マーク金井blog

2013年06月02日3パットを減らせるパターって本当にあるのか?

昨日フェースブックにもアップしましたが、マーク金井が開発に携わっていたパターがついに完成!!。金型を何度も作り直し、1年以上かけて作り上げたパターが‥‥

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これです。ヘッドはマレット型とT字型を足して2で割ったような形状。センターシャフトでほぼフェースバランスという風に作ってあります。見た目はそれほど奇抜ではありませんが、じっくり見ていくとかなり普通じゃありません。いわゆるパターの常識をことごとく覆すような作りになっているんですが、それにはちゃんとした理由があります。
設計段階でまずテーマに上げたのが‥‥
3パットを減らしてパットシングルになること。中井学プロが「パットシングル」というレッスン本を書かれてますが、まさにパットがシングルの腕前になればそれだけでスコアは確実に良くなります。全米シニアで優勝した井戸木鴻プロを引き合いに出すまでもありませんが、ドライバーが飛ばなくてもパットが入ればスコアはグングン良くなるのです。
では、どんなパターを作れば3パットを減らせるのか?

3パットを減らすには、2つの方法があります。
ひとつはロングパットが0Kの距離に寄せられるパターを作ること。距離感がぴったり合えば3パットを確実に減らせます。もうひとつは2メートル以内のショートパットがワンパットで沈められるパターを作ること。ロングパットを少々失敗しても‥‥2メートルが入ってくれれば3パットを確実に減らせます。
マーク金井が選んだのは後者です。とにかくショートパットが入りやすいパターを作ることを設計の基本コンセプトとして開発に着手しました。2メートルが入ってくれれば、ロングパットを打つ時に「寄せなくては」というプレッシャーがかかりません。加えて、ショートパットが入りやすいパターならば、寄せワンの確率も上げることができるからです。
では、どんなパターを作ればショートパットが得意になるのか?
そのヒントはパットの名手の打ち方にあります。5月26日のブログでも書きましたが、宮里藍プロをはじめ、パットが上手い人はインパクトで若干ハンドファーストになっています。ほんのわずかにグリップがシャフトを先行してボールを捕らえています。対して、アマチュアでパットが下手な人の80%以上はハンドファーストとは逆で、逆ハンドファーストの状態でボールをヒットしています。いわゆる手首をこねた感じでボールをヒットしているので、転がりが悪く、ショートパットで左に引っかけることが多いのです。言い換えると、アマチュアがショートパットを打つのに必要なのは‥‥
ハンドファーストに打ちたくなるパターです。
ハンドファーストに打つためにはハンドファーストに構えることが必要不可欠ですが、それをパターが促進することは可能です。具体的に言うと、シャフトの装着角度を変えてやればいい。市販パターの多くは、シャフトが右から入っています。このため、ヘッドをポンと地面に置くとシャフトは右に傾きます(自分から見て)。このままアドレスすると逆ハンドファーストの形になります。対して、シャフトを左から装着した場合、ヘッドをポンと置くとシャフトは左に傾きます(自分から見て)。このままアドレスするとハンドファーストの形になるんです。

 

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たかがシャフトの装着角度と思うかも知れませんが、実は、たかがシャフトの装着角度で構え型はガラッと変わるのです。もちろん、シャフトを左から挿すとデメリットもあって、アドレスするとフェースが左を向いた感じになって、プロや上級者は「引っかかる」イメージで嫌います。ドライバーに例えるならば、シャフトを左から挿したパターは「フックフェース」のようなもの。プロや上級者はこれを非常に嫌い、その結果、市販パターの多くはシャフトを地面と垂直、もしくはシャフトをわざと右から挿すようにしています。

シャフトを右から挿すと、ドライバーの「オープンフェース」のような感じになって、引っかけづらいイメージが出るからです。要するに、市販パターの多くはパットが下手なアマチュアの為に作ることよりも、パットが上手いプロや上級者が構えやすいように作られているわけです。そして、シャフトが右から挿してあるパターはハンドファーストに構えづらく、ハンドファーストに打ちづらくなっています
対してシャフトを左から挿すと、逆ハンドファーストに構えるとフェースはとんでもなく左を向きます。結果、フェースを真っ直ぐ向けようと構えれば自然にハンドファーストの形になる。加えて、逆ハンドファーストでインパクトを迎えてしまうと‥‥これまたフェースが極端に左を向くため、左に引っかかる。引っかけないで打とうと心がけるので、自然にハンドファーストの形でインパクトを迎えることができるのです。
もちろん、ただシャフトを左から装着しただけでは「ショートパットが入りやすい」パターとして完成に至りません。ショートパットでカップインの確率を上げるためには、他にも色々なアイデアが必要です。それについては次回じっくり説明しましょう。

 

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PSその1.ナチュラルハンドファーストパターは7月上旬発売予定です。今週水曜日ぐらいから予約受付を開始します~。

PSその2.ボールをたくさん打ってもスイングは変わりません。ボールの行方や自分のフィーリングが邪魔をするからです。悪い癖を直したい、本気で正しいスイングを会得したいと思うならば‥‥身体の動きをチェックしやすい方法で練習しましょう。マーク金井ゴルフの竪琴を使っているのは、これが一番身体の動き、そして正しいハンドアクションを会得できるからです~。


2013年06月01日ゴルフクラブはデジカメと同じ道を歩むのか?

二ヶ月ほど前から、週刊ゴルフダイジェストで「新・買わずに入られない」という連載を始めています。ゴルフ雑誌ですがゴルフクラブを買った話は今のところ一度もありません。デジカメやスイング分析アプリ、ポータブル弾道計測器を衝動買いしたことをコラム的に書いています。ネタがなくなってくればゴルフクラブも登場させるかも知れませんが、目下のところはライバルは週刊アスキー。ゴルファーの視点でデジ物をあれこれ取り上げていきます。

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そんなデジ物大好き人間なマーク金井ですが、今、衝動買いしまくっているのがデジカメ~。
コンデジ(コンパクトデジタル)のちょっと高機能バージョンに嵌りまくり、キャノンG15を所有しているにもかかわらず、ライバル商品のニコンP7700ペンタックスのMX-1を今にも買いそうな勢いでカタログで性能比較しています。そしてカタログを見ればみるほど‥‥デジカメとゴルフクラブには類似点が多いことも分かってきました。

ピンのドライバー同様、表面はマットブラック仕上げ~。

ピンのドライバー同様、表面はマットブラック仕上げ~。

コンデジとゴルフクラブ‥‥
まったく用途が違う商品ですが対象ユーザーは似ています。どちらも道具(ギア)が好きなオジサンが買います。そしてスペック(性能)にうるさい人が買います。だからでしょう。謳い文句はスペックのオンパレード。ゴルフクラブと比較してみると‥‥
コンデジ    光学4倍ズーム
開放F値1.8
有効約1200万画素
秒間10コマの連写

ゴルフクラブ  弾道調整機能 168通り
0.4mmの極薄クラウン
慣性モーメント10%アップ
70トンの高弾性シート採用
デジカメもゴルフクラブも数字を出すことで高機能をアピールしています。形容詞を羅列するよりも、具体的な数字を出した方がユーザーに分かりやすいし性能訴求もしやすいからです。ユーザー側も物理的な優位性、数値的な優位性を求める傾向があることも、数値競争に拍車をかけていると思います。
では、数値が良ければ本当に高性能なんでしょうか?
デジカメについてはこれから数値と実際の性能について吟味していきますが、ことゴルフクラブにおいては、数値競争がそろそろ限界に近づいている気がします。数値に優位性があるクラブが必ずしもゴルファーにとって扱いやすい道具(クラブ)になるとは限らないからです。例えば、慣性モーメント。慣性モーメントが大きいヘッドはミスに強いと言われています。確かにそうで、例えば慣性モーメントが3000gcm2のドライバーと4500gcm2のドライバーを比較すると、後者の方がミスに強い特性があります。慣性モーメントの数値が高くなるほど、ミスヒットした時にヘッドがブレにくく(エネルギーロスが少なく)、飛距離と方向性が安定します。
ただし、これはある程度正しいスイングをしているという前提によって成り立っています。慣性モーメントが大きなヘッドは総じて重心距離が長くて、重心深度(重心の深さ)が深くなっています。結果、重心位置はシャフトの軸線よりも遠ざかります。このため、スイングが不安定なゴルファーが慣性モーメントが大きいヘッドでスイングをすると‥‥重心をコントロールしづらくなったり、フェースの向きをコントロールしづらくなるのです。
例えばテークバックでフェースを開いてしまう人や、トップでシャフトクロスする人の場合、慣性モーメントが大きいドライバー(重心距離が長くて深いドライバー)はスイングとの相性が良くありません。スイング中にヘッドの重心位置を大きく動かしてしまうために、ヘッドの挙動が不安定になります。結果、やさしいはずのドライバーの方が芯で捕える確率が下がってしまう恐れがあるのです。先日、アマチュア120人分のスイング動画を分析しましたが、シャフトクロスになっている人の場合、慣性モーメントが大きいヘッドを使っている人ほど、ヘッドの挙動が不安定になってスライス、プッシュアウト、そして引っかけを打っていました。誤解を恐れずに言えば、シャフトクロスになっている人の場合、慣性モーメントが大きいヘッドを使うと、メリットと同じぐらいデメリットが発生するリスクが高まるのです。
デジカメならばシャッターを押しさえすえば、カメラが持っている性能をかなり引き出せるでしょう。しかしゴルフクラブはそうは問屋が卸してくれません。ゴルファーがちゃんとしたスイングをしないとクラブの性能を引き出すのが極めて難しいのです。
今どきのやさしいクラブの性能を引き出すためには、クラブが求めるスイングをゴルファーがやることが必要不可欠です。ちょっと矛盾しているかも知れませんが、ゴルフの場合、道具(クラブ)がやさしくなればなるほど、技術が求められると言ってもいいでしょう。特にドライバーの場合は、この傾向が顕著になってきました。言い換えると、スイングが不完全なアマチュアが打ちやすいクラブ(特にドライバー)というのは、市場(ゴルフショップ)にはあまり出回っていないとも言えます。
テーラメイドキャロウェイのように飛距離をアピールするのもそろそろ限界が近づいてきました。慣性モーメントの数値もほぼ限界まで大きくなってきましたし、ヘッドを肉薄にすることやシャフトの弾性率を上げることもそろそろ限界に近づいています。

 

ゴルフクラブはこれからどんな方向に進化していくのか? その答えは3ヶ月後ぐらいから徐々に明らかになってくるでしょう。
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ブログで取り上げていたので、ゴルフの竪琴が売れています! クラブの性能を引き出すスイングをするために、ゴルフの竪琴で自宅練習しましょう


2013年05月31日全米シニア覇者、井戸木鴻樹から学ぶダウンスイングの極意!!

初めての米ツアー参戦、初めてのメジャー参戦でいきなり全米シニア選手権を制した井戸木鴻樹。ドライバーの飛距離が出るプレーヤーではなく、フェアウェイキープ率の高さに定評があるプレーヤーです。スイングの特徴としてはテークバックが「ノーコック」と評されることが多く、そして「ノーコックだから曲がらない」と言われています。
しかし昨日のブログでも書きましたが、井戸木も手首のコックはちゃんと使っています。他のプレーヤーよりも手首のコックが入るタイミングが遅い、そして手首をコックする度合い(手首を曲げる度合い)が少ないですが、それでもトップでは左手とクラブの間にはちゃんと角度がついています。と言うか、手首のコックが入らないと‥‥クラブヘッドは‥‥時計の文字盤で言うところの12時を越えたポジションには収まりません。
トップをご覧になっていただければ分かりますが、井戸木プロもトップでクラブヘッドは‥‥ちゃんと2時ぐらいの位置に収まっています。
さて、この井戸木プロのスイング。
トップがコンパクトなので方向性重視のスイングに見えますが、実は、飛ばしの要素もちゃんとあります。それはトップからダウンの切り返しでのヘッドが描く軌道。テークバックでヘッドが描く円弧とダウンスイングでヘッドが描く円弧の大きさの違いをじっくりと見て下さい。トップからダウンの切り返しでは手首のコックが保たれて、ヘッドがほんの一瞬下がり(タメが深くなり)、それからダウンスイングが始まっているのが確認できるはずです。

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トップから切り返しからで手首の角度が更についてるのがわかる

こんな感じでテークバックよりもダウンスイングの方がヘッドが下にあります。ダウンの方が回転半径が小さくなっています。

対して、アマチュアの場合、このヘッドが描く軌道が逆になっています。先週末、千葉県の藤ヶ谷CCにてアマチュア120人のスイングを動画に収めましたが、90%以上の人が切り返しで手首のコックがほどけてしまっています。いわゆるタメが早くほどけたダウンスイングになっていました。

こんな感じでテークバックよりもダウンスイングの方がヘッドが上にあります。ダウンの方が回転半径が大きくなってしまっています。手首のコックが早くほどけてしまうため、シャフトのしなりも上手く使うことができません。コックが早くほどけてしまうと、どんな高価なシャフトを使っても、その性能を引き出しづらくなるのです。井戸木プロはクレージーロイヤルデコレーションを使っていますが、ダウンの回転半径が小さいからシャフトのしなりを上手く使って、正確なドライバーショットを放っているのです。
では、どうすればダウンの回転半径を小さくできるのか?
今週発売の週刊ゴルフダイジェストのフジタの時間で、芹沢信雄プロがこんなアドバイスをしています。

下半身から切り返した時にクラブが真下にストンと落ちる。そんな感じですネ。この無重力感が、飛ばしの素です(週刊GD、6月11日号から引用)
トップで上体が力んだり、手に力が入ってしまうとヘッドはポン上がります。対して、トップの形をキープしたまま、手首のコックをキープしたまま下半身からダウンを開始したら(ほんの一瞬、重心が下がったら)、トップからダウンの切り返しでヘッド上がりません。ダウンの回転半径は小さくなります。

マーク金井は理に叶ったスイングのことを「自転車に乗れている」と例えますが、ダウンでヘッドが描く回転半径が小さいスイングこそが「自転車に乗れたスイング」、ダウンでヘッドが描く回転半径が大きいスイングは「自転車に乗れていなスイング」なのです。
ダウンの回転半径を小さくするための練習法として、マーク金井がよくやっているのはスローモーションドリル。通常のダウンスイングはコンマ5秒ぐらいですが、マーク金井は2秒ぐらいかけてダウンスイングしています。
ダウンの回転半径を小さくするこは決してやさしい動作ではありません。しかし、これがちゃんとできないと‥‥いつまで経っても自転車に乗ることはできないのです。
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PS.自転車に乗れるスイング作りに役立つのがゴルフの竪琴。この竪琴は通常のクラブよりも重いので、クラブの重さを感じながら素振りできます。今回のテーマであるダウンの回転半径を小さくする感覚を養えます~。


2013年05月30日アマチュアがノーコックを意識することの弊害とは‥‥

始めての米ツアー参戦、初めてのメジャー参戦でいきなり全米シニア選手権を制した井戸木鴻樹。ドライバーの飛距離が出るプレーヤーではなく、フェアウェイキープ率の高さに定評があるプレーヤーです。スイングの特徴としてはテークバックが「ノーコック」と評されることが多く、そして「ノーコックだから曲がらない」と言われています。

実際、他のプレーヤーに比べるとテークバック前半部分では

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こんな感じで手首のコックがほとんど入ってません。左腕とクラブがほぼ一直線。手首がコックされるのはテークバックのかなり後半に入ってからです。

では、アマチュアも井戸木プロのようにテークバック前半で手首のコックを入れない方がショットの方向性が安定するのか。井戸木プロのようにフェアウェイキープ率が上がるのか?
答えは残念ながらノーです。大抵のアマチュアはテークバックでノーコックを意識するほどトップの形が崩れてしまう危険性があります。何故かと言うと、テークバックでノーコックを意識すればするほど、クラブを重く使うことになって、ものすごくパワーが求められるからです。例えば、300gのドライバーでもノーコックで上げようとすると重さは300gをはるかに超えてきます。対して、手首をコックしてシャフトを立てて上げると、300gのドライバーは300g以下になるのです。テークバック中に感じる重さについては‥‥

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ノーコックと手首をコックしたテークバックの静止した形を作れば、違いをすぐに体感できます。ノーコックで左腕とシャフトが一直線になっていれば、クラブヘッドはかなり体から遠くになり、ヘッドの重さがズシンと体に伝わります。これで30秒も我慢できる人はそういないでしょう。対して、シャフトを地面と垂直ぐらいに立ててしまうと、重さはそれほど感じません。30秒ぐらいはキープできるはずです。手首をコックした方がヘッドを支えるのに大きな力が必要ないからです。

 

そして、ここからがポイントですがノーコックのままだと重さに耐えきれなくて、トップ付近ではヒョイと担ぎ上げる形になりやすいのです。

 

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こんな感じで、右ひじだけでなく左ひじも曲がり‥‥結局は弱々しいトップになったり、オーバースイングに陥る危険性が高くなるのです。井戸木プロはこんなひ弱なトップになっていませんが、そうならないのは並外れたパワーを持っていること、体幹の力を上手く使うことができるからでしょう。普通のアマチュアが、ノーコックからだと井戸木プロのようなトップを作るのは至難のワザなんです。

 

ノーコックを意識したテークバックは体にやさしくありません。

 

意外と思うかも知れませんが、テークバック前半で正しくコックをした方が体にやさしいし、正しいトップも作りやすくなるのです。

 

手首のコックはともすれば悪者扱いされます。手首を使うと曲がりそうなイメージを持っているアマチュアも数多くいますが、実は、手首をちゃんと使うことを覚えた方が、プレーンに沿ってクラブを上げやすくなりますし、力強いトップも作れるようになるのです。特に、トップで左ひじが曲がりやすい人や、オーバースイングになりやすい人の場合、テークバック前半で手首を正しくコックすることができれば、トップの形は飛躍的に良くなります。
手首のコックの仕方については来週ぐらいに、このブログでアップします。明日は井戸木プロのスイングから学ぶべきポイントについて書きましょう。
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PS.ゴルフの竪琴で素振りすると、両手の位置関係をチェックしやすく、そしてテークバック前半で手首を正しくコックする感じもつかめます~。


2013年05月29日全米シニアで優勝した井戸木プロは本当にノーコックなのか?

日本人は米ツアーで通用しない‥‥なんてことを井戸木鴻樹がものの見事に吹き飛ばしてくれました。チャンピオンズツアーの今季メジャー初戦、全米プロシニアで彼はとんでもない快挙を成し遂げました。通算5アンダーの5位タイで最終日を迎え、前半に4つのバーディを奪い優勝争いに加わると、後半にも2つのバーディを奪い、通算11アンダーで逆転優勝しました~!!

全米プロシニアの優勝トロフィと井戸木鴻樹プロ

全米プロシニアの優勝トロフィと井戸木鴻樹プロ GDOフォトギャラリーより

日本人選手では青木功プロが同ツアーで9勝を果たしていますが、メジャー大会を制したのは今回の井戸木プロが初めて。女子では樋口久子さんが全米女子プロ選手権で勝ちましたが、男子でメジャーを制したのは井戸木プロが初めてです。

さて、この井戸木プロ。ドライバーの飛距離が出るプレーヤーではなく、フェアウェイキープ率の高さに定評があるプレーヤーです。スイングの特徴としては「ノーコック」と評されることが多く、そして「ノーコックだから曲がらない」と言われています。
確かにスイング動画を見てみると‥‥他のプロに比べるとテークバックで手首のコックがほとんど入ってません。ハーフバック位置ぐらいまでは、左腕とクラブがほぼ一直線。手首を固定しているかのようです。

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井戸木鴻樹プロのテイクバック 確かにコックがあまり入っていない

しかし、手首をまったくコックしていないかというとそんなこともないと思います。GDOのスイング動画でチェックしてみると‥‥トップ付近では左腕とクラブとの間にはちゃんと角度が付いています。テークバック前半ではノーコックですが、テークバック後半では手首をコックしているのが確認できます。と言うか、本当にノーコックな状態を保ったままではトップまでクラブは上がってくれません。アマチュアの人がノーコックを真に受けて実践してしまうと、井戸木プロとは似ても似つかないスイングに陥ってしまいます。

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井戸木鴻樹プロ切り返しの瞬間

そして、トップからダウンの切り返しでは手首のコックがさらに深くなっているのが確認できます。これはプロに共通している動きなのですが、テークバックの軌道よりもダウンの軌道の方がヘッドが下がっています井戸木プロの場合もそうで、テークバックの軌道よりもダウンの軌道の方がヘッドが描く円弧は小さくなっています。これはひとてに手首をコックしているからに他なりません。対して、アマチュアの多くはテークバックよりもダウンの方がヘッドが描く円弧が大きい。ダウンの開始とともに手首のコックがほどけ、ヘッドが上に飛び出してしまうからです。
手首を使う意識がないことと、本当に手首をまったく使わないこととはまったく違います。似て非なるものです。そして、手首を使わない方が曲がらないというのも、必ずしも当てはまりません。特にアマチュアのスイングを観察していると、手首を固定してもスイング軌道が不安定な人が多いからです。
井戸木プロのスイングから学ぶならば、彼のテークバックの軌道とダウンスイングの軌道をじっくりと見て下さい。テークバックでヘッドが描く円弧とダウンスイングでヘッドが描く円弧の大きさの違いをじっくりと見て下さい。トップからダウンの切り返しでは手首のコックが保たれて、ヘッドがほんの一瞬下がり(タメが深くなり)、それからダウンスイングが始まっているのが確認できるはずです。
手首をどれぐらい使うのかは個人差がありますが、井戸木プロも手首のコックを上手く利用してスイングしています。テークバックで手首のコックが入るタイミングが他のツアープロよりも遅いですが、決してノーコックで打っているわけではないのです。ノーコックに限りませんが、ゴルフにはアマチュアゴルファーを勘違いさせてしまうレッスン用語が少なからずあるんです。
そして、スイングの話に戻せば井戸木プロのようにテークバック前半で手首のコックが入らないスイングといのはかなりパワーが求められるスイングなんです。その理由については明日じっくり説明しましょう~。
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PS.ボールをたくさん打ってもスイングは変わりません。ボールの行方や自分のフィーリングが邪魔をするからです。悪い癖を直したい、本気で正しいスイングを会得したいと思うならば‥‥身体の動きをチェックしやすい方法で練習しましょう。マーク金井はゴルフの竪琴を使っているのは、これが一番身体の動き、そして正しいハンドアクションを会得できるからです~。

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