ゴルフ業界にはなぜ「定番商品」がないのか、なんて話をマーク金井がよくしている。私もなぜなんだろうな? と考えてみた。
定番商品。他の分野の定番モノを思い浮かべてみると、変わらないモノ、完成したモノという感じがする。使う側にしても「変わらないモノ」であることこそが愛すべき理由になっているといえるだろう。
では、ゴルフクラブの場合はどうか?
常に「進化」がアピールされ、買う側も常に「進化」を求めているように見える。ゴルフ道具はいつだって「変わるべきモノ」「改善の余地があるモノ」である。つまり、未だ完成していない道具といえる。
完成したモノ=定番なのか?
ここでまた一つ疑問が湧いた。長く多くの人に愛されている商品とは、多くの人にとって何もせずに、すぐに使える商品のことではないのではないか。もちろん道具としての基礎点は高いが、どこか「中庸(ニュートラル)」でカスタマイズする余地がある。使い手がひと手間加えることで、その人なりの完成品となっていく。そんな「あそび」がある道具が「定番」として残っているのではないかと。見方を変えれば、「定番」は誰にとっても微妙に足りない未完成なモノなのではないだろうか。
選択肢がどれほど広がっても、必ず微調整して使うのが「道具」の当たり前である。おそらく今のゴルファーはみんな、そこそこ良い道具を持っている。足りていないのは自分に合わせて調整すること、どんな名品を手にしても何らかの調整はすべきなのだという心構え。楽器の調律といえばイメージが湧くだろうか?
定番とは、完璧ではなくニュートラル。そんな気がする。
(書き手/高梨祥明)
アナライズ MMアイアン、MM ウェッジは、まさにモデルチェンジが要らない「定番」アイテムを目指して基礎開発をしていますが、同時にライ・ロフト調整など使い手に合わせて調整できる「幅」を強く意識した製品でもあります。買って終わりではなく、使いながら調整を加え、自分だけの完成品に育てていく。そんな道具の楽しさもぜひ味わってみてください。