マーク金井blog

2013年05月29日全米シニアで優勝した井戸木プロは本当にノーコックなのか?

日本人は米ツアーで通用しない‥‥なんてことを井戸木鴻樹がものの見事に吹き飛ばしてくれました。チャンピオンズツアーの今季メジャー初戦、全米プロシニアで彼はとんでもない快挙を成し遂げました。通算5アンダーの5位タイで最終日を迎え、前半に4つのバーディを奪い優勝争いに加わると、後半にも2つのバーディを奪い、通算11アンダーで逆転優勝しました~!!

全米プロシニアの優勝トロフィと井戸木鴻樹プロ

全米プロシニアの優勝トロフィと井戸木鴻樹プロ GDOフォトギャラリーより

日本人選手では青木功プロが同ツアーで9勝を果たしていますが、メジャー大会を制したのは今回の井戸木プロが初めて。女子では樋口久子さんが全米女子プロ選手権で勝ちましたが、男子でメジャーを制したのは井戸木プロが初めてです。

さて、この井戸木プロ。ドライバーの飛距離が出るプレーヤーではなく、フェアウェイキープ率の高さに定評があるプレーヤーです。スイングの特徴としては「ノーコック」と評されることが多く、そして「ノーコックだから曲がらない」と言われています。
確かにスイング動画を見てみると‥‥他のプロに比べるとテークバックで手首のコックがほとんど入ってません。ハーフバック位置ぐらいまでは、左腕とクラブがほぼ一直線。手首を固定しているかのようです。

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井戸木鴻樹プロのテイクバック 確かにコックがあまり入っていない

しかし、手首をまったくコックしていないかというとそんなこともないと思います。GDOのスイング動画でチェックしてみると‥‥トップ付近では左腕とクラブとの間にはちゃんと角度が付いています。テークバック前半ではノーコックですが、テークバック後半では手首をコックしているのが確認できます。と言うか、本当にノーコックな状態を保ったままではトップまでクラブは上がってくれません。アマチュアの人がノーコックを真に受けて実践してしまうと、井戸木プロとは似ても似つかないスイングに陥ってしまいます。

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井戸木鴻樹プロ切り返しの瞬間

そして、トップからダウンの切り返しでは手首のコックがさらに深くなっているのが確認できます。これはプロに共通している動きなのですが、テークバックの軌道よりもダウンの軌道の方がヘッドが下がっています井戸木プロの場合もそうで、テークバックの軌道よりもダウンの軌道の方がヘッドが描く円弧は小さくなっています。これはひとてに手首をコックしているからに他なりません。対して、アマチュアの多くはテークバックよりもダウンの方がヘッドが描く円弧が大きい。ダウンの開始とともに手首のコックがほどけ、ヘッドが上に飛び出してしまうからです。
手首を使う意識がないことと、本当に手首をまったく使わないこととはまったく違います。似て非なるものです。そして、手首を使わない方が曲がらないというのも、必ずしも当てはまりません。特にアマチュアのスイングを観察していると、手首を固定してもスイング軌道が不安定な人が多いからです。
井戸木プロのスイングから学ぶならば、彼のテークバックの軌道とダウンスイングの軌道をじっくりと見て下さい。テークバックでヘッドが描く円弧とダウンスイングでヘッドが描く円弧の大きさの違いをじっくりと見て下さい。トップからダウンの切り返しでは手首のコックが保たれて、ヘッドがほんの一瞬下がり(タメが深くなり)、それからダウンスイングが始まっているのが確認できるはずです。
手首をどれぐらい使うのかは個人差がありますが、井戸木プロも手首のコックを上手く利用してスイングしています。テークバックで手首のコックが入るタイミングが他のツアープロよりも遅いですが、決してノーコックで打っているわけではないのです。ノーコックに限りませんが、ゴルフにはアマチュアゴルファーを勘違いさせてしまうレッスン用語が少なからずあるんです。
そして、スイングの話に戻せば井戸木プロのようにテークバック前半で手首のコックが入らないスイングといのはかなりパワーが求められるスイングなんです。その理由については明日じっくり説明しましょう~。
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PS.ボールをたくさん打ってもスイングは変わりません。ボールの行方や自分のフィーリングが邪魔をするからです。悪い癖を直したい、本気で正しいスイングを会得したいと思うならば‥‥身体の動きをチェックしやすい方法で練習しましょう。マーク金井はゴルフの竪琴を使っているのは、これが一番身体の動き、そして正しいハンドアクションを会得できるからです~。

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