
中調子‥‥‥  中間部分のしなりを感じやすいシャフト
先調子‥‥‥  先端側のしなりを感じやすいシャフト
ダブルキック  手元と先端の2ヶ所のしなりを感じやすいシャフト
という風になっています。要するに、スイングした時にどこがしなりやすいかで調子(キックポイント)が決まるわけです。ちなみに、硬さ同様、調子(キックポイント)もゴルフ業界での統一基準は特にありません。メーカーが「これは中調子」と決めれば、それがカタログ表記されています。なので、マーク金井はシャフトを試打する時、実際にスイングした時、メーカー表記を鵜呑みにしないで、「どこがしなりやすいのか」にこだわって試打しています。そして、同時に硬さの違いについてチェックします。

シャフトは振動数が同じでも調子(キックポイント)が異なると、ゴルファーが感じる硬さが変ってくるからです。例えば、手元調子と先調子を同じ振動数でシャフトを設計した場合、ほとんどのゴルファーは手元調子の方が硬く感じ、先調子の方が軟らかく感じます。何故かと言うと、手元調子の場合、先調子のシャフトよりもシャフトの中間部分、先端部分が硬く仕上がっているからです。
例えば、一昨日のブログで紹介したヨネックスのレクシスNPシリーズ。このシャフトは同じ重量帯で先調子(L)、中調子(M)、手元先調子(H)の3種類がラインアップされています。この3本の振動数を調べてみると‥‥
L(先調子)   256cpm
M(中調子)   255cpm
H(手元調子)  259cpm

ヨネックスのレクシスL65(先調子)M65(中調子)H65(手元調子)とキックポイント別に販売されている

ヨネックスのレクシスL65(先調子)M65(中調子)H65(手元調子)とキックポイント別に販売されている

振動数に大きな差はありません。3本ともほぼ同じです。ところが実際に打ち比べると、手元調子のHが一番硬く、2番目は中調子のM、そして一番軟らかいのが先調子のLです。振動数だけでシャフトのフレックス(硬さ)を管理しようとすると、硬さを同じ感じに仕上げることは出来ないのです。ちなみに、マーク金井が提案する硬さ係数(振動数×センターフレックス値)でこの3本のシャフトを調べると‥‥

 

L(先調子)  256cpm×3.89=  996
M(中調子)  255cpm×4.18= 1070
H(手元調子) 259cpm×4.69= 1214

明らかに手元調子の方が数値が高く、先調子の方が数値が低く出ます。この硬さ係数と、実際にスイングした時に感じる硬さは近いものがあります。そして、この捕まり係数の違いから分かること、調子を変えて設計する場合、意図的に手元調子は振動数を少し落とす必要があります。ここからは推察ですが、同じシャフトで調子を変える場合、手元調子は先調子よりも10cpmぐらい振動数を下げることで、硬さが同じぐらいになってくると思われます。

例えば、前述した手元調子のHの振動数を246cpmに下げて設計してみると(先調子のLよりも振動数を10下げて設計)

H(手元調子) 246cpm×4.69=1153
という数値になります。L(先調子)の数値までは下がりませんが、それでも
振動数を下げたことで硬さ係数はかなり下がります。そして付け加えるならば、
振動数を下げると、それに連動してCF値(センターフレックス値)も少し下がってきます。なので、最終的にはH(手元調子)とL(先調子)の硬さ係数はかなり近い感じになってくるでしょう。
振動数は客観的に硬さを調べることができますが、調子が硬さに及ぼす影響までは計測できません。つかまり係数についてはまだまだ研究の余地がありますが、振動数では分かりづらい「本当の硬さ」をチェックできるような気がしてます~。
んじゃ(▼▼)b
PS.アナライズオリジナルシャフトは振動数が低めですが、振るとしっかりした感じになるのは、シャフト中間部分を意図的に硬めに仕上げてあるからです。手元がしなるシャフトにこだわるのは、手元がしなった方がスイングが良くなるからです~。