マーク金井blog

2005年10月20日人間シャフト計測器 その2

前回、「シャフトの硬さ、調子を自分で調べる方法」についてカキコしましたが、今回はトルクの計測法について。

トルクって、クルマの場合は数字が多い方が「馬力あるな~」「追い越し加速いいぞ~」ってことになりますが、シャフトの場合は、この数字が大きいほどスイング中にシャフトのねじれを感じやすくなります。また、シャフトの硬さのフィーリングにも影響が出て、例えば、同じ硬さのシャフトがあった場合、トルクが少ない方が硬く感じ、トルクが多い方が軟らかく感じます。

さて、このトルク。フジクラはシャフトに数値が表記されてますし、他社もネットで調べればモデルことの数値が必ず表記されていますが‥‥ ボクの場合はこれっ!!

img20051020

やり方は簡単。
ヘッドとグリップをガッチリつかんだら、クラブをできる動かさないで両手を同時にグイッと反対方向に動かす(ぞうきんを絞るように力を使ってシャフトをねじる)

こ・れ・だ・け!!

原始的な方法ですが、これをやるとトルクの多いシャフトは「何だこりゃ~」というぐらいシャフトがねじれるのが手に伝わります。他方、グラファイトデザインのツアーAD I-65のようにトルクを絞りまくったシャフトはまったくもってシャフトがねじれません。無理にねじろうとしたら‥‥手を痛めちゃいます。

どれだけねじれたら、どれだけの数値なのかは言葉で上手く説明できませんが、毎日ようにやっていると「おおっ、これは4度ぐらいかなぁ~」なんていうのが分かってきます。まあ、そこまでいかなくても、低トルクと高トルクのシャフトを同時に2本やり比べれば、シャフトのトルクがどんなものか身体感覚として分かってくるはずです。

また、スルーボアはブラインドボアよりも先端側が硬く仕上がりますが、これをやるとスルーボアの方が硬いだけでなく、先端側がねじれにくいのも手に伝わります。

今のところ、こんな方法でシャフトをチェックしているのはボクぐらいですが(汗)、
やってみると、数値では分かりづらいシャフトの中味が皆さんも分かってくるんじゃないでしょうか‥‥ちなみに、中古クラブの場合、これをやると接着不良もチェックできまっせ~。

トルクとスイングの相性については、次回カキコします。

んじゃ。


2005年10月18日人間シャフト計測器!?

シャフトの硬さを調べる場合、一般的には

振動数計(主に手元側の硬さを調べる機械)と
センターフレックス計(シャフト中間部の硬さ、シャフトの指向性を調べられる機械)

を用いますが、ボクはアナログ人間なので自分なりの方法でもチェックします。

それがこれっ!!

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両手を少し離してクラブを握って体の正面でクラブを上に振り上げたら‥‥、ビュッっと下に振り下ろし(左手を体に引きつけ、右手を前に振り出し)、手元を急停止!!

クルマで急ブレーキをかけると、その反動で運転している人はフロントガラス方向にグイッと押し出されますよね。これと一緒で、手元を瞬間的に止めると(グリップをしっかり握っておくのがポイント)、その反動でシャフトに大きな負荷がかかり、シャフト写真のようにグニャッとしなります。ビジュアル的に分かりやすくするため、写真では練習用のグニャグニャシャフトを使ってますが、普通のシャフトでも結構しなります。慣れてくると硬さの違い、シャフトのどの部分がしなるかも分かってくるんです。この所、ディアマナについてカキコしてますが、青マナでこれをやると手元はあまりしならず、赤マナは手元側がしなってくれました。

原始的な方法ですが(人がそばにいる時や、狭い場所では危険なので絶対、絶対止めて下さい!!)、シャフトの硬さ、しなりをチェックするにはかな~り役立ってます。

ちなみに、硬さを調べる場合にこれをやるの禁物!!!

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ネック部分に強い負荷がかかるので、グイッと負荷をかけすぎると折れることも。ショップでは禁止されてますが、まだまだこれで「おおっ、軟らかいなぁ」なんてしたり顔で硬さを調べる人が少なくありません。ボクもかつてはやってましたが‥‥(汗)、今は絶対やらないようにしてます。

んじゃ。


2005年10月17日シャフトの調子について考える

硬い、軟らかい、
重い、軽い、
トルクが少ない、多い‥‥

に加えて、シャフト特性を示す要素として調子があります。一般には「先調子」「元調子」「中調子」と3種類にジャンル分けされていますが、中には「先中調子」とか「中元調子」なんかもあったりして。

さて、この調子。クラブ設計家の松尾好員さんによると、手元がしっかりしていて先端側がムチのようにしなるのが「先調子」。逆に、スイングした時に(特に切り返しで)手元側がしなりを感じやすいのが「元調子」。そして、そのどちらにも属さないのが「中調子」だそうです。実際、ボクも試打し、

IMG_0620

 

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これを目安としてシャフトの調子を表現しています。

他方、メーカーの多くはキックポイント(シャフトの最もしなる部分がチップから何パーセントの位置にあるか)で表しています(例えば、プロギアなんかは機械で上下からシャフトに圧力をかけてシャフトを縦に曲げて計測)。このため、実際に振った時のフィーリングとメーカー公称値との間にギャップがある場合が少なくありません。

例えば、三菱レーヨンの青マナなんかは機械計測では「手元調子」になりますが、実際に打つと手元側が硬いために(手元のしなりが少ないために)、「これって先調子じゃないの~」となってしまうわけです。

最後に、

ネコウッズさん、

>VスチールT/S w/ディアマナM73を使い始めてリシャフト前のS73よりも1Wのr7 w/M-65と違和感なく振れる理由は剛性分布が似ているシャフトってことになるのでしょうか
Posted by:ネコ・ウッズ

その通りっす。M-65と赤マナは似たフィーリングで、違いは、挙動はM-65の方がややシャープでややトリッキーです。

きんぞうさん、

はじめまして。
いつも読ませて頂き勉強させてもらってます。
「チャレンジ!ゴルフクラブリシャフト」も買いました。
さて、長くなりますので早速ですが、今年の5月にミズノMP-001 T/S370(10.5度)にブラックG-006(S)の挿さったドライバー(44.5寸D1)を中古で買いました。
それが、どうにも左へ引っ掛けるコトが多く、近所の工房で相談してSPD693TR(R)にリシャフトし、その際挿し方もフェースを開き気味にしてもらったら左へ行き難くなりました。
芯を喰ってキャリーで240ヤード(ややフェード系)ぐらいです。
しかし、夏にボーナスが出たのでMP-001TS+US(9.5度)に青マナ73(S)を新品で買いました(44.25寸D2)
これがけっこうスライスします…
飛距離も当然370(高反発)より5~10ヤード落ちる様な気がします。
赤マナへの交換を考えたりしておりますが、どう思われるでしょうか?
御返事を頂けたらありがたいと思います。

前回もカキコしましたが、青マナが捕まりづらいシャフト。他方、赤マナは捕まりがいいシャフト。青マナでスライスしているならば、赤マナに変えるのはグッドです。

んじゃ


2005年10月15日青マナVS赤マナ どう違うの?

クラブにしろ、シャフトにしろ、レビューを書く時にボクが一番こだわっているのが試打した時のフィーリング。

img20051015

数値通りの特性が出るモノもあれば、数値とは違った特性があるモノも少なくないからです。

例えば、シャフトに関してだったら‥‥
メーカーが「中調子」と謳っていても、実際に打ってみると「元調子」だったり「先調子」だったりすることが少なくなくありません。もちろん、ボクのフィーリングがすべてのゴルファーに当てはまるとは限りませんが、一人の人間が同じ条件でテストすれば、カタログに見えないモノが見えるんじゃないかと、信じております。その一方で、自分のコメントと後から手に入れたスペック(数値)が一致した時は、クイズに全問正解したみたいで「して、やったり」とも。

で、今回のお題である「青マナVS赤マナ」についてですが、

img20051015_1

一番の違いは手元剛性と感じてました。青マナの方が手元側が硬いので、ボク的にはこれは「先調子」っぽく感じました。それでいて、先端側が硬いので振ってみると(先の硬さを妙に感じるために)、全体調子なんて意味不明の言葉を使ったりしてました。

他方、赤マナは青マナに比べると手元と、先端側が柔らかく、中間部分が硬い仕上がり。丸山プロが使っているシャフト(グラファイトデザインMー65)に似ている感じ。違いは、こちらの方が硬さの変化が発生する部分(つなぎ目)の挙動がマイルドなので、シャフトの動きをコントロールしやすくなってます。

スペックを全く知らないで語ってましたが、昨日、ディアマナを販売している○ストリックスのN谷さんに剛性分布を書いてもらったら、

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ボクのフィーリングと剛性分布がピタッ~と合致!!!!(ヤッター)MILLさんから、すでに「合ってますよ~」と有り難いコメントをいただいてましたが、メーカーサイドからもお墨付きを頂けて一安心。フードライター的に言えば、ソムリエ試験にトップ合格したみたい。ちょっと違うか?

シャフトが戻るスピードについても、「赤マナ」の方が速いという点も、「その通りです」と。

青マナは叩いても左のミスが出づらいシャフト
赤マナはしなり戻りで球が捕まえやすいシャフト

ディアマナのリシャフトを考えている皆さん、このコメントを大いに参考にして下され。


2005年10月14日二枚目にご注意!!

今日、プロテストを受ける女子研修生がボクの試打スタジオにやってきました。永井プロのレッスンを受けるためにですが、ドライバーを見てびっくり仰天!!アドレスするとプロ、上級者好みのオープンフェース。フェースのトウ側が少し開いた感じで、男のボクから見てもかなりのイケメンなのですが、

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(イメージ写真っす)

リアルロフトを計測してみると‥‥

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(これもイメージ写真)

表示ロフトが8.5度に対して、リアルロフトはな、な、なんと~7度!!!!「なんだこりゃ~」男子プロだって、リアルロフト9度ぐらいの人が多いことを考えると完全にオーバースペック。軽自動車にF1のエンジンを積んだ、いやF1のタイヤを履いたようなみたいな。ちょっと違うか(汗;)

「ボールが全然上がらないんですよ~」
「スピンが少ないんですよ~」
「右にスッポ抜けるんですよ~」(研修生 Sさん)

彼女のヘッドスピードは40m/s前後。にも関わらずタイガー・ウッズなみの超ストロングロフトを使えば、上のような症状が出て当たり前。にも関わらず、本人は自分のスイングが悪いと思っているわけです。

では、なぜ彼女のドライバーは絶壁だったのか?

一般にスクエアフェースに見える場合、大抵フェース角は1~2度オープンになっているんです。右打ちの場合、右後方からフェースを見るため(特に右利き目の場合)、スクエアフェースだとフェースが少し被って見える。フェースが少し開いているぐらいで「おおっスクエア、いい顔してるなぁ」となるんです。逆に、少し右を向いている感じの場合、2度以上オープンフェースになっていると思って間違いありません。

そして、オープンフェースの度合いが強くなるほど、リアルロフトは減ってきます。る。リアルロフトを計測する場合、フェースをスクエアにセットするから。オープンフェースの場合、フェースを被せてから計測するので、アドレス時のロフトよりも、リアルロフトが減ります。目安としては、オープン2度だと、リアルロフトは1~2度弱減ってくるでしょう。

逆に、アマチュア向けドライバーに多いのですが、フックフェースの度合いが強いドライバーは「おっ、楽に上がるじゃん!!」なんてことになりやすい。フックフェースが強くなるほど、リアルロフトは増えてくるから。もちろん、ロフトが増えてくるわけですから、この手のドライバーはスピンも増えやすい。ロフトとスピン量は比例関係にあるからです。

今回の研修生の場合は、ちょっと極端な例ですが‥‥ボクの回りにもリアルロフトを知らないでドライバー選びを失敗している人が少なくありません。

目安としては、ハードヒッターが「コレ飛ぶよっ」と評判のクラブ(Xドライブ405、ロイコレの3W)はフェース角がオープン強めでリアルロフトが少なめだと思って間違いありません。

この手のウッドクラブはロフトでくれぐれも見栄を張ってはいけませぬぞ。

んじゃ。